大阪市の病院で、生後1カ月の長男の口に血液を入れて嘔吐させたほか、手などで鼻と口をふさいで一時呼吸停止に陥らせたとして、20代の母親が今年9月に逮捕された。この傷害事件に絡み、「代理ミュンヒハウゼン症候群(MSBP)」が注目されている。 専門家によると、MSBPは、子どもを故意に病気の状態にするという児童虐待の特殊型だ。しかし、加害者である母親の精神疾患の名称であるかのように広く誤解され、正しい理解が進まない現状があるという。 MSBPとはどんなものなのか、また病院でおこなわれるこうした複雑な虐待行為が法的にどのように取り扱われるのか、MSBPの研究者と児童虐待にくわしい弁護士に取材し、検証した。(ライター・鳥成有佳子) ●健康な子どもを病気の状態にする「虐待行為」 児童虐待や体罰についての研究を数多く手がけ、MSBPに関する著書もある日本体育大学の南部さおり教授(法医学・犯罪学)によると