コスタリカ西部沖に浮かぶ船の上で、オクトパス・オデッセイ調査隊のメンバーがテレビ画面の前に集まり、遠隔操作型無人探査機(ROV)が海底をうろつく様子をリアルタイムで見ていた。 メンバーの一人が息をのみ、「赤ちゃんだ! 赤ちゃんがいる!」と叫んだ。 生まれたばかりのそのとても小さな体は、薄い半透明のピンク色で、8本の腕をすべて伸ばし、上に向かって突き進んでいた。 「あれはまさに信じられない瞬間でした」。2023年6月にコスタリカ大学のホルヘ・コルテス氏とともに、太平洋のドラド岩礁での調査プロジェクトを率いたベス・オーカット氏は振り返る。「ミッション管理室に多くの人が集まり、とても騒がしかったです」 祝うべきことは多かった。18人から成るチームは、世界で4つ目の深海タコの生育場を発見したのだ。その上、新種のタコの可能性がある。他の3つの生育場はカナダ、米カリフォルニア、そして、ドラドから30海