前回の続き。 手塚治虫氏本人の思い出話から、手塚氏のアニメに対する想い、 虫プロの社風のようなものにまで話題は及んでいます。 杉井 僕にとって、手塚先生が後々までいちばん印象的だったのは、『アトム』なんかで、みんなもうメチャクチャに似ても似つかないアトムを描いたりしても、一度も手塚先生が「キャラクターが違う」と言ったことがなかったことなんだよね。いまのマンガ家さんでしたら、原作と違うとか、僕のマンガと違うとか言いますけど、手塚先生は一度も言ったことがないんです。それが不思議でしょうがなくてね。 富野 言われてみればそうだった。 杉井 ただ、それで段々年数がたってきたら、いや、この人はアニメをまじめにやる気はないからなんだと気付きました。さっきも出ましたけど、当時もうマンガで全部、自分の仕事を仕上げてしまっているから、アニメは遊びでいいんだと。僕は正直、恨んで言うんじゃないけれど、アニメに