<連載 被災原発の陰 女川2号機再稼働>後編 ゴーッという山鳴りの後、下から突き上げるすさまじい揺れや長く激しい横揺れが次々襲ってきた。2011年3月11日午後2時46分。福島県浪江町から東北電力女川原発(宮城県)に計器メンテナンスに来ていた今野寿美雄さん(60)は、あの瞬間を思い起こした。震度6弱の地震が起きたとき、ちょうど事務棟で帰る支度をしていた。
本件について再審開始を決定した令和5年3月の東京高裁決定には、重大な事実誤認があると考えましたが、憲法違反等刑事訴訟法が定める上告理由が見当たらない以上、特別抗告を行うことは相当ではないと判断しました。他方、改めて関係証拠を精査した結果、被告人が犯人であることの立証は可能であり、にもかかわらず4名もの尊い命が犠牲となった重大事犯につき、立証活動を行わないことは、検察の責務を放棄することになりかねないとの判断の下、静岡地裁における再審公判では、有罪立証を行うこととしました。そして、袴田さんが相当な長期間にわたり法的地位が不安定な状況に置かれてきたことにも配意し、迅速な訴訟遂行に努めるとともに、客観性の高い証拠を中心に据え、主張立証を尽くしてまいりました。
3月下旬、再審開始決定が出た翌日の静岡市での報告集会。マイクを握った袴田さんは自ら来場者に語り掛けた。再審公判で無罪判決が確定すれば、43年もの間、背負い続けてきた「死刑囚」の呼称はようやく外れる。とはいえ、支援者の山崎俊樹さん(69)によると、現状を理解しているかは定かでないという。 袴田さんは2014年3月に静岡地裁が拘置の停止を決定し、釈放された後、浜松市内で姉ひで子さん(90)とともに暮らしてきた。釈放当初から今に至るまで、会話もほとんど成り立たない。「袴田事件は存在しない」「裁判は終わった」といった事実とずれた発言が今も続く。
猛暑の本格化と足並みを合わせるよう、新型コロナウイルスの第11波が到来しつつある。喉の痛みに止まらぬせきなど、特有の症状に直面する人々はいま、別の悩みも突きつけられる。コロナ治療薬の高さだ。頭がふらつく中でも価格におののき、処方をためらう人もいるという。「経済格差」「健康はカネ次第」。そんな言葉も浮かぶ現状を改めなくていいものか。(山田雄之、木原育子)
是枝裕和監督「政府による放送への介入を間近に見た」放送法が形骸化した今、元BPO委員として訴えたいこと 報道機関には黒歴史がある。太平洋戦争時、大本営発表を垂れ流し、軍政と一体化して悲劇を招いた過去だ。その反省から戦後、放送局の独立を保障する放送法が成立した。ところが、成立から70年以上を経て形骸化が進んでいる。それに一石を投ずる一冊が出版された。『僕らはまだテレビをあきらめない』(緑風出版)。著者の一人で番組制作会社勤務を経て映画監督になった是枝裕和さんに真意を聞いた。(鈴木伸幸) 是枝裕和(これえだ・ひろかず) 1962年、東京都練馬区出身。早稲田大卒。番組制作会社テレビマンユニオン入社。ドキュメンタリー番組を数多く手掛ける一方、1995年に「幻の光」で映画監督デビュー。ベネチア国際映画祭で「金のオゼッラ賞」受賞。2011年に制作者集団「分福」を立ち上げ、2018年に「万引き家族」でカ
交流サイト(SNS)の浸透を背景に、戦争は、人々の考え方の主体となる「脳」を巡る争い「認知戦」に発展しつつある。「人の脳が戦場になる」とは、どういうことなのか。ロシア・旧ソ連諸国を専門とする軍事研究家で、安全保障問題に詳しい小泉悠・東京大学先端科学技術研究センター准教授(42)に聞いた。(聞き手・滝沢学) 認知戦 人の脳など「認知領域」を標的にした戦い。世論の誘導や敵対勢力の撹乱を狙う「情報戦」の一つ。マスメディアを通じたプロパガンダ(宣伝)の流布だけでなく、SNSなどで刺激的な情報発信を繰り返し、人の頭の中に直接働きかけて考え方を先鋭化させ、対立をあおって社会を弱体化させる。陸海空や宇宙、サイバー空間と並ぶ6番目の戦闘領域として「認知領域」が捉えられ、各国で研究が進む。日本では2022年の防衛白書で初めて「認知戦」の用語が登場した。
「特定の人がデマの潮流を生み出していた」 ネットにはびこるヘイトの真偽を検証し、立ち向かう動きを追った 埼玉県南部の川口市周辺で約2000人が暮らすとされるクルド人へのデマやヘイトが目立つようになって1年余り。その多くがまき散らされているのが、これまでも深刻なレイシズムの温床になってきたネット空間だ。「放っておけばデマが事実だと誤解されかねない」と、ネットをパトロールする人たちがいる。現状を追った。(森本智之)
今、病院や薬局を訪れた人たちから、こんな戸惑いの声が聞こえてくる。そこには厚生労働省が用意した「台本」の存在があった。 健康保険証の廃止まで、あと半年。マイナ保険証の利用低迷に頭を痛める政府は、5月から集中月間として、病院や薬局を駆り立てて普及に躍起となっている。
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