このごろ「新自由主義の時代の終焉」とか「ケインズの復活」といった話題が、マスコミではもてはやされています。たしかにアメリカでは政権交代もあり、リベラルに軸が振れていることは事実でしょう。しかし、それがレーガン政権以前の「大きな政府」に戻る道ではないことは、オバマ大統領も明言しています。ところが日本では、そういう改革を徹底してやらなかったため、新自由主義という亡霊が徘徊しているようです。 新自由主義という言葉はlibertarianismの訳語でしょう。これはliberalismという言葉が、アメリカでは「大きな政府」を求める人々をさすようになったため、古典的自由主義をそれとは区別するためにつくられた英語で、新自由主義と訳したのは西山千明氏だそうです。これをイデオロギー的な蔑称として使うのは特殊日本的で、アメリカでは価値中立的な言葉です。”I’m a libertarian”という人も多い。