岩波新書に入っているサルトルの『ユダヤ人』は、1956年出版ですが、原書の出版は1946年です(ただしこの本第一部は1945年に雑誌に発表され、さらにその一部は1944年にすでに書かれていたようです)。というわけで、げんざい、このサルトルの文章が書かれてから65年ほどたったことになります。とうぜん、時代がおおきく変わっているので、古くなっている……はずなのですが、とても60年以上前に書かれたとは思えない部分も多いです。というわけで、この本をすこし読んで見ようと思います。 ちなみに、サルトルのこの本は、とても評判が悪い本というめんもあって、私が知るかぎり、現代思想(別名ポスト・サルトル主義)系の人からはたいてい「ダメ本」あつかいされています。反ユダヤ主義研究が専門のうちだ・たつる氏も、『私家版・ユダヤ文化論』という新書でたしか、この本については「どこがダメか」というところだけ書いていました。