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イタロ・カルヴィーノの検索結果1 - 40 件 / 118件

  • 語り手が異常な小説が読みたい - 千年先の我が庭を見よ

    「信頼できない語り手」という小説ジャンルがある。 信頼できない語り手(しんらいできないかたりて、英語: Unreliable narrator)は、小説や映画などで物語を進める手法の一つ(叙述トリックの一種)で、語り手(ナレーター、語り部)の信頼性を著しく低いものにすることにより、読者や観客を惑わせたりミスリードしたりするものである 信頼できない語り手 - Wikipedia 好きだな~そういう胡乱さ…。 でも私はもっともっと希薄なトラストを求めていて、語っている奴が人間なのか存在するのかどうかすら怪しく、言うなれば信憑性に欠ける信頼できない語り手の小説が読みたい。なんなら語っている内容の虚偽というよりは、存在の胡乱さの方を求めている。しかし読みた~い!と言ったところでインターネッチョの海で親切なウミガメが運んできてくれるはずもなく、自ら竿を持ち餌を撒かないかぎり得られないのである。 仕方

      語り手が異常な小説が読みたい - 千年先の我が庭を見よ
    • 旅に出たくなる創作物

      ・【エッセイ】深夜特急 / 沢木 耕太郎 ・【小説】ライ麦畑でつかまえて / J・D・サリンジャー ・【映画】スタンド・バイ・ミー / ・【音楽】Trippin Life / Caravan 本、映画、音楽なんでも良いから教えてクレメンス 追記: コメントで教えてもらった創作物を追加しました。 まだまだ募集中 ・【CM】初代ゲームボーイのCM ・【ゲーム】ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド ・【エッセイ】ニッポン居酒屋放浪記 / 太田和彦 ・【クラシック】巡礼の年 第3年 / フランツ・リスト ・【クラシック】版画 グラナダ / ドビュッシー ・【クラシック】ラプソディ・イン・ブルー / ジョージ・ガーシュウィン ・【クラシック】ローマの松 アッピア街道 / オットリーノ・レスピーギ ・【音楽】1001のバイオリン / ブルーハーツ ・【TV】水曜どうでしょう / HTB ・【アニメ

        旅に出たくなる創作物
      • なぜ我々は「ORGANISM」に心奪われるのか? VRChat史に残る衝撃をSF作家と書評家が語り尽くす

        Home » なぜ我々は「ORGANISM」に心奪われるのか? VRChat史に残る衝撃をSF作家と書評家が語り尽くす なぜ我々は「ORGANISM」に心奪われるのか? VRChat史に残る衝撃をSF作家と書評家が語り尽くす VRで、私たちは何を見ているのだろう。 旅行で知らない土地へ行ったけれど、どこかで見た気がする。逆に、馴染みの場所へ足を運んでも、ふと目を離した瞬間、一度も来たことがないような気さえしてくる。デジャヴめいて、私たちの中には存在しない、「場所」をつくったひとびとの時間の痕跡。空間の幽霊。それこそが「見たことがないはずなのに、懐かしい」というあの感情を、遠くから呼ぶ……。 VRChatのワールド「ORGANISM」はまさにそんな空間だ。クリストファー・ノーラン「インターステラー」のような情景。広大なリミナル・スペース。「かつてのロシア」的なモチーフが散りばめられた巨大なオ

          なぜ我々は「ORGANISM」に心奪われるのか? VRChat史に残る衝撃をSF作家と書評家が語り尽くす
        • 必読書コピペにマジレスしてみる・自分のオススメ41冊編(1)

          日本文学編(anond:20210222080124)があまり注目されなかったけれども、記憶を頼りに続きを書く。 芥川龍之介「河童」どの作品を入れるべきか迷った。古典の翻案に見られる知性とユーモア、晩年の作品にみられる迫害的な不安、どちらの傾向を持つ作品であっても、元文学少年の心をひきつけてやまない。特に「歯車」などの持つ、すべてのものが関連付けられて迫ってくる凄味は、学生時代に再読したとき、行き詰まりかけていた学生生活の不安と重なり、ただただ恐ろしく、読み終わってからしばらくは寝床で横にならされた。 「河童」を選んだのは中高生の頃で、河童の国を旅する要素に心を惹かれたことを思い出したからだ。それは、大学生の頃よりも不安が弱かったからなのか、この作品に潜む女性への憧れと恐れが自分に響いたのか、あるいは架空世界の架空の言語に魅せられたのか、その理由はわからない。 ハンス・クリスチャン・アンデ

            必読書コピペにマジレスしてみる・自分のオススメ41冊編(1)
          • あなたがこれからも読み続けるであろう小説を3作教えてください!   自分..

            あなたがこれからも読み続けるであろう小説を3作教えてください! 自分は ・トムは真夜中の庭で ・愛の妖精 ・シェリ

              あなたがこれからも読み続けるであろう小説を3作教えてください!   自分..
            • 薄い本を読むパート3 - Close To The Wall

              薄い本を読むパート2 - Close To The Wall 一年おきにやってる気がするこれ、三回目。今回は厳密ではなく本文200ページ前後、とややゆるめに選んだ20冊。冊数も記事も分量が増えて行っている。 フリオ・ホセ・オルドバス『天使のいる廃墟』 ミルチャ・エリアーデ『令嬢クリスティナ』 フランツ・カフカ『変身』 アントニオ・タブッキ『島とクジラと女をめぐる断片』 イタロ・カルヴィーノ『ある投票立会人の一日』 スティーヴン・ミルハウザー『魔法の夜』 パーヴェル・ペッペルシテイン『地獄の裏切り者』 イマヌエル・カント『永遠の平和のために』 閻連科『年月日』 宮内悠介『黄色い夜』 ヴァージニア・ウルフ『フラッシュ』 ティモシー・スナイダー『暴政』 フリオ・リャマサーレス『黄色い雨』 ウンベルト・エーコ『永遠のファシズム』 アレホ・カルペンティエール『時との戦い』 中井英夫『幻想博物館』 ジ

                薄い本を読むパート3 - Close To The Wall
              • 小惑星の魔女は鬼道占師――The Cosmic Wheel Sisterhood について - 名馬であれば馬のうち

                おのれの能力を越えて上昇しようとするような輩に用心しよう。死を免れない人間に否定されたるものごとを探し求める者たちに。 ――ジェフリー・ホイットニー『エムブレム選集』 store.steampowered.com The Cosmic Wheel Sisterhood はタイトルを裏切らないゲームです。宇宙の話をやり、回転する輪の話をやり、シスターフッドの話をやる。そして、タイトル以上でもある。ゲームについての話もやるゲームなのですから。 独り身でも魔女 チュートリアル終わりに入るオープニングアニメ。演出にあきらかにセーラームーンや魔法少女ものの影響が見て取れて興味深い。 主人公のフォルトゥーナは魔女です。 あるとき、得意とするタロット占いによって自身の属するコヴン(魔女団)の崩壊を予言したために、リーダーから魔力とタロットを奪われた上、辺境の小惑星へ1000年の島流しに処されてしまいます

                  小惑星の魔女は鬼道占師――The Cosmic Wheel Sisterhood について - 名馬であれば馬のうち
                • 『君の名は。』への評がいかに快挙か;訳文と感想(ネットで読めるグレッグ・イーガン氏の映画・創作観) - すやすや眠るみたくすらすら書けたら

                  録り貯めたお正月の特番を消化しているかたのなかには、3が日に地上波初放送された『天気の子』や8日新年一発目の『金曜ロードSHOW!』神木隆之介さんなど豪華吹替キャストによる『パラサイト』をご覧のかたもいらっしゃるんじゃないでしょうか? 今回の記事は、そんな新海誠監督の前作で神木氏主演『君の名は。』にたいするグレッグ・イーガン氏の評価がいかにすごいか、氏のインタビューやエッセイ(『Avatar Review(「アバター」批評)』『No Intelligence Required Her, Ex Machina and Interstellar(知性は不要――「her/世界でひとつの彼女」、「エクス・マキナ」そして「インターステラー」にとって)』)などを勝手に訳して、氏の映画観・創作観と比べることで確かめてみようという感じのやつです。 訳文本文7700字{2230字+5529字(原文730語+

                    『君の名は。』への評がいかに快挙か;訳文と感想(ネットで読めるグレッグ・イーガン氏の映画・創作観) - すやすや眠るみたくすらすら書けたら
                  • 「いま・ここ」から離れる『世界文学アンソロジー』

                    日ごろ「自分」を機械的にやっていると、外面の「自分」が当たり前になる。仕事上の立場だとか、SNSで被っているキャラといった、日常的に使い分けている「自分」が、内面のわたしを乗っ取りはじめる。 そんな「自分」を異化するため、他人の物語を聞く。しかも、できるだけ「いま・ここ」の自分から離れたものがいい。異なる言葉、違う文化の物語を聞くことで、自分にとっての当たり前が、当たり前でないことを思い知る。 『世界文学アンソロジー』を手にすると、このアタリマエじゃ無い感が浮彫りにされてくる。 固まった「自分」に一撃を加える たとえば、フランツ・カフカの「夏の暑い日のこと」がそう。 わずか2頁の掌編なのに、常識が丸ごと壊される感覚を味わえる。何も悪いことをした覚えがないのに、突然逮捕される『訴訟(審判)』を思い出させる。あるいは、自分の身の上に、何か重要な間違いが起きつつあるのに、それに関わらせてもらえな

                      「いま・ここ」から離れる『世界文学アンソロジー』
                    • 韓国におけるジャンルSF受容:作家ソン・ジサンさんインタビュー|Rikka Zine

                      今回は韓国の作家ソン・ジサンさん(1986-)にお話をうかがった。韓国では2017年後半に、プロ小説家団体である韓国SF作家連帯(Science Fiction Writers Union of the Republic of Korea; SFWUK)と、韓国SF協会(Korea Science Fiction Association; 小説家以外も加入可能)が設立され、改めてSFを盛り上げていこうと試みている。この両団体に所属するソンさんは、辻堂ゆめや道尾秀介の著書の日韓翻訳家でもある。 子供のころから本が好きだったソンさんが自ら小説を書くようになったのは、大学時代に読んだ大藪春彦『野獣死すべし』と筒井康隆の短編集に衝撃を受けたためだそうだ。他に好きな長編SFはアルフレッド・ベスター『虎よ、虎よ!』、ハインライン『異星の客』、ジョン・スコルジー『老人と宇宙(そら)』、ロジャー・ゼラズニ

                        韓国におけるジャンルSF受容:作家ソン・ジサンさんインタビュー|Rikka Zine
                      • NEWS  |  w e l c o m e 2 0 2 0 - 東京藝術大学美術学部建築科|大学院美術研究科建築専攻 Tokyo University of the Arts Faculty of Fine Arts / Graduate School of Fine Arts Department of Architecture

                        Except where otherwise noted, content on this site is licensed under a Creative Commons. CC BY-NC-ND 2.1 JP. 新入生の皆さんへ 本来なら先週土曜日に予定されていた入学式・オリエンテーションの席で皆さんと対面し、今週からは前期授業も始まり、大学生生活がスタートしていたはずでした。 しかし、新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐため、前期の開講を5月11日まで遅らせることとなり、今後の状況次第では遠隔授業などの可能性も高くなっています。不安感に苛まれる日々が続いていますが、もう皆さんは建築を学ぶ大学生です。この一ヶ月の間、課題や講義は中止になりましたが、少しでも有意義な時間を過ごして欲しいと我々は願っています。そこで、教員一人一人から、皆さんに向けて推薦図書を提示することにしました。 この状

                        • 『蛇の言葉を話した男』の面白さを、あらすじ抜きで伝える

                          背表紙を見てほしい。少しナナメに歪んでいることが分かるだろうか。あるいは、小口(開くところ)だと斜めにひしゃげている。これが、一気に読んだ証拠だ。 説明する。 まっさらの本は、背表紙も小口もまっすぐで、上からのぞいたら、長方形に見える。 扉を開くと、開いたほうに背表紙が引っ張られ、斜めに歪む。扉を閉じれば、歪みは元に戻る。そして、閉じている間は、本は元の形に戻ろうとする。 ところが、開きっぱなしだと、背表紙はずっと引っ張られたままとなり、歪みが戻りにくくなる。その時間が長いほど、歪みは強化される。つまり、一気に読まれるような本であるほど、このようにひしゃげてしまうのだ。 読み始めたら止まらない、そういう本は、確かにある。巻を措く能わずとか、page-turnerと形容される、中毒性の高い物語。 それが、『蛇の言葉を話した男』だ。 あらすじなんて野暮なネタバレはしない。だが、帯文に違和感があ

                            『蛇の言葉を話した男』の面白さを、あらすじ抜きで伝える
                          • 知を探究する「幸いなる魂」はどこまでも晴れやかだ――佐藤亜紀『喜べ、幸いなる魂よ』レビュー【評者:川本 直】 | カドブン

                            変わりゆく時代を懸命に泳ぎ渡ろうとするふたりの大きな愛の物語。 新刊【長編小説】佐藤亜紀『喜べ、幸いなる魂よ』レビュー 書評家・作家・専門家が新刊をご紹介! 本選びにお役立てください。 佐藤亜紀『喜べ、幸いなる魂よ』 評者:川本 直 そのデビューから佐藤亜紀氏は完成された小説家だった。『バルタザールの遍歴』はオーストリア゠ハンガリー二重帝国の公爵家に生まれた一つの体に二つの魂を宿すメルヒオールとバルタザールという貴族の主人公が、ナチス・ドイツの台頭によって荒廃していく黄昏のヨーロッパを流浪しながら第二次世界大戦勃発とともにブエノスアイレスに向かうまでを超絶技巧で描き、「国際舞台にも通用する完璧な小説」と称された。 その登場から圧倒的な完成度を誇る作品を世に問う小説家は稀有だ。そして、『キャッチ=22』で世に出たジョーゼフ・ヘラーのように最初から代表作を書いてしまった作家はデビュー作を超える

                              知を探究する「幸いなる魂」はどこまでも晴れやかだ――佐藤亜紀『喜べ、幸いなる魂よ』レビュー【評者:川本 直】 | カドブン
                            • 『海と山のオムレツ』アバーテ・カルミネ|愛と祝祭に満ちた、ごはん文学 - ボヘミアの海岸線

                              「豚のパスタ」 豚の肉とあばら骨の入ったトマトソースをとろ火でじっくり煮込んで、大量のミートボールを作ってから、ジティ(パスタ)とまざあわせる。 パスタとソースがまるで恋人どうしのように寄り添い、全員がとろけるキスの代わりにたっぷりのチーズをまぶして、互いの見わけもつかなくなるまで混ぜる。 ーーアバーテ・カルミネ『海と山のオムレツ』 海外文学を読んでいる時、ごはんシーンはとりわけ好きなもののひとつだ。食べることが好きだし、異国の料理も好き。だからもちろん海外文学の料理シーンも大好きだ。 食べたことがない料理、素材がわからない料理、味を想像できない料理といったセンス・オブ・ワンダー料理もいいし、食べる者みながアーとうめく絶品料理の描写も最高だ。ごはんシーンが出てくると、速度を落としてゆっくりと読むことにしている。 イタリアうまれの作家が書いた『海と山のオムレツ』は、食べることと食事にまつわる

                                『海と山のオムレツ』アバーテ・カルミネ|愛と祝祭に満ちた、ごはん文学 - ボヘミアの海岸線
                              • 思弁・フィクション(SF) 池澤夏樹『やがてヒトに与えられた時が満ちて……』を読む - 関内関外日記

                                やがてヒトに与えられた時が満ちて… (角川文庫) 作者:池澤 夏樹 角川書店 Amazon 池澤夏樹はSF作家ではない。純文学というものに近いかもしれないし、そうでもないかもしれない。ジャンル分けはよくわからない。とはいえ、『やがてヒトに与えられた時が満ちて……』はSFといえるだろう。解説ではイタロ・カルヴィーノの『レ・コスミコミケ』が同じようなものとして挙げられていたが、そのような感じだろうか。 レ・コスミコミケ (ハヤカワepi文庫) 作者:イタロ・カルヴィーノ 早川書房 Amazon レ・コスミコミケ (ハヤカワ文庫SF) 作者:イタロ カルヴィーノ 早川書房 Amazon イタロ・カルヴィーノ『レ・コスミコミケ』を読んだ - 関内関外日記 ともかく、けれん味のないSFである。太陽も影も星も失った、どこかで生きている人類。その過去のなにがあったのか。その先になにがあるのか。この作品で

                                  思弁・フィクション(SF) 池澤夏樹『やがてヒトに与えられた時が満ちて……』を読む - 関内関外日記
                                • 2021年を探す - copy and destroy

                                  gyazo.com intro 2021.01.23 Saturday ニセコなだれ情報 第46号 http://niseko.nadare.info/?eid=1069489 「雪は素晴らしく良いが天候急変に注意。等圧線が狭まればすぐに吹雪く。」 「滑るならフォールラインを。昔スコット・シュミットはここを3ターンで滑っている。谷は雪崩の走路となる。谷底にいてはならない。ヘルメットの着用とビーコンの携行を勧める。これらの道具は自分を守るだけでなく仲間の命も守る。良い週末を。」 1.0 ブルース・チャトウィン「黒ヶ丘の上で」、1900年にウェールズとイングランドの境界の村で生まれた双子の100年の物語だ。そこはウェールズからもイングランドからも遠く、辺境の地と呼ばれている。英雄でもなければ悪者でもなく、喜劇でもなければ悲劇でもなく、淡々と日々の生活が描かれる。たとえ世界の涯であったとしても、

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                                  • 『同調者』アルベルト・モラヴィア|正常さを追い求めたその先には - 書に耽る猿たち

                                    『同調者』アルベルト・モラヴィア 関口英子/訳 ★★ 光文社[光文社古典新訳文庫] 2023.5.22読了 世の中には、生き物を虐めたり、人を痛めつけ殺すことに快感を持つ人が少なからず存在する。犯罪者の告白や犯罪学の本などを読むと、そういった性癖が実際にあるようで、「盗み癖」と同じように神経中枢にある種の快楽や高揚感を生む。そして人を痛めつけることに興奮を覚える人は、例外なく人間の前にまずは動植物を殺めることをする。段階を踏んで自己の快楽を増長させるかのように。 プロローグで、少年時代のマルチェッロはトカゲや猫を思いあまって殺してしまう。故意にではなかったのに、実はある種の快感と恍惚感を感じているのに気付く。そして、拳銃への憧れと殺人への衝動を自己に見い出す。自身に潜む攻撃性などの異常さを理解していくその過程が、おそろしいほどのリアルさを持つ。本編はこの出来事から17年後になるのだが、正直

                                      『同調者』アルベルト・モラヴィア|正常さを追い求めたその先には - 書に耽る猿たち
                                    • 「あなた」と「わたし」の境界線はどこ? 大岩雄典評 小田原のどか《↓(1923-1951)》と「近代を彫刻/超克する」展

                                      「あなた」と「わたし」の境界線はどこ? 大岩雄典評 小田原のどか《↓(1923-1951)》と「近代を彫刻/超克する」展昨年ふたつの場所で展示された小田原のどかの作品を批評する。歌人・斉藤斎藤の作品を引きながら「わたし」について、またゲーム、小説、美術作品における「あなた」という代名詞が指すものの正体を分析。さらに「見る者/見せる者」両者の境界線を越境させる力について考察をめぐらす。 文=大岩雄典 小田原のどか「TOKAS-Emerging 2019『近代を彫刻/超克する』」展示風景(TOKAS本郷、2019) 写真=加藤健 画像提供=Tokyo Arts and Space 過ちは繰り返しませ いくばくか長い話が始まる。 「わたし」と「あなた」の話をするつもりだ。 歌人・斉藤斎藤の第二歌集『人の道、死ぬと町』(2016)は、〈当事者〉という主題に貫かれた1冊だ。歌人、歌集というのだから、

                                        「あなた」と「わたし」の境界線はどこ? 大岩雄典評 小田原のどか《↓(1923-1951)》と「近代を彫刻/超克する」展
                                      • 『ローカス誌が選ぶ「20世紀SF小説オールタイムベスト!」』

                                        Tanaka-KOZOのブログ★ついにデビュー13周年!★2013年5月3日2ndアルバムリリース!★有線リクエストもOn Air中! 2017年4月13日。 「ローカス」誌は、1968年、アメリカで創刊されたSF専門雑誌である。 ローカスでは、10年に1回くらいのペースで、SF小説のオールタイムベストを発表している。 今回、取り上げるオールタイムベストは、2012年に、ローカスが20世紀に入ってから発表されたSF小説のランキングだ。 古典SF収集マニアの僕が所持してる作品は、果たして何冊ランキングされているのだろうか!? 僕の持っている本には★マークを付けてみました。 では、ランキングです! 20th Century SF Novels 01 『デューン/砂の惑星』 フランク・ハーバート 02 『エンダーのゲーム』 オースン・スコット・カード 03 《ファウンデーション》三部作 アイザッ

                                          『ローカス誌が選ぶ「20世紀SF小説オールタイムベスト!」』
                                        • 「君達の国の歴史上最も重要な外国人は誰なのか」海外の反応 : 暇は無味無臭の劇薬

                                          Comment by Juggertrout (ギリシャ) 現在の君達の国の国境外で生まれた人物で、君達の国の歴史上最も重要な人物って誰? reddit.com/r/AskEurope/comments/9cui6r/who_is_the_most_important_person_in_your_countrys/ hreddit.com/r/AskEurope/comments/d273kr/who_is_your_nations_most_important_figure_to_have/ Comment by [deleted] 173 ポイント アドルフ・ヒトラー。 良い意味で重要というわけではないけど、最も有名で恐れられていることは間違いない。 ヒトラーの生まれた国についてはちょっとした冗談がある。 オーストリアが今まで成し遂げたことで最大級のものは世界にバッハはオーストリア人

                                            「君達の国の歴史上最も重要な外国人は誰なのか」海外の反応 : 暇は無味無臭の劇薬
                                          • 読まずに死んだらもったいない48作品

                                            「こんなに面白いのに、読んでないのは損してる」という本がある。「面白い」のところには、「タメになる」「心が洗われる」などが入る。徹夜保証の小説だったり、良く生きるための教養書だったり、完結するまで死ねない漫画だったりする。 5/8締め切りで、シミルボンの[「本とワタシ」選手権]で募集している。わたしが選考するので、楽しみでならないのだが、待ちきれなくてスゴ本オフのテーマにした。スゴ本オフとは、お薦め作品をまったり熱く語り合う読書会なのだが、まさに「読まずに死ねるか!」級の、とっておきが集まった。 まずわたしから。読書猿『アイデア大全』を強力に推す。考えるヒント集みたいな顔つきだが、今晩の献立から一生を賭すに事業学業の進め方まで、なんにでも応用できる。これは、問題解決のための人類の叡智を結集したもの。即効を謳う安直なサプリメントのような本ではない。すぐ効く本はすぐ効かなくなる。そうではなく、

                                              読まずに死んだらもったいない48作品
                                            • “寿命を延ばす家”とは?  荒川修作&マドリン・ギンズの “死に抗う”思想を実地検証 - T JAPAN:The New York Times Style Magazine 公式サイト

                                              いつの時代も“永遠の命”の探求は建築に込められたテーマだった。死んだファラオ(王)の魂が天に昇っていけるようにつくられたという巨大な階段状のピラミッドに始まり、野心的なネーミングの展示会場「ニューヨーク・コロシアム」(1956年竣工、2000年解体、歴史的建造物を遺した古代ローマ皇帝の仲間入りを果たそうと目論んだ都市開発の帝王ロバート・モーゼスが建設)に至るまで、数多くの建造物が永遠の命を求めてつくられてきた。 60年代ニューヨークのコンセプチュアルアーティストでアマチュア建築家、ダダとフルクサス運動の架け橋的存在とみなされていたマドリン・ギンズと夫の荒川修作(名字の「アラカワ」で通っていた)に至っては、「死を逃れる」というテーマを――風変わりではあるかもしれないが――文字どおりに解釈し、それを建築で表現した。そして、ふたりがつくった家に住めば、本当に永遠の命を手に入れることができると確信

                                                “寿命を延ばす家”とは?  荒川修作&マドリン・ギンズの “死に抗う”思想を実地検証 - T JAPAN:The New York Times Style Magazine 公式サイト
                                              • 書評 『ヨーロッパ文学の読み方――近代篇』(沼野充義・野崎歓): 極東ブログ

                                                前回放送大学学部の『世界文学の古典を読む 』を聴講し、そのテキストを紹介したが、その続きで、『ヨーロッパ文学の読み方――近代篇』を聴講した。テキストはアマゾンなどでも販売されている。今見たら、残り一点とあるので、ここでその1点がはけて枯渇すると中古本プレミアム価格になりかねない。放送大学テキストは他書店でも販売しているが、放送大学に問い合わせても販売しているし、なにより最寄りの学習センターも販売しているので、そっちをあたったほうがいいかもしれない。 講義およびテキストでは、扱う作品は国ごとに分けられている。 第1回 スペイン セルバンテス『ドン・キホーテ』 第2回 イギリス(1) シェイクスピア『ロミオとジュリエット』 第3回 イギリス(2) スウィフト『ガリヴァー旅行記』 第4回 イギリス(3) ブロンテ『嵐が丘』 第5回 ドイツ(1) ゲーテ『若きヴェルターの悩み』 第6回 ドイツ(2

                                                • 2023年下半期ベスト - 鷲はいまどこを飛ぶか

                                                  今年は過去数年間のうちで、もっとも手応えをもって読書できた一年だったと思う。読みながら考え、考えながら読む。理由はおそらく、積極的に本文に書き込むようになったこと、それと、メモ帳を普段から使い倒すようになったことだろう。それは書きながら読み、読みながら書く作業だ。そうして自分のなかに地図を引きながら読むうちに、書物が次の書物を導く。とくにメモを残すようになった春先からこっち、ぼくはずっと、巨きな一冊の書物を繙いているような気分だった。目の前の一冊はその紙葉に過ぎない。そしてぼくはきっと、その書物を読み終えることはできないのだろう。けれどそれでも、次のページをめくれば何が待っているのか、ぼくは読み進めたいと思うのだ。 いずれにせよそんなふうに読むものだから、これがベスト、と云う感じで総括することができない。ゆえに以下に並べる十冊は、強いて云うならもっと大きな連なりから取り出した要約のようなも

                                                    2023年下半期ベスト - 鷲はいまどこを飛ぶか
                                                  • 海外文学マンションポエム - ボヘミアの海岸線

                                                    もともと「海外文学アドベントカレンダー 2022」の記事として、「海外文学の新刊まとめ2022」を書く予定だった。 ところがうっかり、不可避の寝不足が続いて執筆計画が破壊されたので、ブログの下書きを掘り返し、数年前に書いたまま眠っていたものを、代打として出すことにした。 なお、「海外文学の新刊まとめ2022」は、12月中か1月には公開予定。 それでは本編。 ■マンションポエム マンションポエムとは、高級マンション広告に添えられたキャッチコピーである。 2015年頃から注目を集め、Web記事でもたびたび取り上げられ、現在ではすっかり定着した感がある。たとえばこういうやつだ。 洗練の高台に、上質がそびえる (プラウドタワー南麻布) 世田谷、貴人たちの庭。 (シティハウス用賀砧公園) これらのキャッチコピーは、土地に住むイメージを、抽象的で装飾過多な言葉選びで表現する。 マンションの詳細情報は、

                                                      海外文学マンションポエム - ボヘミアの海岸線
                                                    • 世界物語大事典

                                                      定価 4,620円 (本体 4,200円+税10%) 判型 B5変型判 カラー オールカラー ページ数 320ページ ISBN 978-4-385-16243-0 寸法 24.5×17.1cm これはまさしく、とてつもなく魅力的な架空の異世界を構築した作家の名作群を愛する読者のための一冊なのである。――巽孝之「日本語版監修にあたって」より 4000年に及ぶ物語の歴史を網羅、『ギルガメシュ叙事詩』や神話伝説から、近現代のSF・ファンタジー・幻想文学の名作、映画やTVドラマの原作まで、世界中の魅力溢れる物語作品を掲載。 国際的な視野に立った構成で、英語圏の作家にかたよらず、アジアやヨーロッパ諸国の作品を掲載。日本作家の作品としては、村上春樹『1Q84』が採りあげられています。 表紙図版、初版イラスト、映画スチール、自筆原稿など、美しく貴重な図版満載。世界的に活躍する文芸評論家や受賞歴のある作家

                                                        世界物語大事典
                                                      • 【今週はこれを読め! SF編】陰に隠れた幻想小説の水脈の発見 - 牧眞司|WEB本の雑誌

                                                        『19世紀イタリア怪奇幻想短篇集 (光文社古典新訳文庫)』 橋本勝雄,橋本勝雄 光文社 1,100円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 橋本勝雄編『19世紀イタリア怪奇幻想短篇集』(光文社古典新訳文庫) イタリアの幻想小説と聞いてまず思いうかぶのは、イタロ・カルヴィーノ、ディーノ・ブッツァーティ、トンマーゾ・ランドルフィなど二十世紀の作家たち、あるいはずっと時代を遡った『神曲』のダンテである。そのあいだがスッポリ抜けおちている。これは日本への翻訳紹介のされかたによるものかと思いきや、本国イタリアでも事情はそれほと変わらないらしい。本書の「解説」で、橋本勝雄さんは「十九世紀イタリアの幻想小説は、二重の意味で陰に隠れた存在」と指摘する。二重の意味は、(1)十九世紀イタリアには幻想小説のビッグネームが出なかった、(2)幻想小説が文壇・文学史

                                                          【今週はこれを読め! SF編】陰に隠れた幻想小説の水脈の発見 - 牧眞司|WEB本の雑誌
                                                        • 新刊紹介_20240130

                                                          鷲田清一『所有論』講談社 所有論 著:鷲田 清一 Amazon Rakuten ポチップ 概要 主体と存在、そして所有。著者の重ねる省察は、われわれを西欧近代的思惟が形成してきた「鉄のトライアングル」の拘束から解き放つ! 「ほかならぬこのわたし」がその身体を労して獲得したものなのだから「これはわたしのものだ」。まことにもっともな話に思われる。しかし、そこには眼には見えない飛躍があるのではないか……? ロックほか西欧近代の哲学者らによる《所有》の基礎づけの試みから始め、譲渡の可能性が譲渡不可能なものを生みだすというヘーゲルのアクロバティックな議論までを著者は綿密に検討する。そこで少なくともあきらかにできたのは、「所有権(プロパティ)」が市民一人ひとりの自由を擁護し、防禦する最終的な概念として機能しつつも、しかしその概念を過剰適用すれば逆にそうした個人の自由を損ない、破壊しもするということ。そ

                                                            新刊紹介_20240130
                                                          • 春夏秋冬の世界文学 100冊 - トーキョーブックガール

                                                            数年前に公開して以来、ぼちぼちと更新を続けていた「季節の海外文学」リスト。どれも最初に公開したときは大体15〜20冊程度だったので、「いつかそれぞれ25冊まで増やして、全部で100冊になるといいな〜」と考えていたのだが、けっこうあっという間に100冊集まってしまった。ので、改めてまとめの記事を投稿します。 わたしは夏生まれだからか、そもそも「夏に読みたい小説」特集を見るのが大好き。日本文学だと怪談とか夏休みの物語とか、はたまた読書感想文のアイデア・ヒントとして、いくつもそういう特集がありますよね。海外文学でも、「夏」を感じさせる題名や装丁の作品はついつい購入してしまうので、それをブログ記事にしてみたのが始まり(そんなわけで「夏」リストだけは最初から完成していた)。 以下がとんでもない誤字脱字(いつもながら……)を修正したリストです。できるだけ日本語訳が出ているもので揃えたかったのだが、英語

                                                              春夏秋冬の世界文学 100冊 - トーキョーブックガール
                                                            • イタロ・カルヴィーノ 邦訳全作品紹介 + 未邦訳作品情報まとめ

                                                              About / イタロ・カルヴィーノ作品リスト / カルヴィーノ関連年譜と参考地図 / カルヴィーノはどれから読めばいいのか / settings / 正誤表 / アメリカ講義 新たな千年紀のための六つのメモ / 水に流して カルヴィーノ文学・社会評論集 / KC / むずかしい愛 / なぜ古典を読むのか / スモッグの雲 / Numbers in the Dark / ある投票立会人の一日 /

                                                                イタロ・カルヴィーノ 邦訳全作品紹介 + 未邦訳作品情報まとめ
                                                              • 安藤忠雄のプラットホームーーディレイする渋谷・再都市開発 - 見えない都市 など - シミルボン

                                                                見えない都市 / Calvino Italo/イタロ カルヴィーノ/米川 良夫 などの紹介コラム。渋谷の「駅」周辺に限って言えば、今が一番面白い。昨日あった道が今日はなく、前日まで空中だったところに階段が現れ、臨時の連絡通路をジグザグ迂回しているうちに地上に降り立つ。いまだ改修工事が続く、東口方面の変幻自在具合はとくに甚だしい。さながら、イタロ・カルヴィーノの『見えない都市』だ。こういう超スピード的なスクラップ・アンド・ビルドによる新陳代謝はとても面白い。 年明け2019年1月7日、渋谷・

                                                                  安藤忠雄のプラットホームーーディレイする渋谷・再都市開発 - 見えない都市 など - シミルボン
                                                                • 世界の【昔ばなし】ヨーロッパ編 =おすすめ9選= - 絵本と 子どもと ゆる親業

                                                                  今回の記事では、 【ヨーロッパ】に伝わる昔ばなしの絵本を 紹介していきます。 〔PR〕きょじんのはなよめ 作: 菱木 晃子 絵: 平澤 朋子 出版社: BL出版 目次 巨人の花よめ ふくろにいれられた おとこのこ きこりとおおかみ【フランス民話】 ジェイミーオルークとおばけいも ライオンとタカとアリになった男の子 まめつぶこぞうまめつぶこぞうパトゥフェ ノロウェイの黒牛 はしれ!かぼちゃ【ポルトガルのむかしばなし】 梨の子ペリーナ【イタリアのむかしばなし】 【あとがき】 魔女の呪いや 王子様・お姫様、 ノルウェーのトロルに、 アイルランドの妖精レプラコーン… ファンタジー要素も多く、 ドラマチックな展開で ドキドキさせられる、 【ヨーロッパの昔ばなし】9冊です。 巨人の花よめ 【スウェーデン・サーメのむかしばなし】 リンク 作: 菱木 晃子 絵: 平澤 朋子 出版社: BL出版 北欧の少数

                                                                    世界の【昔ばなし】ヨーロッパ編 =おすすめ9選= - 絵本と 子どもと ゆる親業
                                                                  • はじめて読む!海外文学ブックガイド :越前 敏弥,金原 瑞人,三辺 律子,白石 朗,芹澤 恵,ないとう ふみこ|河出書房新社

                                                                    受賞 全国学校図書館協議会選定図書 単行本 46 ● 224ページ ISBN:978-4-309-61741-1 ● Cコード:0398 発売日:2022.07.14 この本の内容 目次・収録作品 《NHK基礎英語2》のテキスト連載「あなたに捧げるとっておき海外文学ガイド」を書籍化。英語圏に加え、12名の各国語の翻訳家による推薦書を新規収録。新しい世界を覗いてみない? 18人の翻訳家がナビゲートする本は以下の通り、 毎週1冊、1年を通して48冊の本をご紹介します。 第1週〜3週はもとは英語で書かれた本、 第4週は世界のさまざまな言語で書かれた本の日本語翻訳版です。 【目次】 はじめに ◆1月 第1週 キャス・ハンター『iレイチェル』……芹澤恵 第2週 W.W.ジェイコブズ「猿の手」……金原瑞人 第3週 ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社監修『小説 アナと雪の女王 影のひそむ森』……越前

                                                                      はじめて読む!海外文学ブックガイド :越前 敏弥,金原 瑞人,三辺 律子,白石 朗,芹澤 恵,ないとう ふみこ|河出書房新社
                                                                    • 「落語」を通して世界を見よう〜頭木弘樹『落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ』:スローリィ・スローステップの怠惰な冒険 - ブロマガ

                                                                      前回の更新から早くも2ヶ月半が経過してしまった。 休業期間が明けてからというもの、仕事のスケジュールがすさまじい立て込みようで、映画を見たり記事を書いたりする余裕がまったく持てなくなったのですよ。休業期間中に貯めこんだ「ヒマ」が利子付きでかっさらわれてしまったような忙しさ。とはいえ、若いころのように2週間会社に泊まり込んで夜討ち朝駆け、といった泥臭い働きぶりにはならずにすんだのだから、「働き方改革」は地道に浸透しつつあるのかもしれぬ。 そんな日々を送りながら、スキマ時間にできる息抜きといえば読書しかない。 しかし長い小説や読みづらい評論に手を出す余裕はなく、何か軽いエッセイ的なものを……と、手を出したのが頭木弘樹『落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ』(ちくま文庫)。全4章34節に分かれた落語入門書なので、連日ちびちびと読み進めるにはちょうどいい、と思って読み始めのが運の尽き。 面白すぎ

                                                                        「落語」を通して世界を見よう〜頭木弘樹『落語を聴いてみたけど面白くなかった人へ』:スローリィ・スローステップの怠惰な冒険 - ブロマガ
                                                                      • なぜ古典を解くのかーー米澤穂信『氷菓』を再読するためのメモ。 - ななめのための。

                                                                        タイトルの通りです。なんとなく思ったことをいくつかのトピックに分け、だらだら書いています。大したことは書いていません。とくだん資料等は参照していないので、どこかで既出の話題もあるかもしれません。 【※本記事は米澤穂信『氷菓』のネタバレを含みますので、未読のかたはご注意ください。】 氷菓 「古典部」シリーズ (角川文庫) 作者:米澤 穂信 KADOKAWA Amazon https://x.com/nanamenon/status/1788569418542559323 古典部シリーズにおける暗号解読って終始届いてほしいのに相手に届かない(届いても受け止めてもらえない)っていうタイムアウトした暗号(のちのだれかが読み解く古典)なんですよね(ろくろ — ななめの (@nanamenon) 2024年5月9日 上記はいまからほんの二週間ほど前、なんとなく当該シリーズの記憶をもとにつぶやいたもので

                                                                          なぜ古典を解くのかーー米澤穂信『氷菓』を再読するためのメモ。 - ななめのための。
                                                                        • 近刊紹介『1つの定理を証明する99の方法』|森北出版

                                                                          2021年1月下旬発行予定、『1つの定理を証明する99の方法』(フィリップ・オーディング 著・冨永星 訳)のご紹介です。 同書の「はじめに」を、発行に先駆けて公開します。 『1つの定理を証明する99の方法』はじめに 著:フィリップ・オーディング 訳:冨永星(とみなが・ほし) 1610年4月9日、ガリレオの『星界の報告』の新刊見本を受け取ったヨハネス・ケプラーは、すぐにファンレターを書いた。「自分自身の経験という支えもなしに、何のとまどいもなくあなたの主張を受け入れるわたしは、きっと無謀に見えるでしょう。ですが、もっとも造詣の深い数学者を信じずにおられましょうか。その様式(スタイル)そのものが、その方の判断が健全であることの裏付けとなっておりますのに」と認(したた)めたのである。わたしたち現代人には、数学者の業績を様式の観点から捉える習慣がない。たしかに証明は論証の一つの形ではあるが、証明さ

                                                                            近刊紹介『1つの定理を証明する99の方法』|森北出版
                                                                          • 文学がこんなにわかっていいかしら 高橋源一郎 - 本と奇妙な煙

                                                                            なぜメタ・フィクションが精彩を欠いているのか 吉本ばなな『満月』批評 「尾辻克彦」探検記 田中小実昌『アメン父』評 カルヴィーノの遺言 今月の文学候補――その傾向と対策 夏休み課題図書を読む 文学がこんなにわかっていいかしら (福武文庫) 作者:高橋 源一郎 メディア: 文庫 なぜメタ・フィクションが精彩を欠いているのか ちょっと回り道して考えてみよう。「小説についての小説」はメタ・フィクションと呼ばれるジャンルでは、いちばんありふれたやり方というか考え方なんだが、どうも最近、精彩に欠けているみたいだ。それはメタ・フィクションの世界最大の産出国アメリカも同じらしくて、ぼくの大好きなジョン・バースという禿げの作家が書いた『タイドウォーターテールズ』という弁当箱みたいにでかいメタ・フィクションの小説にでてくる作家も昔に比べて元気がなくなっている。どうしてこんなことになったんだろう。やはりメタ・

                                                                              文学がこんなにわかっていいかしら 高橋源一郎 - 本と奇妙な煙
                                                                            • ダミアン・ラッド『世界でいちばん虚無な場所』(柏書房) - 深海通信 はてなブログ版

                                                                              ここまで完璧に売り方を間違った本というのもあまりないと思う。 世界でいちばん虚無な場所 旅行に幻滅した人のためのガイドブック 作者:ダミアン ラッド 発売日: 2020/03/27 メディア: 単行本(ソフトカバー) 本書は、オーストラリア人の著者ダミアン・ラッドがインスタグラムにアップしている「@sadtopographies」というある種悪趣味な、しかし興味深い記事が元になっている。これは世界中に存在する憂鬱な気分になる地名(例えばカナダの悲哀諸島(The Sad Islands)や、ロシアの孤独島(Ensomheden)など。著者のバックグラウンドに合わせてか、オセアニアの地名も多い)をGoogle Mapの切り抜きとともに紹介するというもので、他には何の説明もない。恐ろしく素っ気ない記事群だ(が、なんと10万人以上のフォロワーが存在する)。 ダミアン・ラッドはこれらの記事を書籍化す

                                                                                ダミアン・ラッド『世界でいちばん虚無な場所』(柏書房) - 深海通信 はてなブログ版
                                                                              • 知を探究する「幸いなる魂」はどこまでも晴れやかだ――佐藤亜紀『喜べ、幸いなる魂よ』レビュー【評者:川本 直】 | カドブン

                                                                                変わりゆく時代を懸命に泳ぎ渡ろうとするふたりの大きな愛の物語。 新刊【長編小説】佐藤亜紀『喜べ、幸いなる魂よ』レビュー 書評家・作家・専門家が新刊をご紹介! 本選びにお役立てください。 佐藤亜紀『喜べ、幸いなる魂よ』 評者:川本 直 そのデビューから佐藤亜紀氏は完成された小説家だった。『バルタザールの遍歴』はオーストリア゠ハンガリー二重帝国の公爵家に生まれた一つの体に二つの魂を宿すメルヒオールとバルタザールという貴族の主人公が、ナチス・ドイツの台頭によって荒廃していく黄昏のヨーロッパを流浪しながら第二次世界大戦勃発とともにブエノスアイレスに向かうまでを超絶技巧で描き、「国際舞台にも通用する完璧な小説」と称された。 その登場から圧倒的な完成度を誇る作品を世に問う小説家は稀有だ。そして、『キャッチ=22』で世に出たジョーゼフ・ヘラーのように最初から代表作を書いてしまった作家はデビュー作を超える

                                                                                  知を探究する「幸いなる魂」はどこまでも晴れやかだ――佐藤亜紀『喜べ、幸いなる魂よ』レビュー【評者:川本 直】 | カドブン
                                                                                • 『方形の円-偽説・都市生成論』ギョルゲ・ササルマン|建築不可能な都市たちの生と死 - ボヘミアの海岸線

                                                                                  その都市には起点も終点もなかった。いつもその周囲に群がっているヘリコプターから見ると一つの巨大な塔に似ていて、頂上部は遠近法効果で小さく見え、遠い彼方に消えていた。 ーー「ヴァーティシティ 垂直市」 『方形の円 偽説・都市生成論』は、タイムラプス動画のような小説だと思う。 タイムラプスは、星や雲の動き、生命の栄枯盛衰など、長時間の観察を必要とする経過を早送りして、わずかな時間に圧縮する。タイムラプスを見ることは、人類の時間軸を超えること、人間ではない「なにか」の視点を借りて「世界のうねり」をのぞき見ることだ。 本書の読者は、シャーレ上の菌コロニーを観察するように、人類がこの目で観察できない都市の生成と滅亡を、爆発的な早送りで観察することになる。 方形の円 (偽説・都市生成論) (海外文学セレクション) 作者: ギョルゲ・ササルマン,住谷春也 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 201

                                                                                    『方形の円-偽説・都市生成論』ギョルゲ・ササルマン|建築不可能な都市たちの生と死 - ボヘミアの海岸線