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ブックマーク / honz.jp (76)

  • 『自衛隊の闇組織』「別班」は実在する! - HONZ

    TBSのドラマ『VIVANT』が話題だ。我が家もドはまりしていて家族は毎週考察に夢中である。主人公の乃木憂助は自衛隊の裏の組織「別班」の工作員だったが、その後テロ組織の一員となった。「潜入」なのか「転向」なのかはいまのところ不明だが、予測を裏切る脚が売りなので、この先もあっと驚く展開が用意されているのかもしれない。 さて、設定が自衛隊の秘密部隊ともなると、当然のことながら家族からこんな疑問の声があがる。 「“別班”って当にあるの?」 「あるよ」即答したら、「え―――っ!?」と大興奮。そこで別班の成り立ちや任務、公安との違いなどを解説してやると、子供たちは珍しく尊敬の眼差しである。それだけではない。日頃、掃除機での山を突き崩す嫌がらせを繰り返すまでもが感心しているではないか。ひさびさに父親の面目を保てた気分だが、実は解説のほとんどが書の受け売りだというのは秘密である。もっともドラマ

    『自衛隊の闇組織』「別班」は実在する! - HONZ
    paravola
    paravola 2023/09/25
    (それをアメリカのために手引きしていたと)世に知られたきっかけは1973年の金大中拉致事件だった。他国の要人が白昼、都内で攫われるという日本の治安当局にとっては屈辱的な事件
  • 『スターリンのジェノサイド』のことを、知っておきたい。 - HONZ

    こういう著作を、良書というのかなと思う。 名著や傑作ではないかもしれない。HONZで紹介される多くのノンフィクションのように、キャッチーでもない。みすず書房らしい至ってシンプルな装丁は、版を重ねることを戦略的に狙っているとも思えない。原文で176ページとテキストも短く、ハードカバーにしては物足りないと感じる向きもあるかもしれない。 でも、そういった諸々が裏返しの魅力になっている。特段飾ることなく、シンプルかつ明瞭に記述された題。入手できる資料を読み込んで、具体的事実を丹念に追いかける姿勢はまさしく学者の懐。決して難解な表現を用いることなく、非常に分かりやすく整理された論点。最後に1つの独立した章としてまとめられた「結論」は、これだけでも十分に知的好奇心を刺激する濃密なものとなっている。スターリン、そしてジェノサイドを学びたい人にとって、書は格好の入門書になるだろう。派手さはないかもし

    『スターリンのジェノサイド』のことを、知っておきたい。 - HONZ
    paravola
    paravola 2023/01/21
    (逆に言えば「民族」ではなかったということに)この問題を複雑にしているのは、「この条約から除かれた社会・政治集団こそが、スターリンの残虐な作戦のおもな犠牲者だった」ということだ
  • 『国商』権力と一体化した男の実像 - HONZ

    政商という言葉はあるが、国商は聞いたことがない。 政商とは、時の権力と結託して特別な利益を貪る商人のこと。国商はさしずめ国家と一体化した商人といったところか。 だいたい異名というのは、尾鰭のついた評判によって肥大化した虚像に対してつけられるものと相場が決まっている。だが書を読み進むうちに、国商とは実に鋭く故人の質を突いた呼称ではないかと思った。 2022年5月25日、葛西敬之が世を去った。享年81。JR東海に長く君臨した大物財界人であるとともに、近年は政界の黒幕としても知られた。安倍晋三の後見人として、憲政史上最長の政権を支え、内閣の主要閣僚から官僚の人事に至るまで助言したとされる。 葛西が支えた安倍も、参議院選挙の投票日を2日後に控えた7月8日、奈良県近鉄大和西大寺駅前で応援演説中に凶弾に斃れた。葛西の死からわずかひと月半後のことだった。 葛西と安倍が世を去った今、権力に空白が生じて

    『国商』権力と一体化した男の実像 - HONZ
    paravola
    paravola 2022/12/25
    (売上はすべて税金のファイザーの社長かと思った)
  • 動物を愛し性を意識する人々 『聖なるズー』 - HONZ

    今年度の開高健ノンフィクション賞を受賞した傑作だ。京都大学大学院で「文化人類学におけるセクシュアリティ研究」に取り組む女性が、単身ドイツに渡り、複数の動物性愛者(ズー)の家を泊まり歩いて丹念に取材している。最初私は「動物性愛」ときいて腰が引けたが、興味が打ち勝って書を開いた。すると、こんな書き出しが待っていた。 私には愛がわからない。 ひと口に愛といっても、いろいろなかたちがあるだろう。 この書き出しに続いて、長年受けてきた性暴力についての著者の自分語りが始まる。それは、動物性愛研究の動機でもあり、また、著者がズーの質に迫ることができた理由でもある。書には欠かせない告白だ。このプロローグを読めば、異種間の性に対する興味位のではないことがわかり、私は思わず引きこまれてしまった。 異種間の性といっても、獣姦と動物性愛が似て非なるものであることを、最初に断っておかなければならない。とき

    動物を愛し性を意識する人々 『聖なるズー』 - HONZ
    paravola
    paravola 2022/12/01
    (ズーフィリア)ズーゲイの人もいればズーレズの人もいる。アクティブパート(挿入する)の人もいればパッシブパートの人もいる/ペドフィリアとズーフィリアが対極にあるというのは...
  • 『カースト』カーストのプログラムは、我々全員の無意識にインストールされている - HONZ

    カーストといえば、多くの方がインドを想起するかもしれないが、書はアメリカの話である。カーストこそがアメリカ社会のヒエラルキー構造であり、社会秩序を維持するための手引きであり、対立の基盤でもあると著者は説く。 著者はアフリカアメリカ人の女性。ヒエラルキーに抗うことにより獲得した自由な視点で、自由の国アメリカの水面下に広がる、不自由や差別の構造を鬼気迫る筆致で描き出した。 まず、アメリカ社会における人種のヒエラルキー構造を浮かび上がらせるため、2つの補助線が引かれる。それがナチスドイツにおけるカースト制度、そしてインドのカースト制度であった。 書で印象的なエピソードが紹介されている。かのマーティン・ルーサー・キング牧師は、ある日インドの高校を訪れたとき、校長にこのように紹介され唖然とする。「みなさん、アメリカ合衆国から来た、みなさんと同じ不可触民の方を紹介しましょう」 しかし、その後ほど

    『カースト』カーストのプログラムは、我々全員の無意識にインストールされている - HONZ
    paravola
    paravola 2022/10/13
    (ナチスと地政学に合わせてこちらも復権しそう。「反ワクチン」とか)それは人間の意識のどこかに、「最下層がいないと困る」という思いが潜んでいるからである
  • 戦時の嘘 『戦争プロパガンダ10の法則』 - HONZ

    最近、戦争を身近に感じる出来事が続いている。書は、国家が“国民を戦争にかりたてるために”どんな嘘をついてきたかを、歴史上の事実を列挙してつまびらかにしただ。ベースにあるのは、1928年にロンドンで出版された名著『戦時の嘘』。この比較的薄い文庫は、私たち日人が今まさに見つめ直すべきテーマについて、考えを深める契機をたくさん与えてくれる。ぜひ、ともに過ごして欲しいだ。 想像すればわかるが、戦時の嘘が通用した時代と現代では、生活者を取り巻く環境は大きく違っている。もう同じ手はうまい。そんな思いもわかる。しかし、日ごろの自分を振り返ってみると、メディアの報道やネットの情報に踊らされることがよくあることに気づく。思い起こせば恥ずかしながら、昨今相次いでいる捏造事件について、私は当初最大限の賛辞を贈った。書巻末では、現代の「洗脳」技術について、ベルギーのある漫画の言葉を引用している。 現

    戦時の嘘 『戦争プロパガンダ10の法則』 - HONZ
    paravola
    paravola 2022/08/02
    第1次大戦前に流布した「手を切断されたベルギー人の子供たち」/この話はドイツ軍の残虐さを訴えるプロパガンダとして成功をおさめ、政治的に大きな影響力をもった。だが戦後、根拠のないものであることがわかり...
  • 『ナチ科学者を獲得せよ!』アメリカの繁栄に秘められた、ナチの影 - HONZ

    第三帝国の終焉が近づきつつある、1944年11月26日。フランスのストラスブールでは連合軍とドイツ軍が激しい砲火をまみえていた。そんな戦況の中、都市の中心にある豪華なアパルトマンの一室では、数人の科学者が一心不乱に書類を読み漁っていた。アメリカ人の粒子物理学者ゴーズミットが率いるこの特殊チームはアメリカよりも先進的な研究成果を持っていると考えられていたナチの科学と最新兵器を狩る事を目的としたチームだ。 彼らが捜索している部屋の主はドイツのウイルス学者オイゲン・ハーゲンという男で、ナチの重要な細菌兵器開発者の一人と目されていた人物だ。ここで彼は衝撃的な手紙を見つける。それはナチの医師らが健康な人間を使って生体実験を行っていた事を示す手紙だ。まさに、この日、この瞬間、彼らの手によって、ナチの科学者たちが行っていた非人道的で邪悪な姿が第三帝国という漆黒の闇の中から引きずりだされたのだ。 この事実

    『ナチ科学者を獲得せよ!』アメリカの繁栄に秘められた、ナチの影 - HONZ
    paravola
    paravola 2022/01/14
    彼らがアメリカという国の繁栄に貢献し、その化学技術が今の私たちの暮しの礎を築いているという事実に愕然とするはずだ/このペーパークリップ作戦に関する資料の多くは未だに機密指定解除されていない
  • 『毛沢東の大飢饉』 - HONZ

    書は2011年のBBCサミュエル・ジョンソン賞を受賞した。同賞は英国でもっとも権威のあるといわれるノンフィクション賞だ。過去の授賞作には、2010年は6人の北朝鮮脱北者に7年間も向き合って紡ぎだした『密封国家に生きる』(邦訳2011年6月)。2008年の『最初の刑事』(邦訳2011年5月)はミステリーファンでも楽しめる壮大なヴィクトリア朝時代のノンフィクション。2007年の米国によるイラク統治の内幕を描いた『グリーン・ゾーン』(邦訳2010年2月)はその後、マット・デイモン主演の映画になったのだが、訳はすでに絶版になったようである。 ところで、書は中国人からの評判がすこぶる悪い。解説の鳥居民氏によれば、次期総書記と目される習近平が2010年7月の党史工作会議において、中国共産党歴史を歪曲、誹謗してはならないと説いたという。書の内容を発行前に承知していた可能性があるという。一般の中

    『毛沢東の大飢饉』 - HONZ
    paravola
    paravola 2021/07/14
    「世界大戦といって大騒ぎすることはない。せいぜい人が死ぬだけだ。人口の半分が殲滅される程度のことは中国の歴史では何度も起こっている。人口の半分が残れば最善であり、3分の1が残れば次善である」と言っている
  • 『医師の感情』医師たちは現場で何を感じているのか - HONZ

    どんなときでも冷静で、感情的になることはけっしてない――医師に対してそうしたイメージを抱いている人は少なくないだろう。だがもちろん、彼らも人の子であり、そうしたイメージそのままであるわけがない。ふだんはどんなに冷静な医師であっても、ときとして強力な感情に圧倒されてしまうことがあるはずだ。それならば、医師は現場で実際にどんな感情を抱いているのか。そして、そうした感情は医療行為にどのような影響を与えているのか。書は、そんな問題に光を当てようとした、アメリカの現役医師によるルポルタージュである。 書はまず「共感」の話から始まる。ここでいう共感とは、「他人の視点でものを見て、感じることのできる能力」、あるいはもっと限定的には、「患者の苦痛を認識し、理解すること」である。よく言われるように、医師は患者に対して「同情」する必要はないかもしれない。しかし、よりよい診断と治療を行おうというのであれば、

    『医師の感情』医師たちは現場で何を感じているのか - HONZ
    paravola
    paravola 2021/07/08
    (そうかもね)たいていの医師は、医師となるために長らく自己抑制を続けてきた人たちである。それゆえ、たとえば依存症患者は、彼らの目には怠惰や自堕落なものに映り、なかなか理解の対象とならない
  • 『ナチスと精神分析官』ナチ気質という未解決問題 - HONZ

    第二次世界大戦が終わってから70年近くが経つにもかかわらず、いまだナチスというのは悪のレベルを推し量る一つの「ものさし」である。狂信的な集団による凄惨な事件の話を見聞きする度に、ナチスと比べてどちらが非道なのか、そして双方に共通するものは何なのかという問いが頭をよぎる。しかし語り尽くされたであろうナチスにも、まだまだ掘り起こされていない歴史が存在した。 1945年8月、ニュルンベルクでのこと。かつて加害者として収容所を君臨したナチの高官たちは、今や戦犯としての裁きを待つしかない憐れな捕虜となっていた。 当時52歳であったヘルマン・ゲーリングは、ナチ党において極めて悪評の高かった数々の活動の計画や実施を担った人物である。内部粛清として有名な長いナイフの夜事件、ゲシュタポの創設、反ナチ派用の強制収容所の設立、政敵の追放。第二次世界大戦までに彼を上回る肩書を保持していたのは、アドルフ・ヒトラーた

    『ナチスと精神分析官』ナチ気質という未解決問題 - HONZ
    paravola
    paravola 2021/06/28
    ナチ高官の多くは知力の面で平均以上のところに位置していた。シャハト(ドイツ中央銀行頭取):143点、ゲーリング(国家元帥):138点/(アーレントの主張と異なり)自らの役割を自覚しながら、能動的に行っていた
  • 『日本の包茎』作られた「恥ずかしさ」をめぐって - HONZ

    にブックカバーはつけない。これを長年の流儀としてきた。 通勤電車でを開くと、目の前に座る人の視線がきまって表紙に注がれる。との出会いは何がきっかけになるかわからない。中には電車でたまたま見かけて興味を持ち、を買う人だっているかもしれない。出版文化への貢献のためなら、喜んで歩く広告塔になろう。そう考えて、どんなであろうと(たとえ『性豪』や『鍵開けマニュアル』といっただろうと)顔色ひとつ変えず公衆の面前でを開いてきた。それがハードボイルドな俺の流儀だった。 だが、書を手にした時、初めてその覚悟が揺らいだ。 いや、覚悟が揺らぐなんてちょっとカッコつけ過ぎである。正直に言おう。気後れしてしまったのだ。臆病な犬のように尻尾を股の間に挟んで後ずさりしてしまったのだ。カバンに手を突っ込んだまま固まっている俺を、目の前の女が不安そうに見上げた。銃を持っているとでも思われたのかもしれない。怯

    『日本の包茎』作られた「恥ずかしさ」をめぐって - HONZ
    paravola
    paravola 2021/04/05
    (再:包茎大臣とか包茎パスポートとかできなくてよかった)もともとあった素朴な恥ずかしさは「作られた恥ずかしさ」へと変容した。それは「他者に馬鹿にされる恐怖」を出版社や医師が煽ることで形成された
  • 残念ながら、日本人の8割にこのビジネス書はいらない『異文化理解力』 - HONZ

    まずは下の写真を見て欲しい。これは「人物を撮る」ように言われた二人の被験者が撮影した写真だ。撮影した二人のうち、一人はアメリカ人、もう一人は日人である。どちらの写真がどちらによって撮られたものか、お分かりだろうか。 多くの人が正解を予想できたのではないかと思うが、左がアメリカ人、右が日人によって撮影された写真である。複数の被験者に対して行われたこの実験において、アメリカ人はほとんどの場合、人物の顔がはっきり分かるようにクローズアップ写真を撮った一方で、日人は背景まで写るように撮影し、人物が非常に小さくなる傾向にあることがわかった。 西洋の実験参加者「だけど人物の写真を撮れと言われたんだから、左のこそが人物写真だよ。右の写真は部屋の写真だ。どうして日人は人物の写真を撮れと言われて部屋の写真を撮るんだ?」 アジアの実験参加者「左の写真は人物写真とは言えない。顔のクローズアップ写真だ。こ

    残念ながら、日本人の8割にこのビジネス書はいらない『異文化理解力』 - HONZ
    paravola
    paravola 2020/11/20
    アメリカ人の上司が部下にダメ出しをする際、まずは部下の良いところを3つ挙げ、相手を十分に褒めてから、ネガティブな内容に入る/本当のところアメリカ人の上司が言いたいことは最後の一文だけだ
  • 『ぼくらの哀しき超兵器』夢と気合と、ほんの少しの科学をまぶして - HONZ

    光りあるところに影がある。まこと、栄光の陰に数知れぬ忍者の姿があった…(アニメ「サスケ」より) 最初は素手で殴り合っていた喧嘩が、やがて棒や剣のような武器を持ち、飛び道具を作りはじめ、すべての人を焼き殺すような兵器が作られるようになる。しかし、そんな「王道」の兵器の陰に、とっても残念な「超」兵器が開発されていたことを私たちは知らない。 それらは、今きけばバカバカしく奇天烈で、実用可能になるとは到底思えないものが多いのだが、時が経ち、科学が発達して新発見があり、素材が合成されることで実現可能なものも出てくる。人の想像力とは、果てないものだとつくづく感じてしまう。 太平洋戦争終戦間近に日が開発した風船爆弾など、成功の裡に入るかもしれない。1万発弱が太平洋岸から放球され、ジェット気流に乗ってオレゴン州に届き、遠足中の子どもと引率の女性の命を奪ったという。 軍人のトップは科学者へ過大な期待をして

    『ぼくらの哀しき超兵器』夢と気合と、ほんの少しの科学をまぶして - HONZ
    paravola
    paravola 2020/10/03
    (再)カストロの人気を落とすために、CIAは外遊中のホテルで靴の中に薬物を散布し、容姿を損ねようと計画した。この平和的な作戦がムダになったことで、暗殺計画が繰り返されたという
  • 彼女はいったい何者なのかー。『女帝 小池百合子』 - HONZ

    この2ヶ月間、彼女を見かけない日があっただろうか。テレビや新聞、ネットで私たちは毎日のように彼女の姿を目にし、彼女が語る言葉に耳を傾けてきた。誰もが彼女の顔と名前を知っている。そこには見慣れたリーダーの姿があった。 だが書を読んだ後は、奇妙な感覚にとらわれるに違いない。彼女のことを確かに知っていたはずなのに、急に見知らぬ人間のように思えるからだ。そして次の瞬間、戦慄が背筋を駆け上る。「この人は、いったい何者なのか……」 書は女性初の東京都知事であり、また女性初の総理候補とも目される小池百合子の知られざる半生を描いたノンフィクションである。書の発売日前後に、ある新聞のコラムで「暴露」と表現しているのを見かけたが、おそらくコラムの書き手はこのを読まずに書いたのだろう。著者は3年半にわたる綿密な取材を通じて、百人を超える関係者の証言を集め、小池が長年にわたり隠し続けてきた経歴にメスを入

    彼女はいったい何者なのかー。『女帝 小池百合子』 - HONZ
    paravola
    paravola 2020/06/11
    (権力だけが目標だと)時代とともに権力者の顔ぶれは替わっても、その時々の実力者の傍にいつも彼女の姿があった
  • 『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス いまからおよそ1万年前、人類は農業を発明した。農業が生まれると、人びとは必要な栄養を効率的に摂取できるようになり、移動性の狩猟採集生活から脱して、好適地に定住するようになった。そして、一部の集住地域では文明が興り、さらには、生産物の余剰を背景にして国家が形成された──。おそらくあなたもそんなストーリーを耳にし、学んだことがあるだろう。 しかし、かくも行き渡っているそのストーリーに対して、書は疑問符を突きつける。なるほど、初期の国家はいずれも農業を基盤とするものであった。だが、人類はなにも農業を手にしたから定住を始めたわけではない(後述)。また、メソポタミアで最初期の国家が誕生したのは、作物栽培と定住の開始から4000年以上も後のことである。それゆえ、「農業→定住→国家」と安直に結び

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ
    paravola
    paravola 2020/05/05
    (この書評だとぜんぜんそこは分からないね)そして国家の誕生
  • 『合成生物学の衝撃』テクノロジーが欲望を生み出し、欲望が科学を生み出す - HONZ

    「話し上手は聞き上手」などとよく言われるが、物事の質の多くは、その行為の内部ではなく外側に潜んでいる。生物学の分野に今、急速に訪れている変革も、それと近いものがあるだろう。 生物の研究者ならずとも、「人間とは何か」ということを深く理解したいと願うのが人間の常だ。だがここで重要になってくるのは、理解するとは何かということの定義である。 かつてリチャード・ファインマンはこう言った。 自分で作れないものを、私は理解していない。 この実に工学的な思考が、2000年以降の生物学を席巻しており、それが新しい分野として結実し始めているのだ。書は今、最も勢いのある科学分野と言われる「合成生物学」の最前線を、毎日新聞科学環境部記者・須田桃子氏の取材により様々な角度から描き出した一冊である。 合成生物学の大きな流れの一翼を担ってきたのは、トム・ナイトやドリュー・エンディといったMITの工学者たちである。生

    『合成生物学の衝撃』テクノロジーが欲望を生み出し、欲望が科学を生み出す - HONZ
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    paravola 2020/03/10
    かつてリチャード・ファインマンはこう言った。自分で作れないものを、私は理解していない/ここから著者は、DARPAの研究マネジメントのメカニズムを明らかにし、直接その場所へ赴き取材を行う
  • 『プログレッシブ キャピタリズム』経済学が目指すべき目的とは? - HONZ

    作者:ジョセフ・E. スティグリッツ 翻訳:山田 美明 出版社:東洋経済新報社 発売日:2019-12-20 書の著者であるコロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授は、非対称情報下での市場経済理論への貢献により、2001年にジョージ・アカロフ、マイケル・スペンスと共にノーベル経済学賞を受賞した経済学の泰斗である。 研究面において優れた論文を多数発表し、米国の経済政策に大きな影響を与えたのみならず、クリントン政権で大統領経済諮問委員会委員長、世界銀行で上級副総裁・チーフエコノミストを務めるなど、自ら経済政策を遂行する立場にも身を置いた実践者でもある。 近年は、『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』『世界の99%を貧困にする経済』『フリーフォール』などの著作で、グローバルに新自由主義経済を推し進める米国の政策を批判し、富裕層への増税を主張するなど、経済格差是正のための多くの提言を行って

    『プログレッシブ キャピタリズム』経済学が目指すべき目的とは? - HONZ
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    paravola 2020/03/01
    (政治をなくせばいいのでは)資本家やビジネスパーソンというのは、本能的に「いかに競争をしないで勝負に勝つか?」を考える生き物であり、漠然と市場の自由に任せていると...
  • 『ネオナチの少女』ドイツに根づくナチズムという悪夢 - HONZ

    書の題名は『ネオナチの少女』となっているが、著者のハイディ・ベネケンシュタインは自らを「ネオナチ」とは定義していない。「ネオナチの人々とは、思想も生い立ちもまったく違う」と言い切る。彼女はかつての自分を「ナチそのもの」だと定義する。 現代の若い女性が「ナチ」を名乗るのは少し奇異に感じるが、書を読み進めるとすぐに合点がいく。 彼女の祖母はヒトラーユーゲントの女子部門であるドイツ少女団の出身で現在もナチ信奉者。父は公務員で自信に満ちあふれカリスマ性を持つ男だが、やはりナチの信奉者だ。著者は幼少時よりナチズムの教育を受けて育った。 その徹底ぶりはすさまじく、敵性語として英語の使用が禁止されていたほどだ。さらに幼少の頃から、ヒトラーユーゲントの正統な後継団体であるドイツ愛国青年団で、準軍事教育や思想教育を叩き込まれた。 ドイツ愛国青年団のキャンプに参加する子弟のほとんどが医者や弁護士など中流階

    『ネオナチの少女』ドイツに根づくナチズムという悪夢 - HONZ
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    paravola 2020/02/22
    ドイツ愛国青年団のキャンプに参加する子弟のほとんどが医者や弁護士など中流階級以上の出身者で...彼らはナチが再び台頭した際、「第四帝国」を担うエリートになるべく教育されているという
  • 麻酔で意識が落ちた時、何が起こっているのか──『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』 - HONZ

    麻酔で意識が落ちた時、何が起こっているのか──『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』 歴史、特に最悪の医療の歴史などを読んでいると、あ〜現代に生まれてきてよかったなあと、身の回りに当たり前に存在する設備や技術に感謝することが多い。昔は治せなかった病気が今では治せるケースも多いし、瀉血やロボトミー手術など、痛みや苦しみを与えるだけで一切の効果のなかった治療も、科学的手法によって見分けることができるようになってきた。 だが、そうした幾つもの医療の進歩の中で最もありがたいもののひとつは、麻酔の存在ではないか。正直、麻酔のない世界には生まれたくない。切ったり潰したりするときに意識があるなんてゾッとする──現代の医療に麻酔は絶対絶対必須だ。そのわりに、患者に麻酔を施す麻酔科医の仕事は光が当たりづらい分野である。何しろ実際に手術や治療を担当することはめったにないから、麻

    麻酔で意識が落ちた時、何が起こっているのか──『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』 - HONZ
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    paravola 2020/01/01
    麻酔が導入されると「ゲプッ」と音がして、お腹がわずかに震えた。本当にシリアルを食べていたのだ/この方法は、昔から続く麻酔科の伝統である。私の経験では、九〇より先まで数える患者は一人もいない
  • 『食の実験場アメリカ-ファーストフード帝国のゆくえ』躍動感あふれる創造の歴史 - HONZ

    白人によって作り上げられた「ファストフード帝国」。画一化されていて正直面白みに欠ける反面、汎用性の高さゆえに世界中至るところへ浸透している。恥ずかしながら、書を読む前に「アメリカ文化」としてまず思い浮かぶのはこの印象だった。 しかしその原点にまで遡っていくと、まったく異なる景色が見えてくる。元をたどればそこには画一化とはほど遠い多様さがあり、また必ずしも白人たちが主役だったわけでもない。 アメリカを代表するとされるべ物の中には、実は非西洋にルーツを持っている例が少なくない。ポップコーンは先住インディアン由来のべ物だし、フライドチキンは黒人奴隷と深い関わりを持っている。 外部からの影響の大きさを抜きにして、アメリカ文化を語ることはできない。書はそんな立場から、従来のイメージとは異なるアメリカの実像に迫る一冊だ。 植民地時代〜独立革命期まで遡っていくと、アメリカ文化の形成

    『食の実験場アメリカ-ファーストフード帝国のゆくえ』躍動感あふれる創造の歴史 - HONZ
    paravola
    paravola 2019/12/30
    黒人奴隷が持ち込んだ西アフリカの習慣(鶏料理で客をもてなす)と、スコットランド出身の白人の習慣(鶏肉を揚げる)がミックスされて広まったフライドチキン