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ブックマーク / d.hatena.ne.jp/FUKAMACHI (13)

  • 正しい東映印の高品質「探偵はBARにいる」 - 深町秋生の序二段日記

    もう最近は多忙のうえに不眠症。酒も飲めずにガタガタな日々が続いている。 けれど、大泉洋のファン(にわかだけどね)ということもあり、近所のムービーオン山形に駆け込んで、「探偵はBARにいる」を見てきたのだった。これがもうめちゃくちゃおもしろかった。魂を完全にカツアゲされたというか。こうしてブログを書いちゃうくらいに興奮している。それぐらいすばらしかったのだ。 おもしろいというよりも肌にぴったりくる。とてもとても愛すべき作品というべきかもしれない。探偵モノとしては、ベタすぎるほどベタである。一匹狼でその日暮らしの探偵。謎の依頼人と運命の女。調査を進めれば、どこからともなく現れる「警告のために小手調べな感じで主役をいたぶる悪役」(プロレスでいえばボディスラムみたいな挨拶系な技をきちんと放つ悪役)、そしてやっぱり絵に描いたような悪い大物も登場する。 しかししかし、ベタな様式美であっても、やっぱりき

    正しい東映印の高品質「探偵はBARにいる」 - 深町秋生の序二段日記
  • キタノ版ダーウィンが来た! 満腹映画「アウトレイジ」 - 深町秋生の序二段日記

    さてさっそく「アウトレイジ」を見てきた。 いやー、よかったなあ。じつにすばらしい。後期北野映画の最高傑作などという前評判を耳にしていたけれど、評価はけっこう賛否両論(おすぎが週刊文春でやっぱりひとつ星をつけていた。まあ恒例行事みたいなものだが)だったこともあり、見る前はかなり不安があったのだ。 得意としているヤクザバイオレンスでも、過去には「BROTHER」というひどい作品があった。アナーキー気質のたけしさんが、自分でもさっぱり信じていないであろう任侠道を、たっぷりナルシスティックに美しく描こうとした野心作で、ヤー公のくせに、まるで空腹の仏さまのために、自分の身を炎に投じるウサギみたいなやつがいたり、ハラキリしちゃうやつがいたり、「アニキは最高だぜ」なんて黒人に言わせたりと、じつに気持ち悪い珍作であった。 たけしさん自身は、面倒見のいい親分肌で、義理人情に厚い人だといわれているが、義理人情

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  • 恨と忘却「戦場でワルツを」 - 深町秋生の序二段日記

    いやあ、これはすさまじい。上映後もしばらく立てなくなるぐらいに強烈な作品だった。 東京で上映されてから4カ月。おらが村でも上映されただ。まるで90年代のラウドロックのようなアニメ&フィクション&ドキュメンタリーごった煮映画「戦場でワルツを」である。「おくりびと」とアカデミー賞レースを繰り広げた映画として日でもちょっと知られた。これはフランクルの「夜と霧」と同じくらいに衝撃度が高いユダヤ人芸術の最高傑作ではないかと思った。 スクリーン数がバカみたいにあっても、いい映画はなかなかやってくれない土地で途方に暮れるけど、ひとまず見られたってだけで満足したいところ。映画愛のある山形の映画館「フォーラム」に感謝したい。 それにしても重苦しく、悲痛な戦争映画である。物語は、イスラエル人映画監督であるアリ・フォルマン自身の欠落した記憶を求めてさまようというパーソナルなもの。フォルマンは19歳のときに参加

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  • TBSの自己実現。(相手を殺して)明日にきらめけ。 - 深町秋生の序二段日記

    先日のTBS「K−1MAX」を見て、たぶん来年あたりから一気に興業がやばくなるだろうなと思った。今日はスポーツとテレビについて。 中量級選手による立ち技格闘技のイベントだが、それを魔裟斗ひとりがひたすら支えてきたのだと改めて実感させられる。それにしても川尻との対決は、試合内容こそはひどいものだったけれど(水に飛びこんだ牛をワニがらうようなものだった)観客の興奮はケタ違いだった。魔裟斗といういかにもな名前にあのホストっぽいマスクということで、敬遠する人も少なくないが、練習魔と強心臓で頑固な格闘技ファンをも唸らせていた。 しかし興業自体はつまるところひたすら魔裟斗頼りで、興奮がケタ違いだったということは、それ以外はさしてエキサイティングしていなかったという証拠でもあった。そのあたりは当然、K−1側も意識していたようで、TBS系総合格闘技の英雄である山KIDを拝借してきたが、その結果、韓国

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  • 天使映画というジャンル。最強の暴力映画「ヱヴァンゲリヲン破」 - 深町秋生の序二段日記

    「いやあ、見たなあ! エヴァを!」 というすがすがしい気持ちになった。友人知人たちのなかには「2回見た」「いや、おれは3回」と興奮しすぎるにもほどがある中坊たちが続出したのを受けて、のろのろと出かけていったのだ。とはいえ「序」すら見ていなかったので、金曜ロードショーで前作「序」(しかし日テレでエヴァを見るというのも奇妙な感覚だ)を確認した。 「序」は困ったことにおもしろくはなかった。テレビシリーズのダイジェストみたいで、改めて作る意図さえわからなかった。思えば「エヴァ」というのはDV夫のようなものである。むかしはとってもすばらしい人で、あたしにはすごくやさしかったの。だけどあの人もだんだんおかしくなって、殴る蹴るは当たり前。お金を奪い取るわ、意味のわからない理屈を唱えてからんでくるわで大変だった。「今度こそきちんとやるから。やり直そう」などと何度も甘い言葉をささやいて、けっきょくは「気持ち

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  • 日本家族の崩壊モデル。ザ・ノンフィクション「漂流家族」 - 深町秋生の序二段日記

    これはやばいなあ。現代日の家族の闇を描いた衝撃作だろう。フジテレビがひっそり流すザ・ノンフィクション「漂流家族 竹下家の9年間」である。 いろんなところで反響があるようで、id:tada-woさんから録画DVDを借りて見たのだが、絶句してしまった。彼のブログから引用する。非常にうまくまとまっている。 http://d.hatena.ne.jp/tada-wo/20090616/1245138703(因果鉄道999・埼玉-北海道(前編) - アマルフィ 日和) 埼玉県に住む竹下一家。家族構成は父母と6人姉妹(全員、女の子)の8人家族。彼らは心機一転として、北海道の浜頓別(はまとんべつ)という田舎町で行われる、街の活性化を目的とした州からの移住計画に参加(いわゆる田舎で暮らそう、というやつ)。この計画は、移住して三年の間に、浜頓別に家を建てて定住することが条件で、その間の住居は地元の自治体

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  • 深町秋生の序二段日記

    上映が終わってからもなかなか椅子から立てなかった。 プロレスやレスラーに対する愛や敬意にあふれていて、作品は悲哀と孤独を濃密に描いているものの、鑑賞中はとてつもない幸福に包まれていた。「おもしろい」「泣ける」というよりも、ここでぴったりくるのは「ありがとう」という言葉だった。アロノフスキー監督や主演のミッキー・ローク、すべてのスタッフに対して感謝を述べたい。ありがとう。 80年代にMSGを賑わせたレスラーの“ザ・ラム”ランディ。だが20年後の今はかつての栄華を失い、ニュージャージー(アメリカにおける埼玉みたいなとこ)周辺のドサ回りで糊口をしのいでいる有様。わびしいトレーラーハウスの家賃すら滞納し、近所のスーパーでバイトをしながらのカツカツ生活を強いられている。家族はすでにバラバラ。ちがう生き方を選ぶ余裕さえ失われている。長年のレスラー生活で、身体は悲鳴をあげ続けている。どんづまりの人生。そ

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  • 深町秋生の序二段日記

    プロレスラーの失敗はなぜこうも面白いのだろうか。 宝島社のムック「プロレス下流地帯」はプロレス氷河期時代における墓場荒らしみたいな内容でとてもおもしろかった。売り切れ&大増刷がなされたらしいのだが、プロレスファンとしては複雑な心境である。 今回は、「堅実経営」「プロレス界の盟主」と言われたノアの凋落を取り上げていた。テレビ中継の打ち切りと、やることなすことが堅実というよりただの中途半端で終わっている現状と、深刻な内部抗争を取り上げていた。 また養豚場で働く安田(作業服が板についている)や首を切られた新日の田山レフェリーの告白、道場すら持てないゼロワンの苦境を語るジュニア戦士高岩のインタビューなどが胸を打つ。 しかし何と言ってもおもしろすぎたのは試合よりも団体経営自体がスペクタクルすぎてファンにはこたえられなかった長州のWJだ。経営の中心人物で90年代新日黄金期を築いた永島勝司の著書に基づ

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    いやあ、すごいもん見た。魂消たよ。 映画ファンやアメコミ好きにとってはひとつの「事件」と化している「ウォッチメン」の映画版。いよいよ日でも劇場公開となったが、なるほどこれはすごい。改めてハリウッドはどんどんおもしろくなっていくなあと思った。イラク侵攻の失敗と悪政と金融危機によって、格的に21世紀型ニューシネマの時代に突入したのだなあと思った。 昨年の映画界の話題をさらった「ダークナイト」でも、正義が混沌にぐいぐい呑みこまれていく暗黒物語が展開されていたが、「ウォッチメン」はさらに危うさを追求したエクストリーム大作に仕上がっていた。三分に一度の割合で噴出する容赦のない暴力も大変すばらしく、火あぶりや油ぶっかけ、指折り腕折り叩きつけ、切断感電木っ端微塵と、病的なほどに取り揃えられた暴力メニューの豊富さにエクスタシーを覚えたことも書いておく。暴力を見せる(魅せる)という意味では、「ダークナイ

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    「東京デッドクルージング」おかげさまで評判がよく、書評も徐々に目にするようになり、取材の申し込みも複数あり、ありがたい状況だ。 去年から今年にかけてとにかく取材(と称して)しょっちゅう上京してはあちこち都内をうろついたが、そこで改めてはっきり感じたのが「東京も充分にださくて貧乏で郊外」ということだった。 http://www.hayamiz.jp/2008/08/post-3dc1.html(【A面】犬にかぶらせろ! 『東京デッドクルージング』東京論としてのノワール小説) 1980年代に、映画『ブレードランナー』や『AKIRA』などが荒廃した未来都市のイメージを提示したけれど、その後に続く未来都市像というとあまりパッとしたものではなかったように思う。その荒廃した未来都市のイメージを、この『東京デッドクルージング』は更新しようという意志が感じられる。この作品で描かれた東京をひと言で表すなら、

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    北海道で邦楽フェスのライジングサンロックフェスティバルを見ている。 今日はその初日のライブレポなど。二日酔いで頭がガンガンするけど。 フェスの前日に新千歳空港に入り、レンタカーを借りて小樽へ。あの北杜夫氏がウルトラ激怒した小樽のすし屋に行ってきた。「これはなんですか?」と冷蔵ケースに入ったネタを指させば「魚だよ、ふん」とつれなくあしらわれる……なんてことを期待していたが、とても腰の低いていねいな対応で全然つまらなかった。小樽のすし屋がそんなことでいいのかとハリー&大沢親分のように「喝! 喝!」と心のなかで叫んでおりました。 それにしても気温は低い。RSRフェス初日の気温は19度くらい。ただでさえ涼しい北海道で、しかも雨がざあざあ降るあいにくの悪天候。繁華街の狸小路にあるドンキで180円の使い捨て合羽を買うが、これがなかったら低体温で病院に担がれていたかもしれない。東京は35度を記録していた

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    上杉隆氏の「ジャーナリズム崩壊」を読んだ。 感想を率直に述べるとあまり面白くはなかった。 なにがどう崩壊しているのだろうとわくわくどきどき期待していたのだが、書で取り上げられていたのはなんと記者クラブについてだった。記者クラブだけといってもいいと思う。 メディアに批判的な目をもつ人間ならば、日の記者クラブがどれほど問題を抱えているかというのは多かれ少なかれすでにいやというほど知っていると思う。しかし書の内容は「記者クラブというのは権力に弱くて閉鎖的で談合しまくってて」といったもので今さら感がかなりぬぐえなかった。なにか違った部分を取り上げるわけでもなく、最後までとことん「記者クラブってのはいくないなあ!」という意見が続くのだから困ってしまった。「欧米のジャーナリズムはなかなかに立派だが、それに比べて日は」というスタイルもちょっと困りものだ。欧米のジャーナリズムが立派ならなぜ去年はパ

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    その日はすでに嫌な予感がしていた。幕張のサマーソニック08に行ってきた。 愛するPerfumeのライブだというのにとにかく億劫だった。どう考えてもかなり辛いものになるであろうという予測しかできなかったのだ。で、現実にそうなった。 Perfumeはダンスステージで12:30スタート。持ち時間はたったの30分くらい。人気絶頂のアイドルグループを狭いほうのステージで登場させればどうなるかも、ある程度わかっていたつもりだが、やはりえらいことになった。 私はステージに向かって右側にいたので、それほど圧縮はきつくなかったのだが、あまりに人がぎちぎちに入ったおかげでライブ中に将棋倒しが起きたらしい。ちょうど現在ヒット曲の「love the world」中だ。こちらが詳しい。 http://d.hatena.ne.jp/loving_rabbit/20080809/1218336699(8/9 SUMME

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