[書評] クリスパー CRISPR 究極の遺伝子編集技術の発見(ジェニファー・ダウドナ、サミュエル・スターンバーグ) 10月上旬に出版された『クリスパー CRISPR 究極の遺伝子編集技術の発見(ジェニファー・ダウドナ、サミュエル・スターンバーグ)』(参照)は日本の社会でどのくらい読まれただろうか。この間、ブログを事実上お休みしていたものの、気になる本は読んでいた。本書読後のある種の呆然とした感じは忘れられない。困ったことになったな、人類、と思ったのだ。それをいち読者としてどう表現したらいいものか、その困惑もあった。 どういうことか。言葉で説明しにくいものでもない。本書の帯にあるように、本書のテーマは「人類の未来を変える『技術』を開発した女性科学者の手記」ということで間違いない。基本は先端科学者の「手記」であり、手記としての醍醐味は十分にある。 困惑に関連するのは、「未来を変える」の部