レトロモダンな建物でテレビドラマの撮影などにも使われた旧佐伯郵便局舎(京都府亀岡市薭田野町)が、14日から解体される。電話交換や電報業務など、戦前から戦後にかけ地域に欠かせぬ施設だったため所有者は活用も検討したが、傷みがひどく、87年の歴史に幕を閉じることとなった。 局舎は1934年に完成した。2階建て約150平方メートルで、当時としては珍しいコンクリート基礎の上に、鎧(よろい)戸のように板を並べた「下見板(したみいた)(鎧)張り」の壁に縦長の窓を配置する一方、屋根は瓦ぶきとし、「〒」マークを入れた鬼瓦も使用。設計者は不明だが、和洋入り交じった独特な外観を誇っていた。 建物の所有者で、自身も含め代々佐伯郵便局長を務めた大石昌弘さん(75)は「戦後の苦しい時も、24時間態勢で電報の受け付けや配達をし、ここから手紙や小包を届けてきた。小さいけれど地域の中で誇りを持って働いた建物だ」と懐かしむ。