日本のテクノミュージックの草分けとも称されることの多い平沢進さんだが、そのような評価をよそに常に新しい試みを行っている。ジャンルの垣根を超えて音楽性、裏声を駆使した歌唱法、太陽光を利用したライブ、音楽産業によりインフラが整備される前に音楽のネット配信を行った。そうした発想はどこからやって来るのか。そして音楽に何を託しているのかを尋ねました。 世の中には、愛や恋を歌う楽曲があふれています。平沢さんの音楽は、それらについて歌わず、宇宙やテクノロジーをテーマにされることが多いです。なぜでしょうか? いろんな音楽があっていいと思いますが、恋愛ものは多すぎです。確かに恋愛は世の中を読み解く入り口に成り得ますが、特定の男女間の物語で完結してしまうような表現にはまったく関心がありません。私の場合、これまで影響を受けてきた物事や楽しんできたSF小説などから創作の動機が生まれてきます。 人間よりも世界に関心