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内田樹の検索結果521 - 560 件 / 694件

  • 人間の欲望の表出というのは複雑だし、「妄想」と「願望」は違ったりして難しいよねという話 - 頭の上にミカンをのせる

    まず本題に入る前にちょっとした俗説の紹介を。 「男性はスペックを求め、女性は関連性(言い訳)を求める」なんて話を聞いたことがあるでしょうか? これは脳機能的なものではなく社会的な差異としてよく挙げられますね。 記念日とか理由付けとか関連付けを女性は大事にしますが、男性はそういうのぜんぜん関係ないわけですよ。高い物とかいい物を得られるとすごく。だから、車とかもそうですよね。別に自分となにかが結びついている安い車よりも高い車のほうを求める。女性の場合は、どちらかというと、自分のために選んでくれたんだな、なにか理由があって来てくれたんだなとか、自分と関連があるから選んでくれたんだなと思わせるのがすごく大事なわけです。 https://logmi.jp/business/articles/165396 社会的に見て、女性がストレートに何かを求めることはまだ抑圧されがちであるがゆえに、「相手から言い

      人間の欲望の表出というのは複雑だし、「妄想」と「願望」は違ったりして難しいよねという話 - 頭の上にミカンをのせる
    • 内田樹 on Twitter: "複数のソースから「経営が危ない」という話を聞きました。なりふり構わぬ「中抜き」は強欲と言うよりは本当に切羽詰まって、とにかく金が欲しいからのようです。五輪が来年開催されなければどうなるのか。 https://t.co/NP8FDhTukY"

      複数のソースから「経営が危ない」という話を聞きました。なりふり構わぬ「中抜き」は強欲と言うよりは本当に切羽詰まって、とにかく金が欲しいからのようです。五輪が来年開催されなければどうなるのか。 https://t.co/NP8FDhTukY

        内田樹 on Twitter: "複数のソースから「経営が危ない」という話を聞きました。なりふり構わぬ「中抜き」は強欲と言うよりは本当に切羽詰まって、とにかく金が欲しいからのようです。五輪が来年開催されなければどうなるのか。 https://t.co/NP8FDhTukY"
      • 『ビロード革命とバラモン左翼』と『バッサーノ村の白アスパラ』 - 特別な1日

        今週は穏やかな陽気で助かりました。梅雨前の束の間の穏やかさ、でしょうか。 先週、今週と放送されたNHKの番組『映像の世紀 バタフライエフェクト「ヴェルヴェットの奇跡 革命家とロックシンガー」』は面白かったです。 amass.jp 1968年チェコの劇作家ハヴェルは自分の作品を上演するために訪れたNYで、デビューしたばかりのロックバンド、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドを知り、熱心なファンになります。 アンディ・ウォホールがプロデュースし、麻薬や同性愛を公然と歌うヴェルヴェット・アンダーグラウンドに、ハヴェルは自由を感じたそうです。ハヴェルはチェコへレコードを持ち帰り、その影響を受けた''The Plastic People of The Universe''(PPU)といったバンドも生まれます。 ●ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのデビュー作。アンディ・ウォホールが描いたこのジャケット

          『ビロード革命とバラモン左翼』と『バッサーノ村の白アスパラ』 - 特別な1日  
        • 特別鼎談★内田樹×寺脇研×前川喜平 公共とは何か〜学術会議任命拒否問題から考える≪前編≫

          日本学術会議の新会員を菅新政権が任命拒否した問題は、日本社会に波紋を広げています。思想家・武道家の内田樹さん、元文部官僚で映画評論家の寺脇研さん、元文部科学事務次官の前川喜平さんが、この問題の核心に迫りました。(2020年10月7日収録) 内田 相当怒っていますよね、インターネットを見ていると。僕は「安全保障関連法に反対する学者の会」のメンバーなんですけれど、学会からの抗議声明が先ほど段階(10月7日時点)で80を越したと言っていました。これからも自然科学・社会科学を含めてどんどん学会が声明を出して、最終的には200くらいの学会が声明を出すそうです。 前川 ひどい話です。僕はそんなに愛国者ではないんだけど、やっぱり日本の恥だと思う。 内田 本当に日本の恥です。 前川 恥ずかしいですよね。もし僕が今現職の文部官僚で科学関係の国際会議に行ったとしたら、うちの政府はこんなに遅れた政府なんです、と

            特別鼎談★内田樹×寺脇研×前川喜平 公共とは何か〜学術会議任命拒否問題から考える≪前編≫
          • 「お姉ちゃんは我慢しなさい」「イヤなら出ていけ」…家庭内の「呪いの言葉」に立ち向かうには なぜそこまで言われなければいけないの?|人間関係|婦人公論.jp

            「誰のおかげでメシが食えると思っているんだ」「長女は親の介護をして当然」。親やきょうだいからこのような言葉をぶつけられたとき、どう切り返せばよいのだろう。強い立場の者が弱い者を萎縮させる言葉を「呪いの言葉」と呼んだ上西充子さんに、対抗するためのヒントを聞いた(構成=上田恵子 イラスト=村田善子) 追い詰められていると感じたら パワーハラスメント、セクシュアルハラスメントなど、最近では日本でも「ハラスメント(嫌がらせ)」という言葉が定着してきました。ハラスメントとは、自分の地位を利用して、相手が嫌がることをしたり、言ったりすること。そこには必ず「権力」が絡み、上下関係が存在しています。 私の言う「呪いの言葉」とは、言語化されたハラスメント。労働問題の舞台となる現場では、しばしば見られるものです。たとえば、不満を訴えた従業員に対して店長が、「嫌なら辞めればいい」「給料をもらえるだけありがたいと

              「お姉ちゃんは我慢しなさい」「イヤなら出ていけ」…家庭内の「呪いの言葉」に立ち向かうには なぜそこまで言われなければいけないの?|人間関係|婦人公論.jp
            • 最終講座 - クルルのおじさん 料理を楽しむ

              最終講義というと大学の教授が退官される時の最後の講義で、内田樹の「最終講義」は有名だし、中井久夫さんにも「最終講義」という論文、エッセイ集があります(これは昨年12月の「100分de名著」で知りました)。今回のお題は最終講義ではなくて「最終講座」。 3月10日(金)、鯱城学園34期生の最終講座でした。10時から学園ホールでの「共通講座」、午後は園芸科のクラスミーテイング。通常は2年で卒業するところをコロナのお陰で4年かけて卒業することになる34期生の最後の講座です。 共通講座のテーマは「高齢者の生きがいと地域活動」。鯱城学園での最後の講座に相応しいテーマ。日本福祉大学の中川晴夫さんが熱弁を振るわれました。中川さんは75歳、すでに教授を退官されていますが大学からの要請で講演(講義)を継続している由。「福祉大学ではなく『酷使』大学です」と楽しそうに話されていました。最後の講座でもあり面白いと思

                最終講座 - クルルのおじさん 料理を楽しむ
              • ウクライナ停戦の条件 - 内田樹の研究室

                ウクライナとロシアの停戦はありうるかという質問をある媒体から受けた。私は国際政治についてはただの素人である。私の意見は「床屋政談」の域を出ない。それでもよいならという条件でこんなことを書いた。 ウクライナにとっての「国土回復」はロシアにとっての「国土喪失」であるというゼロサムゲームを両国は戦っている。戦力は拮抗していて、どちらかの国が圧倒的勝利を収めるという終わり方は今のところなさそうである。 ロシアは憲法で領土割譲を認めていないのでロシアには「停戦のための領土的譲歩」という外交カードがない。軍事的勝利以外にプーチンには自分が始めた「特別軍事作戦」の出口がない。領土的既得権を失うかたちでの停戦はプーチンの政権基盤を危うくし、失権のリスクがある。だから、プーチンは自分からは絶対に譲歩しない。 一方、ゼレンスキー大統領はその「ぶれない姿勢」でウクライナ国民と欧米諸国の支持を集めている。もし彼が

                • 内田樹「都市部のみが居住可能になると『人口減で巨利を得る仕組み』ができる」〈AERA〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース

                  哲学者の内田樹さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、倫理的視点からアプローチします。 *  *  * ある農業団体から講演の依頼があった。演題は「ポストコロナの農業」。私は農業にはまったくの門外漢であるが、農業関係の団体や媒体からよくお座敷がかかる。「農業の専門家が決して口にしないような話」をしてほしいというご依頼であろうから、ご期待に沿うべく、大風呂敷を広げて、人口減が農業に及ぼす影響について話してきた。 今から80年で日本の人口は60%減ると予測されている。均(なら)すと年間90万ペースでの人口減である。農村の過疎化が進むにつれて、限界集落に行政コストをかけるのは「金をどぶに捨てるようなものだ」という非情な言説が行き交うようになるだろう。里山は無住地化し、人々は地方の中核都市(コンパクトでスマートでデジタルな田園都市)に集住させられる。でも、人口減が止ま

                    内田樹「都市部のみが居住可能になると『人口減で巨利を得る仕組み』ができる」〈AERA〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース
                  • 「ブックオフは著者や版元に失礼か」論に一石…「ブックオフ大学ぶらぶら学部」 - INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

                    世間では「ブックオフで本を買うのは非常に失礼なこと。著者や出版社の得るべき利益を失わせる行為だ」など、ブックオフを敵視するという主張が時々あるのね。 togetter.com togetter.com togetter.com togetter.com 図書館批判の親戚でもある。 togetter.com 「実際にブックオフがあって、それを利用するのは仕方がない。ただそれを公言するべきではない」 という主張もあった。 これらの主張が正しいか正しくないかといえば、論理的には正しくないと思ったが、それと同時にこれは感情の問題であり、感情面でなかなか実際に本を執筆した人、出版社の人がこういう思いを払拭できるかといえば難しい面もあるのだろう。 でまぁ自分も暫定的に「 BOOKOFF で書籍やCDを買うのが道徳的に問題があるとはついぞ思わないが、それが作者や出版関係者の耳に入らないように、そうであっ

                      「ブックオフは著者や版元に失礼か」論に一石…「ブックオフ大学ぶらぶら学部」 - INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-
                    • 未来について - 内田樹の研究室

                      僕はよく講演に呼ばれます。胸を衝かれるのはどこに行っても聴衆のほとんどが高齢者であることです。若い人をみかけることはほとんどありません。告知が若い人たちの心に届いていないせいだと思います(「高齢者大学」とか「九条の会」だと若い人はタイトル見ただけでスルーするでしょうから)。 でも、僕が話すのは若い人にこそ聴いて欲しい話なんです。人口減社会において生き残る雇用は何かとか、格差社会においてどうやって弱者のための相互扶助システムを構築するかとか、ポスト資本主義の共同体はどうあるかとか、どちらかと言うと「70歳過ぎの人間にはあまり関係ない話(だって、もうすぐ死ぬから)」で、若い人の未来に切実にかかわることなのに、肝心の若い人は聴きに来てくれません。 どうしてなんでしょうか。自分たちの未来にあまり興味がないのでしょうか。未来のことを考えると、なんとなく気持ちが沈んで来るから、できるだけ先のことは考え

                      • 鍋と本棚 01 辻村豪文(キセル/ミュージシャン)

                        ───本棚はここだけじゃないですよね? 家の外にログハウスがあってそっちにもあります。こっちの本棚は向こうから持ってきた本を一時的に置いておく場所です。 ───ログハウス!? それはまた後でうかがうとして。こっちが最近読んでいた本ですね。いろんなジャンルが混ざってますね。一番最近読んでた本ってどれですか? 辻村:本当に最近だと、内田樹『街場の天皇論』。平川さん周りよく読んでますね。あ、これ、よく子どもと読んでます。奥さんが買ってきた『おーい ぽぽんた』。 ───「小学生に暗唱してほしい」とありますね。 辻村:俳句とか現代詩から万葉集まで一緒に並んでいて面白いですよ。学校の宿題で音読があって、親からしたらその音読楽しいんかな、みたいに思える時があって。子どももただ読んでる時だけの時とかあるから、だったらこっちはどうっていうことで。 (ログハウスへ移動) ───ログハウスすごいですね。まさに憧

                        • 会社概要 | 株式会社雨風太陽

                          雨風太陽は、東日本大震災をきっかけに生まれました。 当時、岩手県議会議員だった私は、それまで交わることのなかった都市の消費者(支援者)と地方の生産者(被災者)が被災地で初めて出会い、お互いを知り、活動を共にするにつれ、関係性が深まっていく様子を目にしました。 東北の農漁村は、震災前から過疎・高齢化で衰退していました。食べものをつくっている生産者自身が食べていけない、後継者がいない、耕作放棄地が広がる、鳥獣被害が増える、気候変動が猛威を振るう… ボランティアとして被災地に訪れた都市の消費者は、そのような地方の生産現場の実態に心を痛めたり、食べものの裏側にいた生産者の哲学や生き様に共感したことで、継続的な復興支援に参加していきました。 一方で、東北の豊かな自然に触れ、目の前の困っている人を助け感謝されることで、都市生活では得にくかった生きる実感ややりがいを得て、支援に来たはずの彼らが逆に被災者

                            会社概要 | 株式会社雨風太陽
                          • 医療費削減の先にある恐怖…アメリカのパンデミックが収束しない理由を内田樹と岩田健太郎が指摘 | AERA dot. (アエラドット)

                            内田樹さん(撮影/水野浩志)この記事の写真をすべて見る 岩田健太郎さん(撮影/水野浩志) コロナ・パンデミックは、「医療は商品である」という原理の無効性を可視化させた。そう語るのは、思想家の内田樹さんと医師の岩田健太郎さんだ。二人の対談が収められた『コロナと生きる』(朝日新書)から、なぜアメリカのパンデミックは収束しないのか、その背景について紹介する。 【対談相手の岩田健太郎医師の写真はこちら】 *  *  * ■コロナが晒した新自由主義の限界 内田:医療費の増加は、ここ20年ぐらい日本が抱える財政上の最大の問題とされてきました。国家財政を逼迫させているのは医療費である、だから医療費削減を達成することが焦眉の課題なんだと、政府も経済評論家も口を揃えて言い続けてきた。その結果、病床数を減らし、保健所を減らし、医薬品や医療器材の備蓄を減らすことになった。そうやって医療体制が十分に脆弱になったと

                              医療費削減の先にある恐怖…アメリカのパンデミックが収束しない理由を内田樹と岩田健太郎が指摘 | AERA dot. (アエラドット)
                            • しんめいPさん「自分とか、ないから。教養としての東洋哲学」インタビュー 東大卒→無職→「空っぽ」になれて、たどり着いた境地|好書好日

                              しんめいPさん=吉村智樹撮影 しんめいP 1988年、大阪府出身。東京大学法学部卒業。大手IT企業「DeNA」に入社し、海外事業で世界中を飛び回るも退職。鹿児島県長島町に移住し、教育事業に従事するも退職。芸人として「R-1グランプリ」に出場するが1回戦で敗退し引退、無職に。離婚も経験。引きこもって布団の中にいたとき東洋哲学に出会い、衝撃を受ける。そのときの心情を綴ったnote「東洋哲学本50冊よんだら『本当の自分』とかどうでもよくなった話」が話題となり、加筆・出版される。本書は京都大学名誉教授・鎌田東二氏が監修。 「劇薬」東洋哲学を軽い筆致で ――300ページ以上もあるのに、一気に読みきってしまう爽快感。抱えていた悩みなど、どうでもよくなる読後感。ご自身が悟りを開いていく感じが見て取れるのも痛快です。読者からの反応は。 X(旧Twitter)の方にめちゃめちゃご感想をあげていただいて。東洋

                                しんめいPさん「自分とか、ないから。教養としての東洋哲学」インタビュー 東大卒→無職→「空っぽ」になれて、たどり着いた境地|好書好日
                              • 『愛と幻想のファシズム』再読 - 内田樹の研究室

                                事情があって村上龍の初期の傑作『愛と幻想のファシズム』を読み返した。1984年から86年まで週刊誌に連載されていた小説だから、40年ほど前の日本の「近未来」が描かれている。作家の想像が外れているところもあるし、恐ろしいほど当たっているところもある。 多国籍産業が世界の政治経済を支配し、日本が米国の属国としてその激しい収奪の対象となり、財政の失敗で中小企業が次々倒産し、巷に失業者があふれ、社会不安が限界まで亢進する...という暗い未来図は今から少し先のことを言い当てているようである。 しかし、何よりも私が驚いたのは、メディアからは「ファシスト」と呼ばれ、アメリカを相手に戦いを挑む主人公鈴原冬二の思想が現代の「加速主義」そのものだからである。 加速主義というのは、アメリカに発生したポスト資本主義を望見する思想で、シリコンバレーの若手ビジネスマンたちの間では支配的なイデオロギーとなっていると聞く

                                • 内田樹氏が批判 松井市長の「買物発言」は「世界標準なら政治生命を失う愚行」(デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース

                                  「街場のメディア論」「日本辺境論」など数多くの著作で知られる思想家で神戸女学院大名誉教授の内田樹(たつる)氏が25日、ツイッターに新規投稿。松井一郎大阪市長が新型コロナウイルス対策の中でスーパーが混む問題について「女性は時間がかかるので、男性が買いに行くのがいい」と発言したことが海外で報じられている現状を挙げ「世界標準に照らせば政治生命を失う愚行」と断じた。 内田氏は松井氏の発言について「CNNに続いてフランスのメディアでも取り上げられました。世界標準に照らせば、ただちに政治生命を失うレベルの大都市の市長としてはありえない『愚行』だからです。大阪の有権者にはその基礎的事実を知って欲しいです」と訴えた。 同氏は24日のツイートでも「CNNのニュースになってしまいました。『日本が依然とし圧倒的な男性優位社会であり、ジェンダーギャップ指数で世界149か国の111位にランクされている』ことの生きる

                                    内田樹氏が批判 松井市長の「買物発言」は「世界標準なら政治生命を失う愚行」(デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース
                                  • 内田樹 @levinassien 大学教員は世間に疎いので不要不急の研究で無駄飯を食っている。生き馬の目を抜くビジネスワールドを生き抜いてきた「実務家」こそが大学経営をすべきだと言って2004年から鳴り物入りで登場したあの株式会社立大学の「末路」のことを皆さんもうお忘れなのだろうか?

                                    • 村上春樹と上田秋成 - 内田樹の研究室

                                      2017年の4月に台湾の淡江大学の「村上春樹研究センター」に招かれて「村上春樹の系譜と構造」というタイトルの講演をした。全文はのちに『街場の芸術論』に収録された。 先日、ある新聞から映画『ドライブ・マイ・カー』についてインタビューをされたときに、この映画の主題も「傷つくべきときに十分に傷つかない人間が引き受けることを拒絶した負の感情は悪霊になる」ということだったという話をした。記事は短いものなので、それだけでは説明が足りないと思うので、ここに講演中の関連部分を再録しておく。 村上春樹は小説を書くという行為についてほとんど排他的に「穴を掘る」という比喩を使うとさきほど申し上げました。でも、別の比喩も使います。それは「地下二階」あるいは「井戸の底」におりるという比喩です。地下室の下に別の地下室がある。 「人間の存在というのは、二階建ての家だと僕は思っているわけです。一階は人がみんなで集まってご

                                      • Qrio Smart Lock サービス終了に感じる犠牲的アーキテクチャと期間限定の価値 - 太陽がまぶしかったから

                                        Qrio Smart Lock 初代モデルのサービス終了 アプリとの接続による解施錠などは急に使えなくなることはないが、アカウント認証情報の更新やカギ情報の更新など、セキュリティに関わる重要な機能の担保ができないため、使い続けないでほしいとユーザーに呼び掛けている。 Qrio Smart Lockの初代モデルがサービス終了とのこと。僕自身は二代目モデルを使っているので今のところは影響がないのだけど、将来的なリスクに少し憂鬱になった。結局はオートロック機能の後付けのためにしか使っておらず、物理鍵で開けているからカギ情報は完全に抹消して登録不可にできた方が安全なのかもしれない。インキーロックすると終わるけれど。 それはさておき、ソフトウェア組み込みの買い切りハードウェアのサポートを無償で続けるのはそもそも無理があるビジネス設計であり、永続的に使える前提で売るのも、それを期待して買うのもスマート

                                          Qrio Smart Lock サービス終了に感じる犠牲的アーキテクチャと期間限定の価値 - 太陽がまぶしかったから
                                        • 日米安保、「宗主国なき属国」という最悪の形態<内田樹氏> « ハーバー・ビジネス・オンライン

                                          日米安保条約改定から60年を迎えようとしている今、日米同盟が大きく揺らぎつつある。 アメリカのトランプ大統領は以前から在日米軍の撤退をちらつかせるなど、日米安保を軽視する姿勢を見せてきた。最近では駐留経費の負担を増やすように要求してきている。「「米軍に駐留してほしければもっとカネを出せ」という態度は、とても同盟国のものとは思えない。 『月刊日本 2020年1月号』では、揺らぎつつあるニチベイ安保について、「日米安保条約の正体」と題した特集を組んでいる。今回はその中から、思想家、内田樹氏の論考を転載・紹介したい。 ―― 2020年で日米安保条約改定から60年になります。アメリカから日米同盟を軽視するような発言が聞こえるいま、改めて日米安保のありかたを考える必要があると思います。 内田樹氏(以下、内田):日米安保条約について議論する際には、個々の条文を取り上げて、その適否や有効性を議論してもあ

                                            日米安保、「宗主国なき属国」という最悪の形態<内田樹氏> « ハーバー・ビジネス・オンライン
                                          • 図書カード使い放題?!|誕生日や記念日、母の日や父の日、クリスマス、お年玉などの季節の贈り物、お祝い、お礼、お返し、ご挨拶に。| 図書カードNEXT

                                            もし手元に自由に使える3万円の図書カードNEXTがあったら、あなたならどんな本を買いますか? このコーナーでは、そんな夢のような話を作家さんに体験していただき、どんな本を選んだかを大公開! 図書カードNEXTで本を選ぶ楽しみをあなたも疑似体験してください。 いつか読むつもりの本 <プロフィール> 内田樹(うちだ・たつる) 1950年生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退。凱風館館長。神戸女学院大学名誉教授。専門はフランス文学・哲学、武道論、教育論、映画論など。 主な著書に『ためらいの倫理学』『「おじさん」的思考』(共に角川文庫)、『街場の憂国論』(晶文社)、『先生はえらい』(ちくまプリマー新書)、『レヴィナスと愛の現象学』(文春文庫)、近著に『勇気論』(光文社)、『だからあれほど言ったのに』(マガジンハウス新書)、『コモンの再生』(文春文庫)などがあ

                                            • となりのマンガ編集部 第13回:マトグロッソ編集部 書店の奥にあるこの本を必要として、救いとする人のために | マンバ通信

                                              となりのマンガ編集部 第13回:マトグロッソ編集部 書店の奥にあるこの本を必要として、救いとする人のために マンガの編集部に赴き、編集者が今おすすめしたいマンガやマンガ制作・業界の裏側などを取材する連載企画「となりのマンガ編集部」。第13回は、マトグロッソを運営しているイースト・プレスを訪ねました。イースト・プレスといえば『COMIC CUE』を始めとして『失踪日記』や『人間仮免中』など昔からコアなファンに訴求力の強い作品を発信してきている会社で、マトグロッソも個性豊かな作品が多く掲載されているサイトというイメージが強いのではないでしょうか。ただ、最近では『プリンタニア・ニッポン』の人気などもあり少しずつ変化し始めているイースト・プレスの内情や作品作りについて、書籍3部の編集者である石井さん・棒田さんに取材しました。 取材:マンガソムリエ・兎来栄寿 すべての辛さはこの1冊のために ――最初

                                                となりのマンガ編集部 第13回:マトグロッソ編集部 書店の奥にあるこの本を必要として、救いとする人のために | マンバ通信
                                              • 辰巳孝太郎さんと対談した - 内田樹の研究室

                                                1月25日に大阪府知事に立候補表明をしたたつみコータローさんが凱風館にいらした。私がTwitterで「辰巳孝太郎さんに大阪市長選に出て欲しい。出たら応援するのに」と書いたのを見て、対談のオファーをしてくれたのである。はじめてお会いするのだけれど、予想通りさわやかな好漢だった。こういう誠実で知的な人に大阪府政を任せたいとしみじみ思った。 対談は「大阪民主新報」に掲載されるが、字数制限があったので、以下にロングヴァージョンを掲げておく。 内田 大阪市長じゃなくて府知事だったんですね(笑)。 たつみ 年末に「明るい会」という政治団体から要請を受けて快諾しました。記者会見で、国政でやってきたが迷いはなかったかと聞かれましたが「ゼロです」と答えました。大阪の悪い政治の大本である維新政治をとにかく変えたいと。 内田 僕は学生時代は反代々木系の活動家だったので、共産党に対してはかなり批判的でした。でも、

                                                • 「コモンの再生」まえがき - 内田樹の研究室

                                                  みなさん、こんにちは。内田樹です。 今回は『GQ JAPAN』に連載中のエッセイを単行本化しました。 この連載は、毎月いろいろなテーマについて担当編集者の今尾直樹さんからご質問を頂いて、それに僕が答えるという結構のものです。もうずいぶん長く続いています。前に一度、2016年に、自由国民社から『内田樹の生存戦略』というタイトルでまとめて単行本にしてもらいました。今回はそれ以後に寄稿したものを文藝春秋から出してもらうことになりました。 ご存じの方はご存じでしょうが、『GQ』って、すごくお洒落な雑誌なんです。なにしろ『VOGUE』の姉妹誌なんですからね。広告頁の時計とか服とか鞄とか車とかのブランドは、僕のような野暮な人間は生まれ変わってもご縁がないだろうと思われるものばかりです。でも、なぜか、その鈴木正文編集長は僕の反時代的な書きものが気に入ってくださって、もうずいぶん長いこと『GQ』でコラムを

                                                  • 2021年度寺子屋ゼミ開講のご挨拶 - 内田樹の研究室

                                                    今年度の寺子屋ゼミの開講のメッセージを書くために参考に昔書いたものをHDから掘り起こしてみたら、4年前2017年のものがみつかりました。読んで一驚。まずそれを採録してみますね。 「2016年は激動の1年でした。パリの同時多発テロが2015年の12月。それ以後、イギリスのEU離脱、トルコのクーデタ未遂、パナマ文書の漏洩、シリア内戦の泥沼化、トランプの勝利と・・・数え切れないほどの事件がありました。 日本でも政治、経済、メディア、学術どの分野でも制度疲労とエリートの質的劣化が進行しています。森友学園事件は長期政権下でどういうかたちで『権益分配システム』が完成したのかを白日の下にさらしました。制度への負荷はもう受忍限界を超えていますから、どこかでもちこたえられなくなって『総崩れ』になる。でも、いつ、どこのセクションで、どのような破局的事態が生じるのかはわからない。日本だけでなく、世界どこも先の見

                                                    • 【京都精華大学】松任谷由実さんに「死んだほうがいい」と言った講師・白井聡さん炎上中…橋下徹「さすがにこんな講師を雇い続けるのはまずいだろ」無職フラグが立つ : ハムスター速報

                                                      【京都精華大学】松任谷由実さんに「死んだほうがいい」と言った講師・白井聡さん炎上中…橋下徹「さすがにこんな講師を雇い続けるのはまずいだろ」無職フラグが立つ Tweet カテゴリ話題 安倍総理退任に涙した松任谷由実さんに「死んだほうがいい」とかいう講師様wwwwwwwwww http://hamusoku.com/archives/10282215.html 0 :ハムスター速報 2020年9月01日 09:12 ID:hamusoku 京都精華大学は、さすがにこんな教授を雇い続けるのはまずいだろ。この白井氏も、内田樹氏、相田和弘氏、山口二郎氏らと同じ匂いのするタイプ。そして朝日新聞や毎日新聞が重用するタイプ。 pic.twitter.com/DOyhX4ENvm— 橋下徹 (@hashimoto_lo) August 31, 2020 白井氏は教授ではなく講師であるとのこと。こんは発言を俺

                                                        【京都精華大学】松任谷由実さんに「死んだほうがいい」と言った講師・白井聡さん炎上中…橋下徹「さすがにこんな講師を雇い続けるのはまずいだろ」無職フラグが立つ : ハムスター速報
                                                      • 「お墓見」の季節 - 内田樹の研究室

                                                        「お墓見」というものをしている。私が主宰している凱風館の門人たちのために2019年に合同墓を建てた。その墓前で、いずれそこに入る予定の人たちが集まって法要を営み、会食するという行事である。今年で五年目になる。 きっかけは凱風館の寺子屋ゼミで、ある女性ゼミ生が「親の墓の管理までは自分が責任を持つけれども、私が死んだ後、私のことは一体誰が供養してくれるのでしょう?」という問いを口にしたことである。門人には独身の方、子どものいない方が少なくない。この人たちにとっては死後「誰が自分を弔ってくれるのか?」ということが切実な霊的問題なのだということをその時に知った。 そこで私が「じゃあ、凱風館でお墓を作りましょう」と提案した。これなら「供養してくれる人」は長期的に確保できる。 武道の道場は、私が師から学んだ技法と思想を次世代の人々に継承するための場所である。門人たちはまた次の世代にそれを手渡す。そのよ

                                                        • 内田樹「検証されないコロナ対策の成否 論理的に破綻している政策の行く末は」 | AERA dot. (アエラドット)

                                                          哲学者 内田樹この記事の写真をすべて見る 哲学者の内田樹さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、倫理的視点からアプローチします。 *  *  * この原稿が活字になる頃に、コロナの感染状況はどうなっているだろう。東京では少し前に感染者が4千人を超えた。たぶんこの記事が出る頃には5千人を超えているだろう。それでも五輪は開催され、テレビは朝から晩まで「日本選手の活躍」を笑顔で報道している。五輪関係者からも感染者が出ているけれど、「バブル」は機能しており、感染は「想定内」だから懸念するには及ばない、感染拡大と五輪開催はまったく無関係だと政府も組織委も言い続けている。 一方、全国知事会は「県境を越えた移動の自粛」を求めていたが、どうなっただろうか。おそらく実効的な対策はとれなかったと思う。五輪関係者については「十分な配慮をしているので、移動しても感染は広がらない」と政

                                                            内田樹「検証されないコロナ対策の成否 論理的に破綻している政策の行く末は」 | AERA dot. (アエラドット)
                                                          • 大学存続の秘策 - 内田樹の研究室

                                                            大学入試の季節になった。東京にある医療系大学の理事と地方の女子大学の評議員をしているので、この季節になるとそれぞれで入試状況の報告を聞き、生き残れる大学と崖っぷちの大学の格差が年々広がっていることを実感する。 今のところは定員を満たしている大学も少子化が続けば、遠からず「崖っぷち」に立たされる。せっかく全国津々浦々に良質の教育研究拠点があるのだ。これを市場原理に委ねて統廃合し、教育機関の東京一極集中を放置しておいてよいのだろうか。 近代日本において、教育の充実は国家的急務であった。明治末までに東京、京都、仙台、福岡に四つの帝大ができ、最終的には台北、京城を含む九帝大ができた。旧制高校の設立はさらに早く、東京の一高が明治19年。明治41年までに仙台、京都、金沢、熊本、岡山、鹿児島、名古屋に8つの「ナンバースクール」が設立され、以後も都市名を校名とする「ネームスクール」は松江、弘前、水戸から旅

                                                            • 被査定マインドについて - 内田樹の研究室

                                                              合気道という武道を教えている。稽古を始めて半世紀、教えるようになってから30年経った。数百人の門人を育てて分かったことは、今の日本社会が「非武道的な人間」を量産するための仕組みだということである。 誤解している人が多いが、武道は勝敗強弱巧拙を競うものではない。ふつうの人は武道というのは、競技場にいて、ライバルと対峙し、勝敗を争ったり、技量を査定されるものだと思っている。たしかに、サッカーやボクシングやフィギュアスケートはそうである。でも、武道は本来はそういうものではない。というのは、「査定」されるというのは「後手に回る」ことだからである。「後手に回る」ということは武道的には「遅れる」ということであり、それは勝敗を競う以前に「すでに敗けている」ということである。 武道修業の目標は「場を主宰する」ことである。柳生宗矩の『兵法家伝書』には「座を見る 機を見る」という言い方があるけれど、要するに「

                                                              • 『無知の楽しさ』についての質問票 - 内田樹の研究室

                                                                韓国の出版社企画で「無知の楽しさ」という本が出た。韓国の編集者や訳者の朴東燮からの質問に私が答えて一冊の本になったのである。それについてのメールでのロングインタビューがあったので収録。 内田先生、こんにちは 私は韓国で、作家、そして弁護士として働いているチョン・ウジンと申します。 このような形で、内田先生とお会いできる機会が得られて、ほんとうに嬉しく思います。 先日韓国で出版された『図書館には人がいないほうがいい』を読み、内田先生のまさに「大ファン」になり、先生のご本を何冊か家に積読していて(もちろん韓国語版ですが)、一冊ずつ読んでおります。 私はそれらの本の内容からいろいろ影響を受けているのですが、その中でももっとも印象に残っているのは「本というのは、およそ死ぬまでに読み切れなくても買って積んでおくものである」というところでした。そのおかげで最近本の購入量が本当に増えてしましました。(実

                                                                • 安倍晋三、あの「いかがわしい西村康稔」を新型コロナ法案担当相に任命(呆) - kojitakenの日記

                                                                  今週は加計学園獣医学部が面接試験で韓国人受験生を全員0点と採点した件を「週刊文春」にすっぱ抜かれたりとか、安倍晋三の息のかかった黒川某を検事総長にしようと無理やり定年を延長させたにもかかわらず、広島地検が河合克行・案里夫妻の本丸に迫りつつある件(河井夫妻がスマホを押収されたとの報道もあった)など、安倍一派が次々と追い込まれていく事態が目立った。後者については、東京地検の検事長である黒川が広島地検に影響を及ぼせるはずがないという筋論も聞かれるが、それよりも黒川が本当に検事総長になる可能性自体が薄らいできたとの心証を捜査陣が持つようになったことが大きいだろう。つまり、普通に考えれば安倍政権はもう長くないのだ。 昨日(3/6)は、安倍晋三が新型コロナ法対策法案担当相に、あの「赤坂自民亭」で悪名を馳せた腹心の西村康稔を起用することに決めたというトンデモな件が報道された。下記はFNNの報道。 hea

                                                                    安倍晋三、あの「いかがわしい西村康稔」を新型コロナ法案担当相に任命(呆) - kojitakenの日記
                                                                  • 「朝鮮新報」のインタビュー - 内田樹の研究室

                                                                    「朝鮮新報」の3月1618日合併号に日韓問題についてのインタビューが掲載された。 総連系のメディアに取材されたのはこれがはじめてのような気がする。 紙面では字数が足りなかったので、これはロングヴァージョン。 「厄介な隣人にサヨウナラ」「韓国人という病理」――昨年、雑誌「週刊ポスト」は、記事の中でそのような言葉を並べヘイトスピーチを行った。同胞に対する異常な差別が日本社会にまん延する中、『週刊ポスト』版元の小学館に対し執筆拒否を宣言した思想家の内田樹さんが今、日本社会に対して思うことは。 ―在日朝鮮人を取り巻く日本社会の状況に感じることはありますか? 以前に比べ在日コリアンへの非寛容、差別が公然化してきたという印象があります。第一の原因は安倍政権にあると思います。安倍政権になってからの7年間で「嫌コリア」の機運が政治的に醸成されてきました。 日本社会の在日コリアンへの差別的感情は戦前から一貫

                                                                    • デザイン思考の如くー陥りやすい3つの誤解 - Kazumichi Mario Sakata

                                                                      はじめに イノベーションに関するイベントのタイムテーブルに目を通すと、約9割くらいの確率でデザイン思考という言葉を目にするようになりました。現在半額セール中の amazon のカテゴリ別(ビジネススキル)1位も、デザイン思考関連の書籍です。(2020年5月4日時点) なぜ、このようにデザイン思考が注目されるようになったのでしょうか。歴史を振り返ってみると、IDEO と言う企業の存在は欠かせません。IDEO は、世の中への影響や貢献度の高い企業の内の一つとして知られています。 先ず、約20年前(もうそんなに経ったのか…)に発売された書籍『発送する会社!ー世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法』でその名を社会に広げ、『デザイン思考が世界を変える―イノベーションを導く新しい考え方』でデザイン思考がイノベーションを起こす起爆剤になり得るという風潮を作ったことが背景にあります

                                                                        デザイン思考の如くー陥りやすい3つの誤解 - Kazumichi Mario Sakata
                                                                      • 医学生ゼミナールの質疑応答 - 内田樹の研究室

                                                                        8月11日に医学生ゼミナールというところで医学生たちを対象のオンライン講演を行った。タイトルは「ポストコロナの世界と医療」。90分しゃべった後で30分ほど質疑応答したけれども、時間が足りなくて、残りの質問はメールで送ってもらった。それへの回答を採録しておく。 Q:いま学部2年生で将来は、素粒子物理学の研究者としてアカデミックな世界に入ることを志している者です。 基礎的な学問について基礎研究の公費を政府に要求するにあたって、基礎研究に否定的な人たちを説得するために、何をどう伝えれば良いのか。 A:「基礎研究に否定的な人たち」というのは言い換えると「長いタイムスパンの中でものを考えることが苦手な人たち」です。 どのような歴史的な風雪を経て現在の科学技術が形成されてきたのか、このあとどのようなかたちで進化変遷してゆくのかを百年千年という単位で考えたことがなく、せいぜい数年、悪くすると四半期くらい

                                                                        • 松井市長の差別的発言が経済政策的にも0点のワケ 高度成長期の価値観から出てきた「女は買い物が遅い」発言 | JBpress (ジェイビープレス)

                                                                          (加谷 珪一:経済評論家) 松井一郎大坂市長が、新型コロナウイルス対策によってスーパーが混雑している問題について「女性は買い物に時間がかかる」と発言したことが波紋を呼んでいる。この発言は一部から差別主義的であるとして批判されているのだが、ここで取り上げるのはジェンダー論ではなく、経済対策としての話題である。 日本はすでに輸出主導型経済から消費主導型経済にシフトしており、消費者が多様な価値観を発揮することが経済成長のカギを握っている。「男は~」「女は~」という、昭和的な価値観が色濃く残った社会では、多様な消費を促すことはできず、結果として消費を拡大させることもできない。 政府が立案する新型コロナウイルスの経済対策は迷走に迷走を重ねているが、消費主導型となった日本経済の現状と、リーダーたちの思考回路との間にギャップが生じていることが背景にある。松井氏の発言は経済的にも大きな問題をはらんでいると

                                                                            松井市長の差別的発言が経済政策的にも0点のワケ 高度成長期の価値観から出てきた「女は買い物が遅い」発言 | JBpress (ジェイビープレス)
                                                                          • 主張/読売・大阪連携協定/報道機関の役割果たせるのか

                                                                            読売新聞大阪本社と大阪府が昨年末、包括的な連携協定に調印したことについて、ジャーナリズムの役割が損なわれるのではないかとの批判が高まっています。新聞社が公権力である自治体と広い分野で連携協定を締結するなどというのは極めて異例で、権力を監視する報道機関本来のあり方が問われています。大阪府の吉村洋文知事は「大阪維新の会」代表を務めています。「維新」の政治的影響力が強い自治体と協力を強めることは、公正な報道という原則を揺るがしかねません。 知る権利ゆがめる危険 「読売」大阪本社と大阪府の包括連携協定は、教育・人材育成、情報発信、安全・安心、子ども・福祉、地域活性化、産業振興・雇用、健康、環境など広範な分野で、協力することをうたっています。2025年開催予定の大阪・関西万博の開催に向けた協力も盛り込んでいます。 協定は、「読売」の大阪府への取材・報道に制限が生じないことや、大阪府が「読売」を優先的

                                                                            • 見えなくなってきた戦争の痕跡・東京都大田区の個別企業の被害(下) - 北穂高岳で味わう至福のひと時

                                                                              多摩川土手の花と桜並木 (2021年3月27日撮影) 目次 軍需工場はいま・・・ 都内の4分の1が大田区 空襲で標的に 三菱重工業㈱・東京機器製作所 北辰電機製作所 中央工業(株)・大森工場 日本特殊鋼㈱ 東京計器製作所 ㈱新潟鐵工所・蒲田工場 荏原製作所・羽田工場 【追記:2021年12月30日】 『大田区史 下巻』(平成8年発行)を参考に事例を加えました 東洋オーチス・エレベーター㈱(現在の「日本オーチス・エレベータ」の前身の1つ) 宮田製作所 (現在の「モリタ宮田工業」の前身の1つ) 日本酸素 (現在の「日本酸素ホールディングス」の前身の1つ) 電業社原動機製造所 (現在の「電業社機械製作所」の前身) 富岡光学機械製造所 東亜冶金㈱ 東京無線電機㈱・下丸子工場 (現在の三桂製作所の前身) ㈱光精機製作所 富士写真光機㈱・蒲田工場 アジアケルメット製作所・蒲田工場 萱場製作所・大森工場

                                                                                見えなくなってきた戦争の痕跡・東京都大田区の個別企業の被害(下) - 北穂高岳で味わう至福のひと時
                                                                              • 『ゴッドファーザー』と『北の国から』 - 内田樹の研究室

                                                                                『KOTOBA』という雑誌が「ゴッドファーザー」公開50周年を記念して、特集号を出した。そこに寄稿を頼まれたので、このようなものを書いた。 変なタイトルをつけてしまった。でも、この二つのドラマを突き合わせてみると、『ゴッドファーザー』サーガの思いがけない層に掘り当たるのではないかという気がしたので、それについて書くことにする。 この二つのドラマを併せて論じるというアイディアのきっかけは、酒席で隣に座った年若い友人から聞いた愚痴である。 「上司から『北の国から』というドラマを観ろと勧められて観たんですけれど、少しも面白いと思わなかった。正直にそう言ったら、まわりの人たちから『血も涙もない男だ』と罵られた」のだそうである。気の毒なことである。 「あれはいったい、どういう話なんですか。どうして、あんな話にみんな感動するんですか」と彼から質問されたので、少し考えてこう答えた。 「『北の国』からは、

                                                                                • 内田樹「差別、ルッキズム、ホロコースト…憲章の『根本原則』から程遠い東京五輪」 | AERA dot. (アエラドット)

                                                                                  哲学者 内田樹この記事の写真をすべて見る 哲学者の内田樹さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、倫理的視点からアプローチします。 【写真】「軽すぎる五輪」が始まったのはこの瞬間から *  *  * 五輪憲章はJOCのホームページで読むことができる。その「根本原則」は「オリンピズムとは一つの生きる哲学である」という言葉から始まる。 「オリンピズムは努力することの歓(よろこ)び、良き模範がもたらす教育的価値、社会的責任、そして普遍的で根源的な倫理的な諸規範に対する敬意に基づいた生き方を創造することをめざす」と憲章は謳(うた)っている。 崇高な目標だと思う。「きれいごと」だし、いささか「欲張り過ぎ」だとも思うけれど、こういう目標は非現実的でも構わないのである。透視図法における無限消失点のようなもので、それをめざして努力して、それが達成できないまま、前のめりに倒れた人

                                                                                    内田樹「差別、ルッキズム、ホロコースト…憲章の『根本原則』から程遠い東京五輪」 | AERA dot. (アエラドット)