今までの人生の中で、何回か苦い経験や苦渋の色を隠しきれないような苦しみや悩みを持たれた方もおられましょう。若い方ですとこれから先、長い人生の中で辛苦を味わい、辛酸をなめたり、つらく厳しい経験をなされる方もおられるでしょう。人生は悲喜交交(こもごも)、禍福は糾(あざな)える縄の如しとも喩えられます。対峙する両極端の中を偏らずに生きることを、苦味と甘味に託してお話しいたします。 味覚から伝わる言葉としての表現 私たちの感ずる味覚では、甘味に対比する味は苦味のようです。心地よい甘味は、「甘い言葉、甘い罠」として使われて、実質が伴わない表面上の魅力を警告したり、その注意を喚起する表現です。一方、切れ味の鋭い苦味は、「苦言、良薬口に苦し」に見られように、内面的にそして究極的にはヒトに何か役に立ちそうな本質をついています。 甘味に対する「苦味」のギリシャ語表現 科学用語はラテン系やギリシャ系の言葉から