人には感情を引き裂かれる瞬間というものがある。何かを大事にしたいのに、それを大事にすることが別の何かを傷つけてしまいそうなとき。何かのことがたまらなく好きなのに、それが同時に自分を傷つけてしまう棘を持っているとき。 僕にとってそれは「おっさんずラブ」である。 田中圭演じる春田創一と、林遣都演じる牧凌太、そして吉田鋼太郎演じる黒澤部長の三角関係をメインに据えながら、個性豊かな周りの人々を描くラブストーリーで、シーズン1放送時には話題を席巻した超人気作であるところの「おっさんずラブ」。それに僕は、いま、現在進行形で、感情を引き裂かれている。 思えば僕がゲイであることを自認し、それを一人で抱え込んでいた数年前、「おっさんずラブ」の存在は大きな光のようなものだった。 シーズン1の放送当時、もうなんか・・・春田・・・お前は罪なノンケ野郎・・・牧・・・お前は・・・お前は俺だ・・・(当時僕がノンケに大恋