引っ越しに伴う書籍整理で気が付いた点について、愛書家の皆さんに注意を促したい。 1. 本は兎も角重い。引っ越し屋のくれる小さい段ボール箱一つで二十キロ程度になるらしい(運送屋談)。 2. 書棚の収容量は相当なものである。動かしたことのない人はあまり考えたことがないだろうが、高さ百八十センチの書棚四本半で、段ボール箱二十箱は軽く越える可能性がある(即ち、四、五百キロにはなる)。 3. 一部書籍以外売却はほぼ不可能。引き受けてもらえたとしても値は付かない。図書館もまず引き受けない。断言しておこう——今や書籍には、持ち主自身にとっての使用価値しかない。 4. ビニールのカバーを被っている書籍のある方、今すぐ取って捨てるべし。十年経つとべたついて始末に負えなくなる。古いものは収縮して本の表紙を傷める。プレイアッド版のビニールカバーの場合は湿度を篭らせて本体の表紙に水膨れを作る。或いは接触する本に張