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ブックマーク / honz.jp (12)

  • 『死の貝 日本住血吸虫症との闘い』著者、小林照幸にあの頃のこと訊く - HONZ

    死の貝:日住血吸虫症との闘い (新潮文庫 こ 28-2) 作者: 小林 照幸 出版社: 新潮社; 文庫版 発売日: 2024/4/24 小林照幸『死の貝 日住血吸虫症との闘い 』(新潮文庫)が注目されている。4月24日に上梓されて以来、現在4刷、累計2万6千冊のスマッシュヒットだ。26年前の1998年に出版されたが、なぜいまこんなに注目を浴びているのか。以前より小林照幸のを”激推し”してきた東えりかと、医学者・仲野徹が話を聞いた 仲野 『死の貝』は昔読んだ記憶があったけれど、文庫化されたのも20年以上時間が経ってからだし、こんなに注目されることってある?と不思議になりました。どうして突然文庫化されたんですか? 小林 それは新潮社さんからご説明頂きましょうか。 編集部 もともと新潮社の営業部と未来屋書店で、月に一回、情報交換の定例会議をしています。そのなかで女性書店員さんが「そういえ

    『死の貝 日本住血吸虫症との闘い』著者、小林照幸にあの頃のこと訊く - HONZ
  • 『無人島のふたり』余命宣告された作家の最期の日々 - HONZ

    訃報はいつだって突然だ。著名人が亡くなると、生放送中のスタジオに報道の人間が原稿をもって駆け込んでくる。速報は一刻も早く放送するのが鉄則だが、そこに記された名前に驚き、思わず足が止まってしまうことがある。訃報にあらかじめ心の準備をしておくことなんてできない。誰かの死に慣れることはこの先もきっとないだろう。 山文緒さんが亡くなったという報せも突然だった。 2021年10月13日、膵臓がんのため死去。58歳だった。 山さんは前年、7年ぶりとなる長編小説『自転しながら公転する』を発表したばかりだった。地方のショッピングモールで働く32歳の女性を主人公にした同作はまぎれもない傑作だった。 NHKの『朝イチ』だったと思うが、軽井沢のご自宅で、キツツキが家の外壁に開けた穴をリポーターに見せたりしながらインタビューに答えていたのをおぼえている。その時の楽しそうな表情がとりわけ印象に残っているのは、山

    『無人島のふたり』余命宣告された作家の最期の日々 - HONZ
  • 医学界の「怪物」、その壮絶なドラマ『ゴッドドクター 徳田虎雄』 - HONZ

    徳田虎雄。その名を聞いたとき、どのようなイメージが思い浮かぶだろう。医療に風穴をあけた風雲児、潤沢な資金をバックにした金権政治家、あるいは、難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)と闘う患者だろうか。それは世代や立場によって大きく異なってくるに違いない。いや、そもそも若い人には、その名さえ知られていないかもしれない。 まったくの徒手空拳から、昭和48年、大阪の松原市に建設した徳田病院を皮切りに、徳洲会病院を全国に開院。「徳洲会事件」によりすでに経営者の座を追われたといえ、71の病院と約3万人の職員を擁し、グループ全体で4,200億円もの売上げを誇る、日最大にして世界屈指の病院グループの礎を築いたのが徳田虎雄だ。 その一代記であるこの、面白くないはずがない。まずは冒頭のシーンで度肝を抜かれる。医療界の話のはずなのに、山口組傘下のヤクザ-警察がいうところの暴力団-の「事始め」の儀式から始まるのだ

    医学界の「怪物」、その壮絶なドラマ『ゴッドドクター 徳田虎雄』 - HONZ
  • 『資本主義と闘った男』我々がまだ知らない本当の宇沢弘文とは - HONZ

    私たちはまだ当の宇沢弘文のことを何も知らない・・・これが書を読了しての思いである。そして、宇沢とは何者で、どこから来て、どこへ行こうとしていたのか、その全てを詳らかにしてくれるのが書である。これをきっかけに宇沢の功績の再評価が行われるに違いないと確信させる、経済学歴史に残る名著である。 「ノーベル経済学賞に最も近かった日人」であり、「社会的共通資」(Social Common Capital)の重要性を訴えた思想家である「宇沢弘文」という巨人の全貌を理解するのは至難の業である。その裾野は限りなく広く、その頂きは限りなく高く、私たちを容易には近づけてくれない。 そうした意味で、宇沢は自身が語っているように、ひとりぼっちの孤独な思想家であり社会活動家だった。多くの天才たちが同時代の人々に理解されてこなかったように。そして、その孤高の天才の86年に及ぶ生涯を、大部な640頁の評伝にま

    『資本主義と闘った男』我々がまだ知らない本当の宇沢弘文とは - HONZ
    placeinsuns
    placeinsuns 2019/06/16
    東大の助教授時代。学生に向かって「この講義の教科書はサルにも分かるように書いてある」と講義初回で言い放ち、95%の東大生が自分がサル以下であることを自覚して次回以降来なくなるという伝説の先生だったそうな。
  • 最近海外の人が増えたなあ。そんな人は『ふたつの日本』を。 - HONZ

    コンビニのレジの人、どこの国の人だろう? 技能実習生が失踪って、なぜそんなことに? 移民に関する政策ってどうなっている? 日に「暮らす」在留外国人はすでに263万人、日の人口の約2%だ。ただ、その内訳は思った以上に複雑だ。周りに外国人は増えていくのに、自分は対応できていないような。この、大きすぎてわからない問題をクリアに「見える」化してくれる、しなやかな一冊の登場だ。 「移民」を真っ向から丹念に書く著者の望月優大さんは、1985年生まれ。経歴が華やかで、東大で修士課程を終えた後、経済産業省、グーグル、スマートニュース、を経て独立し、現在は株式会社コモンセンスの代表をつとめる。 最近では「ニッポン複雑紀行」なるウェブマガジンで、その文章をご覧になった方もいるかもしれない。 これは「日の移民文化・移民事情を伝える」ことを目的とした、難民支援協会のウェブマガジンで、望月さんはライター兼編集

    最近海外の人が増えたなあ。そんな人は『ふたつの日本』を。 - HONZ
  • 『スモール・スタート あえて小さく始めよう』会社員のうちに始めよう - HONZ

    新しいことを始めたい、だけどなかなか始められない。そう思っている人のやらない理由を、一つずつ消していってくれる一冊だ。 著者の水代優さんは、日橋浜町にHama Houseというブックカフェを作ったり、最近では丸の内にMarunouchi Happ.stand&galleryというPOP UP GALLERYを作った人物だ。とはいっても、何をやっている人なのか一言で説明するのがなかなか難しい。当に先鋭的なアクションというのは言葉で説明されても理解しづらいが、その場を訪れ直接体験してみるとなるほどと思うことが多いものだ。 しかしそんな水代さんの第一歩も、出来上がったものからは想像できないくらい小さなことから始まった。書は、それを実現するための思考回路が余すところなく収められた一冊である。時代からくる必然性、動き出すことに対するリスクの勘案、続けるためのノウハウ等、読み手の「でもさ〜」とい

    『スモール・スタート あえて小さく始めよう』会社員のうちに始めよう - HONZ
  • 『歴史は実験できるのか 自然実験が解き明かす人類史』 比べることで歴史の”なぜ”に答えを出す - HONZ

    歴史に“もし”はない。もし奴隷制がなければアフリカはもっと経済発展を遂げただろうか、もしイギリス統治がなければインドの識字率はもっと高くなっていただろうか、もしフランスではなくスペインに支配されていればハイチはドミニカよりも豊かになっていただろうか。想像力豊かに刺激的な虚構のストーリーを作り上げることはできても、時計の針を巻き戻し、ありえたかもしれない結末を知ることはできない。物理学者が気温などのあらゆる環境をコントロールしながら特定の条件だけを少しずつ変化させて行う実験のように、歴史を繰り返すことはできないのだから。 歴史だけでなく進化生物学や地史学のように過去を扱う分野では、因果関係を明らかにするための最も強力な手法である実験を、用いることができないのだろうか。そうではないと書の編著者であるジャレド・ダイアモンドとジェイムズ・A・ロビンソンは説く。歴史関連の学問においては、自然実験と

    『歴史は実験できるのか 自然実験が解き明かす人類史』 比べることで歴史の”なぜ”に答えを出す - HONZ
  • 『全電源喪失の記憶 証言・福島第1原発 日本の命運を賭けた5日間』あのとき何があったのか - HONZ

    あの日、自分はどこで何をしていたのか。みんなが語ることができる。それぞれの国の国民には、そんな共通の大事件や大ニュースがあるものです。 かつてアメリカでは、それはジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件でした。その後、2001年9月11日の同時多発テロになりました。 いま日で共通の記憶は、2011年3月11日でしょう。東日大震災の発生のとき、どこにいて、何をしていたのか。北海道や九州・沖縄の人にとってはテレビニュースで津波が押し寄せる映像を見たときの記憶が、いまも鮮明でしょう。 東日では、いつ止むともわからない絶望的な長時間の揺れに脅えた時間だったことでしょう。 私はあの日、成田空港に着陸態勢に入っていた全日空機の中でした。アメリカ・ワシントンでの取材が終わって帰国するところだったのです。いったん着陸態勢に入ったものの、機は上空で周回を始めました。「大きな地震が発生し、空港が閉鎖になりまし

    『全電源喪失の記憶 証言・福島第1原発 日本の命運を賭けた5日間』あのとき何があったのか - HONZ
  • 『息子が殺人犯になった コロンバイン高校銃乱射事件・加害生徒の母の告白』わかりやすい原因などない、という現実 - HONZ

    『息子が殺人犯になった コロンバイン高校銃乱射事件・加害生徒の母の告白』わかりやすい原因などない、という現実 コロンバイン高校銃乱射事件。1999年4月20日、コロンバイン高校の学生2人が無差別に発砲を行い最終的に自殺、教師1人と生徒12人が死亡し、24人が負傷した傷ましい出来事だ。発生から15年以上が経った今なお学校銃乱射事件の代名詞的存在とされるのは、犯人であるエリックとディランがそれぞれ卒業を間近に控えた、18歳・17歳の少年だったという若さだけが理由ではない。 2年以上をかけて準備されていた計画の周到さ。そして、何百人もの生徒たちでにぎわう昼時のカフェテリアを爆破するという残虐な構想。計算ミスや完成度の低さにより爆弾は不発に終わったものの、実際の被害を遥かに上回るその計画の大きさは、人々の間に驚きと恐怖の渦を巻き起こした。 言うまでもなく、この事件を題材にして過去に多くのが書かれ

    『息子が殺人犯になった コロンバイン高校銃乱射事件・加害生徒の母の告白』わかりやすい原因などない、という現実 - HONZ
  • 『戦争の物理学』戦史と物理学の歴史の見事な融合 - HONZ

    戦争にまつわる物理学のを書いている」著者がこう話すと、周りからは「物理学が戦争と何の関わりがあるんだい?」という言葉が返ってきたという。続けて「ああそうか、原子爆弾のことだね」と言われたという。『戦争の物理学』という書のタイトルを読んで同じように思った方も多いだろう。もちろん、書では原爆の事も論じられている。しかし、それだけではない。人を殺傷する際の運動エネルギーも全て物理の法則にのっとり行われている。書は古代から現代までの兵器の変遷を物理学の視点から読み解いた、一風変わった作品だ。 書は、それぞれの時代の兵器の変遷を説明し、その兵器がいかに活躍したかを戦記風に記述した後、兵器にまつわる物理的な話へと移る、という構成が取られている。このため、歴史好きの人にもお勧めできる一冊だ。 例えばロングボウという弓の話は「100年戦争」のさなか、ロングボウの活躍により圧倒的な兵力差を誇る重

    『戦争の物理学』戦史と物理学の歴史の見事な融合 - HONZ
  • 『ビッグデータ・ベースボール 20年連続負け越し球団ピッツバーグ・パイレーツを蘇らせた数学の魔法』MLBは新しい時代に突入した! - HONZ

    『ビッグデータ・ベースボール 20年連続負け越し球団ピッツバーグ・パイレーツを蘇らせた数学の魔法』MLBは新しい時代に突入した!解説 by 生島 淳 ここには、ページをめくるたびに、知的な興奮がある。 ここまでメジャーリーグは進化していたのか! という純粋な驚き。そして、なおかつ読んで面白い。『ビッグデータ・ベースボール』は、ポスト『マネー・ボール』の時代でもっとも刺激的なベースボール・ブックだ。 2013年、『ピッツバーグ・トリビューン・レビュー』紙に採用されたトラヴィス・ソーチック記者は、ナショナル・リーグ中地区のお荷物球団、ピッツバーグ・パイレーツの番記者となる。かつては鉄鋼の町として栄えたピッツバーグだが、IT産業など新しい町へと生まれ変わっていた。パイレーツは鉄鋼と同じく衰退の憂き目に遭い、アメリカン・フットボール、そしてアイスホッケーの人気に押され、ファンから20年以上も見放さ

    『ビッグデータ・ベースボール 20年連続負け越し球団ピッツバーグ・パイレーツを蘇らせた数学の魔法』MLBは新しい時代に突入した! - HONZ
  • 残念ながら、日本人の8割にこのビジネス書はいらない『異文化理解力』 - HONZ

    まずは下の写真を見て欲しい。これは「人物を撮る」ように言われた二人の被験者が撮影した写真だ。撮影した二人のうち、一人はアメリカ人、もう一人は日人である。どちらの写真がどちらによって撮られたものか、お分かりだろうか。 多くの人が正解を予想できたのではないかと思うが、左がアメリカ人、右が日人によって撮影された写真である。複数の被験者に対して行われたこの実験において、アメリカ人はほとんどの場合、人物の顔がはっきり分かるようにクローズアップ写真を撮った一方で、日人は背景まで写るように撮影し、人物が非常に小さくなる傾向にあることがわかった。 西洋の実験参加者「だけど人物の写真を撮れと言われたんだから、左のこそが人物写真だよ。右の写真は部屋の写真だ。どうして日人は人物の写真を撮れと言われて部屋の写真を撮るんだ?」 アジアの実験参加者「左の写真は人物写真とは言えない。顔のクローズアップ写真だ。こ

    残念ながら、日本人の8割にこのビジネス書はいらない『異文化理解力』 - HONZ
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