武士が何であるかを語らずして、グランドビジョンは描けない ――本書の帯に『「源氏物語」の裏面史』とありますが、そもそもなぜ、平安王朝と源平武士をテーマとした新書を書こうと思ったのでしょう? 桃崎有一郎『武士の起源を解きあかす――混血する古代、創発される中世』(ちくま新書) 桃崎有一郎(以下、桃崎):この本は、前著である『武士の起源を解きあかす――混血する古代、創発される中世』(ちくま新書)の続編という位置付けになります。そもそも日本史には「武士はどこからどのように生まれたか?」という謎があり、これまでいろいろな説が唱えられてきましたが、そこには研究者それぞれのバイアスが掛かっていたようなところがありました。言わば、答えありきの説明であることが多かったんです。 たとえば、マルクス主義をもとにした説があります。武士というのは人民の中から生まれてきた「封建革命」でなければならなかった。あるいは、