昨日 TeX Live 2021 がリリースされました.このリリースには例年通りさまざまな TeX 関連プロダクトの新しいバージョンが含まれていますが,今年は実に7年ぶりに Knuth によるオリジナルの TeX 処理系もバージョンアップしました.もちろん TeX は既に開発終了が宣言されており,今回も大きな変更が入ることはありませんでしたが,いくつかのマイナーなバグ修正が行われました.実用的な TeX ユーザにはほとんど影響のないところではありますが,TeX 言語者としてはその更新内容はとても興味深いものであるので,本稿ではその修正内容について語ってみようと思います. 背景 Knuth によって開発されたオリジナルの TeX 処理系 (Knuthian TeX) は,バージョン3になった時点で既にその開発が概ね終了したと宣言されており,以降は原則としてバグ修正以外は行われないことになって
![TeX tuneup 2021: 7年ぶりの TeX アップデート | ラング・ラグー](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/de1d7e0a0d4a9a4d57162ba8e64970149e75a716/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fblog.wtsnjp.com%2Fimages%2Ftuneup2021%2Feyecatch.png)