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ブックマーク / kamiyakenkyujo.hatenablog.com (22)

  • 『西村賢太対話集』 - 紙屋研究所

    「長い休み」はまだ終わらない。いつ終わるともしれない。なんの見通しもなく、いつ終わるのか聞いてもその返事さえない。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com なんのための時間なのかさえ、具体的に示されない。 治療と投薬へ追い込まれ、ぼくの精神が蝕まれていく。 そうすれば音を上げるだろうと思っているのだろうか。スターリン時代のNKVDのように。 高村光太郎の「ぼろぼろな駝鳥」が思い出される。 何が面白くて駝鳥を飼うのだ。 動物園の四坪半のぬかるみの中では、 脚が大股過ぎるぢゃないか。 頚があんまり長過ぎるぢゃないか。 雪の降る国にこれでは羽がぼろぼろ過ぎるぢゃないか。 腹がへるから堅パンも喰ふだらうが、 駝鳥の眼は遠くばかり見てゐるぢゃないか。 身も世もない様に燃えてゐるぢゃないか。 瑠璃色の風が今にも吹いて来るのを待ちかまへてゐるぢゃないか。 あの小さな素朴な頭が無辺大の

    『西村賢太対話集』 - 紙屋研究所
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    pha 2023/11/03
  • 石牟礼道子『苦海浄土』 - 紙屋研究所

    リモート読書会は石牟礼道子『苦海浄土』だった。 新装版 苦海浄土 (講談社文庫) 作者:石牟礼 道子 発売日: 2004/07/15 メディア: 文庫 水俣病について書かれたということは有名なだが、果たしてこれはノンフィクションなのか、小説なのか。石牟礼は「新しい形式の詩」だという。一読して、その意味がわかった。なるほど「詩」である。 つれあいも言っていたのだが、書を読む前は「水俣病について書かれたものだから、きっと有吉佐和子『複合汚染』のようなルポなのだろう」と思っていた。しかしそうではなかった。「社会問題としての水俣病がわかる」というではなかったのである。 率直に言って、水俣病(の概要)について知り、環境問題について学ぼうと思うのであれば、入門としてもっと「適切」ながたくさんある。 ぼくは書を読んで、水俣病そのものの中身ではなく、まず「文学」としてのインパクトを受けた。 その

    石牟礼道子『苦海浄土』 - 紙屋研究所
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    pha 2022/11/06
  • マイケル・サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』 - 紙屋研究所

    才能も努力もガチャだと思う 親ガチャが話題であるが、才能はガチャだと思う。 人が努力して得たものもあるだろうけど、努力できるのも才能の一つだ。ロールズの次の意見は正しい。 努力しよう、やってみよう、そして通常の意味で称賛に値する存在になろうという意欲さえ、それ自体が恵まれた家庭や社会環境に左右される そして、先天的なものだけに限らず、生まれてからどんな社会資源を利用できたか、利用できる環境にあったかも重要である。生まれつきと、みんなで寄ってたかってつくったものと、わずかばかりの自分の努力が「私の才能・能力」だ。 マイケル・サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』を読んでそういう気持ちになった。 実力も運のうち 能力主義は正義か? 作者:マイケル サンデル 早川書房 Amazon いや、上に述べたことは実は、サンデルが書で言おうとしていることの中心軸ではない。だけど、書を読んで、

    マイケル・サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』 - 紙屋研究所
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    pha 2021/10/18
  • 渡辺ペコ『1122』7 - 紙屋研究所

    渡辺ペコ『1122』が終わった。 1122(7) (モーニングコミックス) 作者:渡辺ペコ 発売日: 2020/07/20 メディア: Kindle版 続きを心待ちにしていた作品の一つであった。 作は、子どもを持たず、セックスレスになった夫婦を描いている。夫は公認の不倫をスタートさせ、は途中からセックスをする相手を求めて風俗を利用する。 この作品について感じていた問題意識、期待、そうしたものは、だいたい以下の記事で書いてしまっている。そして、作品が終わった今となってこの作品観はそうズレてはいなかったとぼくの中で総括している。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com ぼくとしてはセックスレスの解決を公認不倫や風俗などに見いだすのか、というのが大きな注目点だったのだが、作品はもっと大きな「夫婦とは何か」「なぜ夫婦を維持しようと思うのか」ということへ進んでいった。 (ネ

    渡辺ペコ『1122』7 - 紙屋研究所
  • 「風呂なし3万円」は「最高の育て方」か - 紙屋研究所

    この記事、はてなブックマークでは評判が悪いな。肯定的にコメントしている人も少なくないけど。 president.jp 要は、“特段の援助もせずに実家から放り出してみろ”というススメであり、そうすれば自活能力がつくし、条件を改善していく体験を得られるし、大変になれば実家に戻ればいいし、いいことづくめだよ、という意見である。 昭和生まれ、昭和育ちとして、この意見は体感的にうなずける部分がある。 しかし、多くのブコメ同様、どうもモヤモヤする。うなずけない部分もあるからだ。 都内の風呂なし3万円木賃アパートで十数年住んだ昭和世代のぼくは ぼくは万博前後に生まれた世代で、18歳で実家を出てからは、35歳でつれあいと同居するまで、風呂なしアパート以外に住んだことはない(1年間を除いて)。そのうち十数年は都内(中野区)である。 中野の木賃アパートは家賃3万円で相当に古く、屋根裏ではネズミが走り回り、ぼく

    「風呂なし3万円」は「最高の育て方」か - 紙屋研究所
  • 『宇崎ちゃんは遊びたい!』献血ポスター問題を考える - 紙屋研究所

    『宇崎ちゃんは遊びたい!』を使った献血ポスターとそれをめぐっての太田啓子弁護士のコメント・行動が炎上しているな。 togetter.com 太田は詳しくは述べていないようだが、要するに宇崎ちゃんの「巨乳」強調のイラストが「無神経」であり「公共の場での環境型セクハラ」であるからという理由で赤十字に何らかの苦情を言ったものと思われる(くりかえすが、この理由は推測に過ぎない)。 これに対するツイッターなどのネット上のコメントを見ると、「あいちトリエンナーレ」の騒動と重ね合わせて、これも表現の自由に対する攻撃ではないのか、という意見がけっこう目立った。 「巨乳強調」は女性の人権を侵すか そもそもの問題として、巨乳を強調したイラストを大勢の前に掲示するのは女性の人権を侵すこと、「環境型セクハラ」になるのか。 結論から言えば、「環境型セクハラ」=法令上の人権侵害とは思えないが、女性を性的な存在とのみみ

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    pha 2019/10/23
  • 太田垣章子『家賃滞納という貧困』 - 紙屋研究所

    司法書士として家賃滞納の処理にあたってきた筆者が、18のケースを紹介している。 家賃滞納という貧困 (ポプラ新書) 作者: 太田垣章子 出版社/メーカー: ポプラ社 発売日: 2019/02/08 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 230ページのなのに200ページまで事例紹介がい込んでくるのは、いくらなんでも多すぎないか……? とは思ったけど、個別事例の中にわかりやすく普遍性を見出そうという手法なのだろう。滞納の中にあるドラマのようなものを読み取ってしまった。 忘れられないのは、大阪の生野区にある部屋の家賃を滞納し続けた20歳の男性のケースです。人とまったく連絡が取れなくなったため、四国に住む親御さんに連絡すると、「2、3年連絡を取り合っていないが、便りがないのは良い知らせ」だと言い切り、まったく関わろうとしないのです。 しかしその若者は、部屋の中で餓死していました。 慣

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  • 渡辺ペコ『1122』1巻 - 紙屋研究所

    ここ1ヶ月くらいだけのスパンをとってみると、渡辺ペコを再読する率の高さといったら、ない。通勤の行き帰りに何度も読んでしまうわ。 特に渡辺の描くクール系の女性が好きで、『にこたま』の高野とか、『ボーダー』の種田をしみじみ眺めてしまう。 弁理士をしている高野は、同僚の後輩男性(主人公・岩城)と偶発的なセックスをしてしまい、妊娠し、結婚を求めずに一人で子どもを産んで育てようと決意する女性。自分の中にわきあがる動揺に当初戸惑いながら理性でそれをねじ伏せるクールさがシビれるし、それがまた生硬で、不器用で、疲れた感じが残っている様子が、もー、生々しくて、すんごい好き。 高野が彼氏と別れるエピソードが番外編で描かれているけど、理性で最後のセックスをやめてしまうところとかがそれ。 彼氏と別れた後、岩城が職場で笑っているところを高野がふと眺めたら、頭の上に窓外の虹が重なって見えて「アタマから虹出てんの」と高

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    pha 2017/07/13
  • 「ジャンプお色気騒動」に思う - 紙屋研究所

    これな。 ジャンプお色気♡騒動。【法律家版】 - Togetterまとめ ぼくもエロマンガを読み、そして「楽しんで」いるし、(エロマンガとはとても分類できないが)今回槍玉にあげられた『ゆらぎ荘の幽奈さん』は、小4の娘も愛読している。 「そのまま真似る」ということはない まず、「子どもが性暴力マンガを読んで、性暴力をそのまま真似る」かどうかという問題(「そのまま」がミソ)。ここにはそう難しい問題はない。 感覚的には、小学校に入ってからは、だいたい虚構と現実の区別はつくだろう、ある程度わかってないやつがいたとしても、小3〜小4くらいには大丈夫だろ、という感じ。 わかっていなくて、『ゆらぎ荘の幽奈さん』読んで、おっぱい揉むのはキモチよさそうなので、やってしまいそうな男の子とかいるかもしれん。 そういうコは、「有害マンガ」をとりあげるんじゃなくて、性暴力はいけないということを実際に教えたほうがよい

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    pha 2017/07/08
  • おかざき真里・雨宮まみ『ずっと独身でいるつもり?』・白河桃子『格付けしあう女たち』 - 紙屋研究所

    白河桃子『格付けしあう女たち』は、女性たちがそれぞれに分断された社会の中でさらにカースト化し、分断し合う様をルポしている。そして、「なぜ女同士はつながれないか」という問いを立てている。 一見すると白河のルポは、分断を憂え、なんとかつながろうと努力しているように見える。 「鍵は多様性と未来思考」などの文言が踊る。 だが、ぼくは違和感を覚える。 白河は「多様性」を訴えながら、根底には専業主婦という生き方への批判が見え隠れするからである。 これからは専業主婦という選択はどんどん滅んでいくはずです。その選択を否定するわけではなく、もう無理なのですね。結婚を夫の単一インカムで維持していくのは。(白河p.70) すでに現在ですら、専業主婦は「裕福」と「貧乏」に二極化しています。そして今一番裕福なのは専業主婦世帯ではなく「共働き世帯」です。……専業主婦を否定するつもりはないのですが、今後、豊かで満足な子

    おかざき真里・雨宮まみ『ずっと独身でいるつもり?』・白河桃子『格付けしあう女たち』 - 紙屋研究所
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    pha 2016/09/19
  • 参議院選挙の結果を見て - 紙屋研究所

    野党共闘の、「驚くべき」と言ってよい「成果」 参院選が終わって一番の注目すべき点は、何と言っても野党共闘をした1人区で11も勝利したことだろう。1人区での野党の勝利は前回わずか2だったのだから、正直驚いた。 民進党は前回2013年参院選の17と比べれば32を獲得した。民進党内でどう評価され、どう表現されるかよく知らんが、「ウハウハと言っていいんじゃないか。民進党にとっては『起死回生の野党共闘』だ」とか言ってた民進党関係者もいた。 「共産党と一緒だと損だ。民進党は目を覚まして共産党を切り、健全野党になれ」的な意見をネット上でチラホラ見たけど、こういう目の前のソロバン勘定だけで考えても、この種の意見は説得力に乏しい。だけど、そういう目の前の利益だけでなく、長期的に考えて、日政治文化にとってもこの道が一番いいだろうとぼくは思う。 安倍首相の支持率はなぜいつまでも高いのか 安倍首相ではないが、

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    pha 2016/07/13
  • 山本浩資『PTA、やらなきゃダメですか?』 - 紙屋研究所

    『“町内会”は義務ですか?』(小学館新書)の著者として、『PTA、やらなきゃダメですか?』(小学館新書)の著者、山浩資さんと対談した。ぼくは対談に臨むにあたってぜひ聞いてみたい点が3つほどあった。 善意が暴走するPTAと町内会は変われるか | PTAのナゾ | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準 半強制性という奇妙さ PTAと町内会に共通する「気持ちの悪さ」は、自主的な体裁をとっていながら、その実、半強制であるという点だろう。この半強制性の奇妙さ、気持ち悪さについて、まずは確認し合いたいと思ったのが1点目である。 山さんは、ドラッカーのマネジメント論を生かしてPTA改革にとりくんだのだが、山さんが参照したドラッカー『非営利組織の経営』(ダイヤモンド社)の冒頭には次のくだりがある。 ボランティアが管理する組織は日にないわけでもない。むしろその一つは日でこそ大きく花開いてい

    山本浩資『PTA、やらなきゃダメですか?』 - 紙屋研究所
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    pha 2016/07/13
  • 「格差は教育費無料でも広がる」のか - 紙屋研究所

    このエントリを読んで思い出したこと。 格差は教育費無料でも広がる ぼくは無料塾で講師のようなことをやってきたが、この春、ずっと教えてきた中学生のRくんが志望する学校に合格できた。万歳! Rくんは前のエントリでも書いたけど、「偶数と偶数の和はなぜ偶数か」という説明をぼくがして、なかなか理解してもらえなかったという話に出てくるコである。 偶数と偶数の和は偶数であることの説明 - 紙屋研究所 偶数と偶数の和は偶数である・リベンジ - 紙屋研究所 Rくんのお母さんの話では「その進学しようと思っている学校の入試の過去問をきちんとやっておけばよい」と担任が言っていたとのことだった。3年分の過去問が実際に中学校から手渡されていた。そこでお母さん、人と話し合って、入試までも残りの時間は過去問をカンペキにできるようになっておこう、ということを目標にしてやることにした。ぼくは「過去問はカンペキに解けるように

    「格差は教育費無料でも広がる」のか - 紙屋研究所
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    pha 2016/06/06
  • 栗原康『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』 - 紙屋研究所

    新しく引っ越したところの町内会の堅牢さにほとほとまいっている。別に今何か役を押し付けられたわけでもないけども、ピラミッド状のがっちりした組織が、引き受けなくてもいいような行政仕事を請け負って、その負担の重さに悲鳴をあげている様子が、総会のパンフレットから痛いほど伝わってくる。いわば「勝手に」苦しんでいるのだ。 そして、小学校のPTA。 総会に自民党議員だけが招かれ、あいさつをし、学校から自主独立の団体と規定されながら、学校の仕事にがっちり組み込まれた規約が厳然と存在する。 任意制であることを確認しましょうよ、それにふさわしい組織のあり方に見直すように1年間かけて調査・検討を始めましょうよ――ぼくがそういう提案を総会でいきなり出してみたら、否決された。 ぼくはPTAの一つの委員会の副委員長をくじ引きでやることになったのだが、その際に、やはりくじで選ばれたシングルマザーの方の苦境を聞いた。とて

    栗原康『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』 - 紙屋研究所
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    pha 2016/05/06
  • さいきまこ『神様の背中 〜貧困の中の子どもたち〜』 - 紙屋研究所

    サブタイトルにあるとおり、現代日では6人に1人がその状態にあると言われる、子どもの貧困を描いたマンガである。 いま、ぼくは「6人に1人」と述べた。 これは「相対的貧困率」といって、1人あたりの所得*1が全人口の中央値の半分未満の世帯員を貧困にあるとみなして、その割合を求めたものである。 つまり世の中の人の半分ほどにも所得がない家の子ども、ということである。それが貧困の定義だというのであれば、貧困を描くマンガなのだから、貧困の実態を折り込めば成立する、すなわち「お金のなさ」を描けばそれで成立するように思える。 しかし、このマンガは、孤立、文化的な意味での貧困、DV、児童虐待、女性にだけ押しつけられる家事、生活保護など、「お金」以外の問題を多様に扱う。様々なものがからみあって現代の貧困が生まれているのだから、貧困を描こうと思えば、それはある意味で当然ともいえるものだろう。 自己責任論とたたか

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    pha 2015/07/19
  • 「自治会アンチ意識を誘導」「フリーライダー推奨本」という批判 - 紙屋研究所

    拙著『“町内会”は義務ですか?』(小学館新書)が増刷(3刷)となった。書店のみなさんやお読みいただいた方々に、深く感謝する次第である。 ところで、ブログのコメント欄に次のような投稿があった。興味深いのでそのまま転載しておく。 入居して1年足らずで、輪番制のもとに行われたくじ引きで自治会長に 引き受けたからには、地域に貢献したいという思いもありつつも、次の方には負担のない形の自治会を形成したいと考え、書を手に取りました。 まさか、如何に上手に自治会を解体するかというアンチだとは・・ 筆者様にはそのような考えは無いのかもしれないが、肯定しつつも否定するという書の手法は巧みに自治会に対するアンチ意識を誘導するものです。 障害あり、激務の中間管理職、家には乳児と幼児 そんな状態で自治会長を引き受けた私ですが、ハンディを活かして上部の連合会とのしがらみを極力排除し、自治会のメリットを前面に押し

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    pha 2015/04/16
  • 『犯罪社会学研究』第38号 - 紙屋研究所

    保育園がいっしょだった親御さんと話していて、また地域で不審者情報が出たというので不安がっていた。その前日、ぼくはある学習会の講師で「犯罪は激減しています」としゃべっていたのであるが、その親御さんの意見をふんふんとうなずいて聞いていた。 そういう話をしていたら福岡県で女子小学生が殺害され、この文書を書いている最中に和歌山県で男子小学生が殺された。「数十秒目を離したスキに…」「自宅のすぐそばで…」と報じられるので、うちのつれあいとかはもう四六時中娘に張り付いてないといけないかのような思いにとらわれている。 日中、そして先進国で犯罪は減っている 福岡市では犯罪が減っている。2002年をピークにして半分くらいに減っている。 日全国で同じような傾向をたどっている。 さらにいうと先進国全体で犯罪は減っている。 最初にそのことを知ったのは2013年7月3日の英誌「エコノミスト」の記事だった。それで関

    『犯罪社会学研究』第38号 - 紙屋研究所
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    pha 2015/02/09
    "人類史上最も暴力の少ない社会に生きている"
  • 鈴木大介『最貧困女子』 - 紙屋研究所

    九州の地方都市住まいのぼく。 家の近くにある公園が、階上にあるぼくの家から見える。 つれあいによれば、その公衆トイレの前で深夜に20代くらいの女性が立って、男性といっしょにトイレに入り、一定時間たつとまた別の男性とトイレに入っていくのが見えた。 あれは買売春の現場ではなかろうか。 書に出てくる「最貧困女子」とは、裏表紙にその定義が簡潔に書いてある。 働く単身女性の3分の1が年収114万円未満。中でも10〜20代女性を特に「貧困女子」と呼んでいる。しかし、さらに目も当てられないような地獄でもがき苦しむ女性たちがいる。それが、家族・地域・制度(社会保障制度(という三つの縁をなくし、セックスワーク(売春や性風俗)で日銭を稼ぐしかない「最貧困女子」だ。 ロジカルなルポ 読んで思ったことは二つ。 一つは、とてもロジカルなルポだということ。どういう意味か。 このはとても「自己責任」論を強く意識して

    鈴木大介『最貧困女子』 - 紙屋研究所
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    pha 2014/11/04
  • 義務や強制のない、自治会費ゼロの自治会をつくったよ - 紙屋研究所

    ※このエントリをきっかけにして、を出しました。 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784098252077 http://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20140921/1411290361 ごみ収集のサービス(の一部)を受けるには、自治会に加入しないといけないというこの話。 ゴミ収集は行政のサービスだろ? 元増田が引っ越した鹿児島のある自治体では、ごみをステーションに捨てようとしたら「お前は自治会に入ってないからこのステーションは使えない」と言われたというのだ。 元増田は、ごみ収集は自治体(市町村)の仕事なのだから、税金で支出されるべきで、自治会費負担をからませられてはかなわない、と主張する。これにたいして、はてブのコメントでは、 自治ってこういうことだろ、住んでる所によって行政サービスや経費が

    義務や強制のない、自治会費ゼロの自治会をつくったよ - 紙屋研究所
  • 國分功一郎・古市憲寿『社会の抜け道』 - 紙屋研究所

    革命と改良 社会問題の解決、ということについて、古市と國分が語り合っている。一言で言って、國分が論じて古市が突っ込んでいる。だから國分のだといえる。このは社会問題の解決、ということがテーマで、オビにあるように、「あらゆる社会問題は『解決』しない。けれど、必ず“抜け道”はある」ということが主張の核になっている。 そして…なぜか書には随所にマルクスが登場する。そんなに必然性があるとは思えない箇所にいろいろマルクスが。マルクスが社会問題の解決として意識されているのだ。まあ、國分がドゥルーズがどうした、フーコーがこうした、と言っている哲学者なのだからその前提になっているマルクスが「チラッチラッ」と意識されて当然なんだけど。 ということは、そう、これは「革命と改良」をめぐるだといえる。 「革命と改良」はマルクス主義では古くからあるテーマだ。 改良を積み重ねて社会を改革するのか、それとも革命

    國分功一郎・古市憲寿『社会の抜け道』 - 紙屋研究所
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    pha 2013/12/17