窓の外は白く濡ぬれていた。 時折吹きつける激しい風雨の音が、人気ひとけが少ない広報局のフロアに響く。 予報では、今夜から明け方にかけて雷雨になると言っていた。 早く帰らないと。壁の時計を見上げて嘆息する。 来週までにnoteのネタを3本提案しなければならない。 広報局noteの編集担当になって10か月。編集メンバーは私を含めて5人。それぞれが企画を持ち寄り、毎月数本記事を公開している。noteのコンセプトは、“NHKの仕事に携わる人たちが、熱い思いを自分の言葉で語る”。これがなかなか難しく、ネタ集めにはいつも苦慮していた。 なんとか2本の企画を思いついたは良いものの、あと1本がどうしても思い浮かばない。 これはやばいな、という確信と諦めが入り交じる。間に合わないかもしれない。 ピンポーン。 甲高い音に、びくっと顔を上げる。 居室の入口に置かれた来客用のチャイムが鳴ったのだと気づくまでに時間