『雪月花』北村 薫 (著)新潮文庫あらすじ本の世界には、実に様々な驚きと発見がある。 ホームズの相棒、ワトソンの、知られざるミドルネーム。 誰もが知っていた句の本当の作者。戦前の文学の会話文に出ていた「何ひと」の意味とは。 出会った人から、はたまた自分の頭の奥に眠っていた記憶から、言葉や文章はつながり、広がりを見せ、やがて目の前に見事な着地を見せたりする。 本を愛する著者の喜びや楽しみが存分に詰まった「私小説」。 本にまつわる謎が広がりつながっていく中村幸一氏の『ありふれた教授の毎日』の中で、氏が滞在したニュージーランドでヘイミッシュという名の人物に出会い、それ以降、この名を持つ人に会ったことがない、とゼミで話します。 すると学生が、シャーロック・ホームズのワトソン博士のミドルネームがヘイミッシュだと教えてくれます。 これを読んだ著者はいい知識を得たとばかり、何人かに披露していました。 と