「なんだか自分だけ浮いている気がする」――。そんな時に、周囲に期待される理想像を演じたことはありませんか。うまく演じて嬉しくなる一方で、自分の気持ちや容姿を否定したり、偽っていることに悩んだり。理想的な娘や息子、理想的な妻や夫を演じて悩む友人がいる中、「ハーフ」の当事者として生まれた私が翻弄され続けたのは「理想的なハーフ」でした。(朝日新聞記者、国米あなんだ) 【マンガ】運動会、会場から注がれる熱視線とため息の理由「アフリカ少年が日本で育った結果」 大学4年生の春、就職活動をしていた私はある出版社の面接を受けました。 会議室の一室。社員2人を前に和やかな雰囲気で、面接は進んでいました。 志望動機や学生生活で取り組んだことなど通り一辺の質問をいくつか聞かれた後、人当たりの良い、年配の男性が身を乗り出すようにして尋ねました。 「ハーフに生まれて得だったことってなんですか」 笑みを浮かべた男性の