「車で連れ回されています。6時ごろまでには帰ります」と電話してきた妻が、今も帰ってこない-。津山市で2002年、主婦、高橋妙子さんが54歳で行方不明になり、17年。「妻がいなくなっても、自分の人生を生きていかなければいけない」。夫の医師、幸夫さん(76)は現実と向き合い、苦悩する日々を送ってきた。 17年前の夕方、幸夫さんが仕事から帰ると玄関が開いていた。出しっ放しの風呂場の水道に、飲みかけのコーヒー。うろたえていると、自宅の電話が鳴った。「妙子、どこおるん。誰とおるのや」「車で連れ回されています。警察には言わないで」。この会話を最後に、行方不明となった。 県警は公開捜査に踏み切ったが、難航。幸夫さんは集団的過熱取材(メディアスクラム)に苦しんだ。自宅のインターホンは鳴りやまず、カーテンを開けて外を見ると、多くのカメラが並んでいた。「あの頃はマスコミに怒り心頭だった」 この記事は有料記事で