父は、娘心ってものがどうにもわからない人だった。 タコさんじゃないウインナー 真っ赤じゃないサクランボ 花火を見たいんじゃない! 互いの気持ちがわからなくてもイイ タコさんじゃないウインナー 幼稚園の頃、友達のお弁当に入っている「タコさんウインナー」に憧れていた。 赤くて可愛らしいウインナー。 そもそもウインナーなんて、食べたことがなかった私は、事あるごとに「タコさんウインナー食べたい」と言っていたのだろう。 ある時、父が帰宅途中に、街でウインナーを買ってきてくれた。 「今日のお弁当、ウインナーだよ」と言われて、朝からウキウキ。 ワクワクしながらお弁当箱を開けると、タコさんは不在で、代わりにベージュ色の何かが入っていた。 それが、ウインナーだとわかるまで、しばらく呆然とお弁当を見つめた。 帰宅して「美味しかった?」と聞かれて、タコさんじゃなかったショックを隠して、「美味しかったよ」と答えた