多くの読者にとって世界金融危機後の中国経済は大きな関心事だと推察する。中国と商売をしている世界中のビジネスパーソンにとって、中国の5年後、10年後を見通すことは死活的に重要であろう。私たちにとって最大の問題は、識者や専門家の間でも明確なコンセンサスがないことだ。 エコノミストの中には、何が起きようと中国経済の成長は続くとする楽観論と、政治的、社会的理由により経済成長はいずれ頭打ちになるとの悲観論が並存する。チャイナウォッチャーの間でも、共産党の一党独裁は当面安泰だとする説と、生活水準の向上がいずれは政治の民主化を促すと見る説が拮抗している。 現在の経済的繁栄が民主化を促進しているとは思えないが、さりとて社会的変化が皆無というわけでもない。一体どちらの見方が中国の実態に近いのか。ここでは結論を出す前に、現在巷に氾濫する様々な「対中認識」を整理することから始めたい。読者の皆さんがイメージする中