日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は7日、「日本の家計の値上げ許容度も高まってきている」とした前日の発言について「適切ではなかった。誤解を招いた表現であり、申し訳ない」と謝罪した。食品やエネルギー価格が上昇するなか、大幅な賃上げがないと国民の不満は募るばかりだが、専門家は「年6~7%の経済成長で10年で所得倍増を目指すことは可能だ」と指摘する。 黒田氏は「家計としては、いわば苦渋の選択として、やむを得ず値上げを受け入れている状況だと思う」とし、「賃上げの必要性がより高まっているという文脈で申し上げた」と釈明した。 物価が上昇し、4月の実質賃金が下がったタイミングだけに、黒田氏の発言は「無神経」と批判された。為替市場では一時、1ドル=133円台まで円安が進み、金融緩和政策の継続にも黄信号がともりかねない状況だ。