1900年頃、研究所で顕微鏡をのぞき込むロベルト・コッホ。(SÜDDEUTSCHE ZEITUNG PHOTO/AGE FOTOSTOCK) 結核は、何千年にもわたって人類を苦しめてきた。インドでは3300年前、中国ではその1000年後に、結核の存在が文献に記されている。古代ギリシャの医者、ヒポクラテスは「当時流行していた病気の中で最も重大なもの」と呼んだ。1680年、英国の作家ジョン・バニヤンは、結核を「死をもたらすあらゆる者の中の船長」と位置づけた。(参考記事:「ヨーロッパ人の1/3が死んだ「黒死病」、歴史の教訓」) 19世紀の欧米では結核が猛威をふるい、7人に1人が死亡したと推定されている。プッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』、ドストエフスキーの小説『罪と罰』、ムンクの絵画『病める子』など、当時の偉大な芸術作品のなかでも取り上げられたように、結核は社会に大きなショックを与えた。 18