タグ

ブックマーク / jun-makino.sakura.ne.jp (20)

  • ./note002.html

    2. ローラー式滑り台の力学 (2023/1/9) すべり台の動摩擦係数の実測研究 (著者: 村田, 次郎 立教大学理学部、塩田, 将基 立教大学理学部) というプレプリントが公開されていました。著者の村田氏は立教大学理学部教授で、 塩田氏は2021年度の卒業生です。 研究の内容は大変興味深いもので、アブストラクトに 「重い人ほどすべり台を速く滑るのは何故か」という疑問を動機とし た,すべり台の摩擦に関する大学生の探究学習の実践例 とあるように、すべり台を滑る速さと重量の関係を調べ、その原因を検 討したものです。以下、これを「村田・塩田論文」と書きます。(あるい は単に「論文」) なお、滑り台といっても、小さな公園によくあるステンレスとかの板の 滑り台ではなく、ローラー式というもので、滑るところが板ではなくて 直径数センチのローラーが並んでいるものです。例えば ここに写真と図面があります。

  • 156. 富岳から学ぶべきこととポスト富岳 (2022/4/20)

    156. 富岳から学ぶべきこととポスト富岳 (2022/4/20) 年度も変わって、牧野の旧理研AICS、現R-CCS での「粒子系シミュレータ研究チーム」も10年の年限ということで解散になりました。富岳開発のFS2020プロジェクト自体は前年度、2020年度で終了しており、プロジェクトリーダーの石川さんは既に2020年度末に R-CCS を離れています。 AICS を R-CCS に名称・組織変更し、機構長/副機構長も全て入れ換えた理事長は昨年度末で交代となり、理事も大きく入れ替わったようで、名称変更はプラスだったのか?という気はします。名称・組織変更(及び各センターのトップの入れ換え)は前理事長が進めたもので、AICS だけでなく基的に全センターが対象になりました。新理事長がこれから理研をどういう方向にもっていくのかは注目されます。 一方、ポスト富岳は今年度にフィージビリティスタディ

  • ./note155.html

    153. 2021/11 Top500、Green500とゴードンベル賞から考える(2021/11/20) SC21 はハイブリッド開催で、日からも R-CCS 松岡センター長を始め多くの 参加者が現地にいったようです。私は著者にはいってる論文もないので不参加 です。 まずは Top500、Green500 です。Top500 は富岳が4度目の1位です。但し、中 国の2システムが1EFを超えているらしい、とのことでちょっとそれどういうこ となの?という感じがあります。その1つは Sunway OceanLight であるらしく、 もう一つは Tianhe-3 で、FeiTeng Arm + Accelerator、さらにもうひとつ 開発中の2EF システムは Sugon で、プロセッサは AMD?、ということのようです。 Gordn Bell 賞には中国から 3 がファイナリストに残っ

  • 129. 重力波検出の意義と今後の進展(2016/2/12)

    130. 重力波検出の意義と今後の進展(2016/2/12) 重力波が検出されました。ここではその科学的意義と今後するべきサイエンス について解説し、私見を述べます。 まず、何がどのようにして観測されたか、ですが、 論文 にあるように、 36 太陽質量(太陽の質量の36倍)のブラックホールと 29太陽質量のブラックホール同士の合体です。起こった場所は正確にはわから ないですが、我々からの距離はわかっていて13億光年です。 何故重力波を観測したというだけでブラックホールであるとか質量とか距離が いきなりわかるのか、というと、ブラックホールの合体、というイベントを考 えると、その最重要なパラメータは質量です。合計の質量で最後の合体の瞬間 にでてくる重力波の周期が決まり、質量の比もわかると振幅の絶対値が決まります。 さらに、最後の合体の前の数回転でどれくらいの速さで軌道が縮んだか、とい うことか

  • ./note121.html

    120. フラグシップ2020(2014/7/24) 日、 ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題についての検討委員会 の第4回(公開)があり、その場で「資料4-1 フラグシップ-2020 プロジェクトについて」 が配布されました。 これは、従来「ポスト京」とか「エクサスケール・スーパーコンピュータ開発プロジェクト」といっていたものの計画及び名称変更について、文部科学省計算科学技術推進室から説明したものです。 従来の計画からの大きな変更は、「加速部」といわれていたものがなくなり、「汎用部」だけのシステムになったことです。 私は、今回の計画においてアクセラレータ及びメモリ削減型のシステムを取り入れるべく努力してきました。日の文部科学省からの提案がこのような形になったことは一重に私の力不足によるものであり、関係する皆様には深くお詫び申し上げる次第です。 まずは以上です。今後の

  • 119. 陰解法にサヨナラを(2014/6/9)

    この方法は簡単でよいのですが、空間刻み を小さくすると、そ の自乗に比例して時間刻み を小さくしないといけない、という 問題があります。これはフォン・ノイマンの安定性条件といわれるものです。 この限界より大きな時間刻みでは解が発散します。 陰解法のもっとも簡単な形は です。これは の全部についての連立方程式になっていますが、1次 元の場合は簡単に解けるのであまり問題はありません。で、この形では、時間 刻みをどんなに大きくとっても解が不安定になることはない、ということが知 られています。 拡散や熱伝導だとまあこうするしかないみたいなところもあるのですが、陰解 法は流体の数値計算でも広く使われています。これは、流体では CFL 条件と いうものがあり、陽解法では時間刻みが (ここで は音 速)を超えられないからです。 超音速のロケットやミサイルの数値計算ならどうせこの条件が効くのですが、 音速

  • ./note079.html

    78. アムダールの法則 (2010/1/14) アムダールの法則は、並列計算の効率についての法則と思って使う人が多いで すが、ムーアの法則と並んで誤用が多いものです。元々のアムダールの論文で は、主張されていることはあるプログラムのうち x の部分を P 倍速く実行す るけど残りの (1-x) のところはそのまま、という計算機を作ったとすると、 プログラムの実行速度はもとの計算機に比べて 1/(1-x+x/P) 倍であり、 P が 無限大であっても 1/(1-x) である、というものです。 これは、まあ、 30年くらい前にベクトルプロセッサとかの議論をする時にはそ れなりに意味があったし、現在でも、例えば SSE 命令や AVX 拡張のような、 命令セットの拡張、あるいは OpenMP やスレッド並列のような共有メモリ並列 化の効率を議論する際には十分に意義があります。 しかし、近年の、

  • ./note040.html

    39. ベンチマークの考え方 (2006/12/14) さて、ベンチマークです。計算機アーキテクチャに対してなんらかの方法で定 量的な評価をしながら作るとすれば、結局それはベンチマークをするというこ とです。 問題は、ではどうやってベンチマークを選び、どうやって測定するか、という ことです。どういう方法が正しいか、というのは良くわからないので、まず現 在どういう方法がやられていて、どういう問題があるか、というのを考えてみ ましょう。 ここ15年ほどの間、複数の計算機アーキテクチャ間の比較に使われる標準的な ベンチマークというと spec でした。これは、 なんらかの意味で「代表的」あるいは「標準的」なアプリケーションを 10 個くらい選ぶ それらはソースプログラムレベルで固定で、コンパイルオプションくらいは 変えてよい (アプリケーション毎に変えるか、全アプリケーション共通かの 選択肢あり

  • ./note116.html 「京」でのプログラム最適化

    115. 「京」でのプログラム最適化 石山君・似鳥君の宇宙論的 N 体計算用 TreePM コードは「京」で 53%(だっけ)と いう驚異的な実行効率をだしたわけですが、これは2008年には天文台の Cray XT4 で 2048 コアまで十分スケールするプログラムを開発済であった石山君と、 重力計算カーネルの部分で理論的に可能な性能の 97% という効率を引き出す ことに成功した似鳥君の才能と努力によるものです。 普通のプログラムを普通に「京」で実行した時の効率は、典型的には 1-2% で あるようです。これは、大雑把には以下のように理解できます。 「京」の B/F は 0.5 であり、そこそこ複雑な積分スキームの流体コード等 で理想的にチューニングができた時の実行効率が 10-20% である。 SIMD ユニット2つを有効利用できていないと、これは 1/4 程度に落ちる 最内ループに条

  • 114.2012年ゴードンベル賞

    114. 2012年ゴードンベル賞 今年度のゴードンベル賞は石山君、似鳥君と、一応牧野も共著者にはいってい る、「京」全体を使った宇宙論的 N 体計算で 5.67PF (10月の最終アップデー ト後)を達成したという論文に与えられました。 私は口をだすとか論文に赤をいれるとかフルノード実行の時間作ってと 連携推進会議でお願いするとかくらいしかしてないので、これは基的に 全て石山君と似鳥君の成果です。 「京」でここまでの性能を達成したのは当に素晴らしいことです。 今回はファイナリストに5グループ残っていて、実行性能では BG/Q フルシステ ム(セコイア)を使った2グループが 11 PF や 14PF を達成しています。14PF の ほうはアルゴンヌのグループで、やっていることはこちらと全く同じ大規模な 宇宙論的N体計算、アルゴリズムも基的に tree と PM の組合せです。 が、石

  • ./note023.html

    22. 早野龍五氏ロング・インタビュー2 ——原発事故後、なぜ早野氏は「黙らなかった」のか (2012/8/28) 早野龍五氏ロング・インタビュー2 というものが Web 上にでています。 3.11 後色々な意味で活躍されている早 野氏が現時点で当初の活動を自ら振り返ったものとして非常に貴重なかつ 興味深い内容になっているので、少し詳しく見てみると有益と思います。 早野:そうなんです。当日、家に帰ってみたらテレビが壊れていました。し ばらくして、インターネットでテレビのストリーミングが始まったので、原 発が変だというのがわかったんです。 最初のツイートがツイログに残っていますが、この時にセシウムと聞いて意 味がわかった人は日中にほとんど居なかったはずです。ですから、セシウ ムというのはどういうものかというのを、解説しはじめたのが最初です。 ### 3月12日 14:22 hayano C

  • 113. 情報科学技術委員会 次世代スーパーコンピュータ概念設計評価作業部会(第2回) 配付資料 (2012/6/13書きかけ)

    113. 情報科学技術委員会 次世代スーパーコンピュータ概念設計評価作業部会(第2回) 配付資料 (2012/6/13書きかけ) 情報科学技術委員会 次世代スーパーコンピュータ概念設計評価作業部会(第2回) 配付資料 が公開されました。これは「京」(当時は次世代スーパーコンピューターとい うプロジェクト名でしたが)の開発方針を決定した大変大事な会議です。 この中でも特に重要のはマル秘マーク付きの これです。 スライド 25 には、2007年段階でアクセラレータを採用しなかっ た理由が書いてあります: 「2者のシステム構成により、目標性能達成の見込みが確認できたため、 アクセラレータの採用は考慮しない」 つまり、アクセラレータ付きの構成と無しの構成の優劣は比較しないで、 「アクセラレータ無しで目標達成できるからアクセラレータ無しにした」 という論理です。これは設計の比較方向としてはかなり奇妙

  • Talk slides

  • 捏造./note020.html

    19. 捏造 (2012/4/18 19微修正、20追記) 19.1. loglogos さんのブログ mogmemoさんをめ ぐる騒動についての考察 という文章を書かれた方ですが、この記事を こちら に移動されました。移動前には 国立大学の先生方:例の動画は、youtubeで一発削除になるレベル(実際なっ ている)の名誉毀損・人権侵害に関わるような内容なのだが、残念ながら国 立大学先生方がその拡散に関わっていた.例の動画のtwitter上での拡散のト スを上げたのが東工大の牧野教授、それに全力でのっかったのが群馬大の早 川教授である.正直、そんなに低い人権意識を露呈して大学の先生として脇 が甘くないですか?と心配せざるを得ない. となっていたものが 国立大学の先生方:例の動画は、youtubeで一発削除になるレベル(実際なっ ている)の名誉毀損・人権侵害に関わるような内容なのだが、残念な

  • 17. 印象操作 (2012/3/31 4/1微修正)/./note018.html

    17. 印象操作 (2012/3/31 4/1微修正) mogmemoさんをめ ぐる騒動についての考察 という文章があります。 匿名でこの記事1つだけの「ブログ」ですが、 国立大学の先生方:例の動画は、youtubeで一発削除になるレベル(実際なっ ている)の名誉毀損・人権侵害に関わるような内容なのだが、残念ながら国 立大学先生方がその拡散に関わっていた.例の動画のtwitter上での拡散のト スを上げたのが東工大の牧野教授、それに全力でのっかったのが群馬大の早 川教授である.正直、そんなに低い人権意識を露呈して大学の先生として脇 が甘くないですか?と心配せざるを得ない. と私のことが名前を出して書いてあるので少し詳しくみてみましょう。 このブログ作者氏の主張は mogmemoさんが世論操作したのではなく、ある種の人たちに勝手にイメージ を作られ、世論操作の道具として利用された可能性が非常

  • 16. 科学とその退廃 (2012/3/25) - 牧野淳一郎

    16. 科学とその退廃 (2012/3/25) 去年 3/11 の地震、それにつづいた福島原発の事故から 1 年が過ぎました。 ある意味、もっとも驚くべきことは、これほどの大事故から1年たった今になっ ても日政府はまだ全原発停止に踏み切れていないということでしょう。 何度も書いたことですが、日に54基ある原発のうち4基が事故を起こし、 これまで世界で1例しかなかった INES レベル7の事故となって膨大な量の 放射性物質を主に東日と太平洋にばらまいたわけです。 関東の人間にとっては極めて幸運だったことに、大量の放射性物質が関東に飛 来した 3/15 には関東では降雨は殆どなく、関東の高レベルの汚染は 3/15には 起こりませんでした。が、福島県まで吹き戻されたあとの雨で中通りは汚染さ れました。 今日事故が起きなかったから、明日もまた大丈夫であろう、と思うのが人間で あり、なのでどれ

  • 牧野淳一郎 10. 今何をするか(2)(2011/12/17)

    9. 今何をするか(2)(2011/12/17) 1 で、何ができるか、何をするべきか、ということを少 し考えました。そこでは、あくまでも身の回りについて、 人工放射性物質による外部被曝を 1mSv/年以下にする 内部被曝については ICRP/IAEA の換算係数を使うならこれより十分小さく する ということを目標にしています。これらの目標を達成するためには、測定がで きればもっとも確実です。 以下、まずはその辺の身の回りの話について、かなり繰り返しに近いですが もう一度考えます。 9.1. 外部被曝ないし身の回りにあるセシウム 外部被曝については、それほど高価ではない機械でも測定可能です。特に、 0.3uSv/h とかの高いところでは測定が容易です。 高いとわかったら一体どうするのか、は難しい問題ですが、結局のところ なんとかできそうならなんとかするし、どうにもならならそうであれば可能な

  • ./face.html

    Previous ToC Next Contents 0. はじめに (2011/8/11) 1. 今何をするか(1)(2011/8/21書きかけ) 1.1. 福島の事故ででてしまった放射性物質への対応 1.2. 外部被曝 1.3. 内部被曝 2. 品安全委員会レポートに見る「科学的判断」 (2011/8/27) 3. TA100 による品中セシウム検出 (2011/9/2) 3.1. バックグラウンド評価(9/3追加) 3.2. 土壌測定(9/3 追記) 3.3. 神戸室内バックグラウンド測定(9/5 追記) 3.4. 神戸室内F県桃測定(9/8 追記) 4. TA100 による品中セシウム検出その2 (2011/9/11) 4.1. 鉛遮蔽 5. TA100 による品中セシウム検出その3 (2011/10/30-11/6書きかけ ) 5.1. 土壌サンプル測定 5.2. 品測

  • http://jun-makino.sakura.ne.jp/talks/kyoto20111203.pdf

  • 102.8. 研究者の情報発信はどうだったか?./note103.html

    102. 福島原発の事故その6 (2011/5/29-6/10) 相変わらず原発の話です。 その5 101 から1ヶ月、事故から2ヶ月半たって、事 態の収束にむけて何か進展があって欲しいところですが、残念ながら具体的な 動きはなにもありません。 102.1. 原発はどうなっているの? 一言で言えば、どうにもなっていません。相変わらず、核分裂生成物から出る 熱で燃料が高温になって、火災になったり爆発したりするのを防ぐために とにかく水をいれて冷やしているわけです。もっとも、3ヶ月近くたったので、 発生する熱量は熱出力の 0.1-0.2%程度までさがっています。停止の1時間後に は 1-2% あったので、その頃に比べると 1/10 になっているわけです。 なお、減少のしかたは段々ゆっくりになって、1年後は現在の半分程度、 2年後でさらに半分程度、となるはずです。 計算機でいうと完成時の次世代ス

  • 1