【モスクワ=小野田雄一】中国企業がウクライナの世界的航空エンジン企業「モトール・シーチ」を買収しようとした問題で、同国のゼレンスキー大統領は31日までに、同社を国有化する大統領令に署名した。イタル・タス通信が伝えた。同社から中国への軍事技術流出を警戒する米国の意向を踏まえ、最大の貿易相手国である中国よりも、対ロシア戦略の後ろ盾である米国との関係強化を優先した形。中国はウクライナに反発しており、今後の両国関係に影響が及ぶ可能性もある。 これに先立つ3月11日、ウクライナ国家安全保障・国防会議(RNBOU)が同社を国有化する方針を決定。20日には同国裁判所がウクライナ保安庁(SBU)の申し立てを受け、同社の全株式と資産を国の管理下に移すことを決定していた。国有化に際し、同国は同社株式の過半数を保有する中国企業「北京天驕航空産業投資有限公司」(スカイリゾン)などに補償を行う。 中国外務省の華春瑩