私は「ちゃんと歩く」ということを、37歳になるまで知りませんでした。 幼い頃から母に「ちゃんと歩きなさい」と言われ続けてきましたが、どう歩けば注意されずにすむのか分かりませんでした。 というのも、「先天性股関節脱臼」という病気のせいで私は左足に比べて右足が少し短く、かかとを地面にしっかりつけて歩くのが難しかったのです。 はたからみると、足をものすごく引きずっているわけではないけれど、右肩がちょっと下がっていて、お尻を振って歩いている感じだったと思います。 それでも中学2年生まではふつうに体育の授業も受けていましたし、痛みというものもほとんど感じてはいなかったと記憶しています。 そして中学3年生のある夏の日、体育の授業にクラスの誰かが遅れてきたことを理由に「連帯責任」として校庭を5周だったか10周だったか忘れましたが、とにかく無理矢理走らされたのです(昭和の悪しき教育です)。 授業後、教室に