気鋭の行政学者・政治学者である牧原出教授の名刺には、たしかに「東京大学先端科学技術研究センター 教授」との肩書きが書かれている。 先端研が文理融合・異分野融合の研究活動を行っている組織であることを、ご存じの方も多いだろう。だがそれにしても、なぜ牧原教授は、理工系の研究者が多く集う先端研で、政治学・行政学の研究に取り組んでいるのだろうか――。 いったい、一般の大学の法学部で行われる政治学・行政学の研究と、牧原教授が先端研で行っている研究活動とは何が違うのだろうか。 「まずは、私の研究室のある13号館の時計台にいっしょに昇りましょう。そうすれば、私がこの先端研で何をしているのかを、そして私が先端研にいる意味を、わかってもらいやすくなると思いますから」と、牧原教授は誘ってくれた。 駒場IIキャンパスの正門から入って真正面にある先端研13号館は、旧東京帝国大学航空研究所の本館として1929年に建築