母親の虐待を逃れて暮らしている男性は「頼れる大人のいない子どもたちに給付金が届いてほしい」と話す=先月、関東地方で 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済対策で、一律十万円が配られる「特別定額給付金」。一部の自治体では手続きが始まっているが、世帯主が家族分を申請する仕組みのため、児童虐待防止に取り組む関係者からは「虐待から逃れた子どもへの配慮が抜けている」という声が上がっている。 (浅野有紀) 母子家庭で育った関東地方出身の男性(20)は、幼いころから食事を与えられないネグレクト(育児放棄)家庭で育った。「おなかがすいた」というと、たたかれた。暴力がエスカレートした高校時代のある日、友人宅へ駆け込み、児童相談所に一時保護された。だが、入所できる施設は見つからず、一時同居していた里親家庭からの通学も難しかったため、仕方なく家に戻った。