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紙屋研究所の検索結果1 - 40 件 / 188件

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紙屋研究所に関するエントリは188件あります。 社会政治共産党 などが関連タグです。 人気エントリには 『大きな枠組みに目を向けさせないようにする - 紙屋研究所』などがあります。
  • 大きな枠組みに目を向けさせないようにする - 紙屋研究所

    なぜ「自分のできること」の範囲に限定するのか 娘(中1)が「環境新聞」というのを学校の宿題で作っていて、横から眺めていた。 温暖化について書いている。 「結論は自分ができることを書かないといけないんだ」と言って、ムダな電気を消すとかそういうことを書いていた。 その後授業参観で、クラスの壁に貼られた、クラスの生徒たちがそれぞれつくった「新聞」を見る機会があったが、温暖化だけでなく、ごみの減量とか、プラスチックごみの縮減とか、さまざまな環境問題についてまさに「自分ができること」で締めくくられていた。例外なく全て。徹底した指示・指導なのであろう。 なぜ「自分のできること」の範囲に限定するのだろうか。どうして「2030年に8%という低すぎる福岡市の再生可能エネルギー普及率の戦略を引き上げる」とか「プラスチック全般に拡大生産者責任を徹底する」とか、そういう「大きな話」を書いてはいけないのだろうか。*

      大きな枠組みに目を向けさせないようにする - 紙屋研究所
    • 公立高校でこんなにお金がかかるのはおかしくないか - 紙屋研究所

      娘が入学する高校の説明会に行った。 お金を用意しろと言われて「けっこうかかるもんだな」と当惑した。 もちろん、それらは事前情報をしっかり読みこんでいれば、身構えることができたものだろうけど。 まず3月末までに8万9000円振り込めと言われた。 入学料などである。「入学料は県の条例にもとづき、納入することが定められております」などといきなり書かれているので、「振り込まないと入学取り消しか!」とビビってしまう。 確かに入学料は納入が義務なのだろうが、実はそれは5550円に過ぎない。他の費用が凄まじいのだ。PTA入会金1000円、同窓会終身会費1万7400円、学校教育活動費5万890円なのであった。最大のものは「学校教育活動費」である。 「学校教育活動費」とは一体何か。 字面からして、すごいではないか。学校の・教育活動の・費用なのである。 「そんなもの不要ですよ」とは絶対に言えない雰囲気。 ただ

        公立高校でこんなにお金がかかるのはおかしくないか - 紙屋研究所
      • マンガの表現について共産党は2022年参院選でどういう政策を打ち出したか - 紙屋研究所

        2021年の総選挙で共産党のマンガ・アニメの表現に関する政策が話題になった。 その際に、ぼくも記事を書いた。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com ぼくは「カジを切っていない」とは結論づけた。しかし叙述が乱暴すぎる、と批判した。 この記事を書いた他に、共産党の中央に意見も出した。 総選挙が終わってしばらくしてから、共産党のある街頭演説をぼんやり聞いていたとき、演説を終えた、にひ そうへい元参議院議員がぼくのところにやってきて、「紙屋さん、あなたの意見を読みましたよ! 中央の担当部署でも共有しています」と笑顔で話しかけられた。演説後の非常に短時間ではあったが、「ぜひ今度話しましょう!」と、にひ元議員から言われた「あ、読まれてるんだ」と思った。 さらに、田村智子政策委員長が講師を務めるジェンダー問題の学習会があり、質問・意見を募集していたので、遠慮なく書いて出した。 上記

          マンガの表現について共産党は2022年参院選でどういう政策を打ち出したか - 紙屋研究所
        • 「ブラック校則」の「合理的理由」をしつこく問い詰める - 紙屋研究所

          福岡市の中学校の人権侵害の校則、いわゆる「ブラック校則」が話題になっている。 news.livedoor.com 「学校まかせ」では人権侵害がいつまでも解決しない ぼくは市内の中学校に娘を通わせる一人の親として強い関心を持ってきた。 ぼくがずっと感じている不満は、「校則は学校ごとの問題。学校ごとに決めればいい」という扱いをされることだ。結果的にいつまでたっても問題が解決しないのである。 学校という単位になると、一人の保護者が言えることは実に限られている。担任や校長に話したこともある。それで変わるかどうかはわからない。というか、悪意にとらえれば、「3年間、のらりくらりとかわしていれば、このモンペは子どもが卒業してしまうのでおさらばだ」と思われているのだろう。 PTAを通じた改革の可能性と難しさ PTAはどうか。福岡市でもPTAを通じて改革したケースはある。 news.yahoo.co.jp

            「ブラック校則」の「合理的理由」をしつこく問い詰める - 紙屋研究所
          • 共産党はマンガ・アニメの規制にカジを切ったのか - 紙屋研究所

            日本共産党がアニメやマンガの表現規制に「方向転換」したのではないかと、ネットの一部で話題になっている。 togetter.com 共産党は今回の総選挙政策で 「児童ポルノ規制」を名目にしたマンガ・アニメなどへの法的規制の動きに反対します。 と明確に言っている。それなのに、なぜこんな騒ぎになるのかといえば、ジェンダー分野で書かれている政策がこれと矛盾するのではないかという疑惑を招いているからである。 結論を言っておくと、「表現の法的規制ではない」というのがぼくの受け止め。しかし、政策としての叙述の仕方として最悪のものだと思う。どこかの政権党っぽく言ってしまうと、見事に「誤解を招く」。書いた人のセンスを疑う。 問題の、ジェンダー分野における共産党の該当政策はこの部分である。 ―――児童ポルノは「性の商品化」の中でも最悪のものです。児童ポルノ禁止法(1999年成立。2004年、2014年改正)に

              共産党はマンガ・アニメの規制にカジを切ったのか - 紙屋研究所
            • 日本共産党の自衛隊論を整理する - 紙屋研究所

              この記事。 news.yahoo.co.jp ついている「はてブ」のブコメが、まあなんと言おうか…。 b.hatena.ne.jp なーんて冷笑している場合じゃない。こういうブコメがつくのも、共産党が国民に広く自分の立場をこれまで知らせてこなかったという「問題」でもあるのだろう。知らないのは、国民のせいではなく、当該政党の努力の問題じゃ、ということ。 共産党の自衛隊に対する方針(ざっくり簡単に) 日本共産党の自衛隊への態度とはつまるところ、こういうことだ。 自衛隊は違憲であり、将来的には憲法9条は完全実施(自衛隊の解消)されるべきである。 しかし、それは将来、アジアの国際環境がよくなり、国民が「もういいじゃない?」と合意してのちであって、それまでは自衛隊は存在するし、活用する。専守防衛の部隊として侵略者と戦うのである。 共産党が参加する政権ができたときも同じ。党としては違憲という考えを持ち

                日本共産党の自衛隊論を整理する - 紙屋研究所
              • 今年度の中学英語が大変になっている可能性はないのか - 紙屋研究所

                中2の娘の定期テストの結果を見る。 英語の最下位クラス(0〜29点/100点満点)にかなりの人数がたまっている。他の教科と比べても段違いだ。1学期・2学期・3学期とこの傾向は変わらない。 グラフにしてみた。 この学校だけ、英語の授業が悪いのだろうか? そういう可能性もある。 しかし、今年から中学校の英語が変わった、と前に記事で書いた。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com そのエントリで紹介した、日経新聞2021年9月28日付の「受験考」欄記事「ついていけず悩む生徒」を一部引用する。 学校の授業の流れはまず英語の歌を歌い、英単語ビンゴをする。そしてチャット(2人1組で決まったフレーズを言い合うが、細かな発音指導などはしない)。さらに教科書本文の音声を聞き、簡単な和訳を教師が言う。これで授業終了。 教科書本文はおろか受動態や現在完了形といった文法の丁寧な解説はない。しか

                  今年度の中学英語が大変になっている可能性はないのか - 紙屋研究所
                • マイケル・サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』 - 紙屋研究所

                  才能も努力もガチャだと思う 親ガチャが話題であるが、才能はガチャだと思う。 本人が努力して得たものもあるだろうけど、努力できるのも才能の一つだ。ロールズの次の意見は正しい。 努力しよう、やってみよう、そして通常の意味で称賛に値する存在になろうという意欲さえ、それ自体が恵まれた家庭や社会環境に左右される そして、先天的なものだけに限らず、生まれてからどんな社会資源を利用できたか、利用できる環境にあったかも重要である。生まれつきと、みんなで寄ってたかってつくったものと、わずかばかりの自分の努力が「私の才能・能力」だ。 マイケル・サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』を読んでそういう気持ちになった。 実力も運のうち 能力主義は正義か? 作者:マイケル サンデル 早川書房 Amazon いや、上に述べたことは実は、サンデルが本書で言おうとしていることの中心軸ではない。だけど、本書を読んで、

                    マイケル・サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』 - 紙屋研究所
                  • 「交通事故負傷者は実際には減ってない」問題が国会で質問 - 紙屋研究所

                    交通事故負傷者は実際には減ってないのではないか、という「しんぶん赤旗」の記事を読んでその感想を書いた。*1 kamiyakenkyujo.hatenablog.com その後、共産党の塩川鉄也衆院議員がこの問題を国会で取り上げて質問した(6月4日、衆院内閣委員会)。今日の「しんぶん赤旗」にはその反響を書いた記事が載っていた。 そして塩川議員のホームページにはその質問をまとめた記事が載っていた。 www.shiokawa-tetsuya.jp (2021年6月4日 衆議院内閣委員会 日本共産党 塩川鉄也 配布資料) 前回記事で青野渉弁護士のコメントを紹介したが、「横ばい」と「半減」ほどに違う。「実数が違うだけで、基本的には同じ傾向」ではないのである。これは統計の意味を無効化し、それを基礎にした国策を誤らせる。 乖離が生じているのはなぜかと質問。 警察庁高木勇人交通局長は「自賠責保険では、人身

                      「交通事故負傷者は実際には減ってない」問題が国会で質問 - 紙屋研究所
                    • 「風呂なし3万円」は「最高の育て方」か - 紙屋研究所

                      この記事、はてなブックマークでは評判が悪いな。肯定的にコメントしている人も少なくないけど。 president.jp 要は、“特段の援助もせずに実家から放り出してみろ”というススメであり、そうすれば自活能力がつくし、条件を改善していく体験を得られるし、大変になれば実家に戻ればいいし、いいことづくめだよ、という意見である。 昭和生まれ、昭和育ちとして、この意見は体感的にうなずける部分がある。 しかし、多くのブコメ同様、どうもモヤモヤする。うなずけない部分もあるからだ。 都内の風呂なし3万円木賃アパートで十数年住んだ昭和世代のぼくは ぼくは万博前後に生まれた世代で、18歳で実家を出てからは、35歳でつれあいと同居するまで、風呂なしアパート以外に住んだことはない(1年間を除いて)。そのうち十数年は都内(中野区)である。 中野の木賃アパートは家賃3万円で相当に古く、屋根裏ではネズミが走り回り、ぼく

                        「風呂なし3万円」は「最高の育て方」か - 紙屋研究所
                      • 映画「君たちはどう生きるか」を評価する - 紙屋研究所

                        2回見た。1回目は一人で。2回目は家族で。 これは間違いなく、宮崎駿の最後の作品であろう。と予感した。 「まーた、これで最後最後詐欺だろ」という声も聞こえてきて、実際にそうかもしれないけど、そこが問題なのではない。 現在82歳となった宮崎駿。彼にとって、最後の作品が「風立ちぬ」(2013年)ということであったのだが、彼はこれではいけない、と思ったに相違ないのだ。知らんけど。 ぼくは10年前に「風立ちぬ」をかなり厳しく批判した。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com 「風立ちぬ」は一言で言えば「人間はそれぞれの時代を、力を尽くして生きている」として、「全体には美しい映画をつくろうと思う」という意図を貫いた映画となった。逆に言えば零戦を開発したという戦争の負の側面は糾弾されることもなく、あるいは何か昇華されることもなく、ただ不問に付されて終わってしまったのである。別にドキ

                          映画「君たちはどう生きるか」を評価する - 紙屋研究所
                        • 加藤聖文「日本にとって満洲支配とは何だったのか」 - 紙屋研究所

                          「前衛」2021年10月号に載った加藤聖文へのインタビュー「日本にとって満洲*1支配とは何だったのか」が実に分かりやすかった。 前衛 2021年 10 月号 [雑誌] 日本共産党中央委員会 Amazon ぼくは、満洲に日本から次々移民が送り出されたことは知っていたが、その理由は、「国内の農民が貧しく、それを反動的に打開するために満洲へ送り出し、開拓はもとより現地人の土地を奪った」ほどの理解であった。そして、「満洲は日本帝国主義による朝鮮支配の後の、中国侵略のための第一歩である」というくらいの解像度の認識であった。 満洲支配が持っていた矛盾 加藤は、満洲支配がもともと持っていた矛盾を、おおむね次のように説明している。 ――そもそも日本人が昔からいた土地でもなく、縁も薄いのに、日露戦争でさまざまな利権をロシアから奪い取ってしまい、経済活動が始まった。 日本にとって、必然性のないところを取ってし

                            加藤聖文「日本にとって満洲支配とは何だったのか」 - 紙屋研究所
                          • 野党共闘は「見直す」べきだ(4年ぶり2回目) - 紙屋研究所

                            夏に都議選を手伝った。そのとき立憲民主党は議席を伸ばして8→15、共産党は野党第二党という高い水準ではあったがほぼ議席を維持した(18→19)。 しかし、その一方で都民ファーストが立憲民主党の倍の議席を残した(45→31)。 けっこう取ったなあ、と思った。 あのときもメディアの予想は途中で大きく覆され、「小池百合子が最後は出てきた効果」などとぼくの周りでは言われていたがのだが、実際には、それは立憲民主や共産には行かない層、一言で言えば「中道」、もっと正確に言えば「非自民の保守」がたどり着いたところであった。 立憲民主党は「リベラル・左派」として評価されていたのだと思う。 総選挙では、この構図が再現された。都民ファーストのポジションに維新の会が来た。そういうことである。 ぼくの周りでは維新が伸びたことに過剰な意味づけをしすぎる人が多い。日本人が反動化しているとか、維新が大阪でこれこれのことを

                              野党共闘は「見直す」べきだ(4年ぶり2回目) - 紙屋研究所
                            • 子育てにおける人生最後の瞬間 - 紙屋研究所

                              小学6年生の女の子が誘拐され、命に別状なく戻ってきたときに母親が彼女を抱きしめたというニュースを聞く。 府警によると、母親は女児を抱きしめて号泣していたという。 https://www.asahi.com/articles/ASMCS36B7MCSPTIL001.html 小6の娘を持つ身として安堵するとともに、自分が娘を「抱きしめる」ということは、こうした娘の無事が確認されたというようなケースでもない限り、もはや自分の人生にはないな、と思った。 娘が保育園の頃、他の子のお母さんが、「この子には高3の兄がいるんですが、この前、その息子から『お母さん抱きしめさせて』というので抱きしめさせたことがあったんですよ〜」と話す話をクラス懇談会の場で聞いて、「そんなこっぱずかしい要求が」などと思ったものであったが、今になって妙に思い起こされる。 後になって思い返せば、「あれが人生で最後の子どものハグだ

                                子育てにおける人生最後の瞬間 - 紙屋研究所
                              • スポーツの本質的暴力性とどうつきあうか - 紙屋研究所

                                リモート読書会は、川谷茂樹『スポーツ倫理学講義』を取り上げた。 この本についてはすでに2005年に書評を書いている。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com 例えば写真は、今年11月28日付の西日本新聞夕刊の記事であるが、柔道の1984年五輪における山下・ラシュワン戦を振り返り、怪我をしていた山下の「右足は狙わないと決めていた」とするラシュワンの言葉を載せ、「その高潔な精神は世界で評価され、国際フェアプレー賞を受賞した」とする。1面のほとんどを使って、相手の弱点を狙わないことを「フェアプレー」として称揚している。 西日本新聞夕刊2020年11月28日付(6面) 川谷は、この山下・ラシュワン戦を冒頭に題材にとり、「相手の弱点を狙わないことはスポーツマンシップに悖るのか」という問いを立てている。 川谷は、勝敗の決着こそがスポーツの内在的目的であり、それがスポーツのエトスだと

                                  スポーツの本質的暴力性とどうつきあうか - 紙屋研究所
                                • 幹部たちの“知的水準の衰弱” - 紙屋研究所

                                  休みで、いろんな本を読んでいるが、読み返すものもある。 不破哲三『スターリン秘史』もその一つである。 スターリン秘史―巨悪の成立と展開〈5〉大戦下の覇権主義(下) 作者:不破 哲三 新日本出版社 Amazon 不破はこの著作の中で、スターリンの問題点の根源を暴いているのだが、同時に、それを描くプロセスで、スターリンという指導者が持っていた「長所」というか、ある種の明晰さにも遠慮なく触れている。 スターリンがトリアッチ〔イタリア共産党指導者〕やトレーズ〔フランス共産党指導者〕にあたえた路線転換は、それぞれ成功をおさめて、イタリアでも、フランスでも、共産党が戦後政治で有力な地位を得ることに貢献しました。スターリンが求めた路線転換に共通しているのは、反ファシズム闘争の成果を強引に社会変革に結びつけることに固執せず、資本主義的政治体制のもとで共産党がしかるべき政治的地位を獲得するという限定的な目標

                                    幹部たちの“知的水準の衰弱” - 紙屋研究所
                                  • 「暴力革命」宣伝のスジの悪さ - 紙屋研究所

                                    “日本共産党は現在も暴力革命を方針とする政党である”という宣伝は、現代では珍しいほどかけらも真実がない純然たるデマである。なんの根も葉もない。大昔は共産党はどうだったとか、何があったとか、そういうことを百歩譲って認めるとしても、今現在共産党がそんななんのメリットもない意味不明の方針を1グラムもとっていないことはあまりにも明瞭だからである。 もし本当に暴力革命をやるつもりでいるなら「最近どこかで武装訓練をしているのをみた」とか「あそこに大量の武器が隠してある」とか、そんな情報が、全国で100や200あっても良さそうなものだが、まるで聞こえてこない。当たり前である。そんな方針も活動も何もないからである。 だから公安調査庁が60年もかかって日本共産党を「調べて」いるのに、いまだに破防法を適用できない。何も出てこないからである。3年成果が出なければ情け容赦なく事業が終了する世知辛いこの公務渡世で、

                                      「暴力革命」宣伝のスジの悪さ - 紙屋研究所
                                    • 「自助・共助・公助」論について2つ言いたい - 紙屋研究所

                                      菅義偉の「自助・共助・公助」論が議論になっている。 www.huffingtonpost.jp agora-web.jp これらの記事にあるように、「自助・共助・公助」論は菅個人の主張ではない。自民党政治の根幹に座る太い考え方である。つまり菅個人の「思いつき」ではなく、イデオロギー的に強固であり、ある程度体系化されているものなのだ。 特に自治体行政の現場での町内会統制はこれを理論的な屋台骨にしている。各種の条例、計画はこの文言のオンパレードである。本当に検索すれば掃いて捨てるほどあるが、一例として、宮崎県日向市の「協働のまちづくり指針」をあげておこう。 https://www.hyugacity.jp/tempimg/20140319165056.pdf ビジネスならビジネスのシーンで支配的なイデオロギーというものがあり、経営者だけでなく労働者も少なからずそれに絡め取られている。*1 地域

                                        「自助・共助・公助」論について2つ言いたい - 紙屋研究所
                                      • 『最新版 図解 知識ゼロからの現代農業入門』 - 紙屋研究所

                                        日本の農業をどうしたらいいんだろうか。 福岡市でもちょうど高齢化した農家が世代交代の時期となり、田んぼがどんどん消えて宅地に変わっていっている。自分の近く、目の前でそうした現実を見せつけられる。素朴な素人感覚で申し訳ないが、そういう事態が進行していってこのまま日本の食料は大丈夫なのかという思いに駆られるのだ。 福岡市内を流れる川と田んぼと宅地 知り合いの農学者が2050年にむけた日本農業の政策提言を考えていて、それを見せられる機会があった。食料が足りなくなるという危機意識をもとにいろんな方策が書いてあるのだが、水田は畑と違っていったん宅地にすると元に戻すのが難しいということや、ひこばえを使った収量の増加などは興味を惹かれた。 www.agrinews.co.jp 他方で、物価高騰である。日々ぼくらが買う食べ物は、輸入にモロに影響を受ける構造なんだとなあという現実を嫌というほど示してくれた。

                                          『最新版 図解 知識ゼロからの現代農業入門』 - 紙屋研究所
                                        • 人生最悪の年 - 紙屋研究所

                                          今年は人生で最悪の年だった。仕事でも家庭でも。 もちろん、来年はそんなことがないようにしたいのだが、「『最悪だった』なんてのんきにブログに書けていた頃はよかったな〜」などという具合に「最悪」を更新することもないわけじゃない。 何をしていても前向きな気持ちが生まれないとか、いつも不安に苛まれているとか、そんな感情に支配されるようになるとは思ってもみなかった。もちろん、そうした精神状態というものがあるということを本では読んで知っていたが、やはりどこか他人事だったんだろう。 本当に苦しいな、これは。 こんなに苦しいとは思っても見なかった。 イスラエルに何年も捕らえられたパレスチナ人や、共産党圧政下で苦しむ香港政治犯などが、牢獄に閉じ込められたりする孤立感や絶望感というのは、こういう「体を蝕むような精神的抑圧」(おそらくぼくが体験しているプレッシャーの数倍、数十倍)と一体で行われるんだと想像すると

                                            人生最悪の年 - 紙屋研究所
                                          • 「紙屋研究所粛清事件」が勃発?9日、福岡の地が”赤く”染まるか…… - INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

                                            ※現在進行中の事件です。”最新情報”は、例えばこのアカウントをフォローしてみてください twitter.com 初めまして。 福岡で活動している党員です。 この件で神谷氏は処分されそうです。 内容は詳しく話せませんが、県党は言いがかりのような内容で処分するつもりです。 また、県の重鎮たちは、処分に必要な三分の二の賛成をとるために、神谷氏のいないところで県役員と意思統一していると耳にしております https://t.co/HeCxMbEuaZ— はいかい (@meganeokonomiya) September 6, 2023 日本共産党福岡県委員会による神谷貴行さんの処分に反対します。オタコミュニストが必要です。 pic.twitter.com/DtIaFH23db— 鵜沼 (@nomad_union) September 6, 2023 日本共産党の党内民主主義について - かみや貴行の

                                              「紙屋研究所粛清事件」が勃発?9日、福岡の地が”赤く”染まるか…… - INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-
                                            • 英語を勉強しているんだが - 紙屋研究所

                                              英語を勉強している。 なんのために? いや…別に…意味もなく。 『超訳マルクス』*1をやった時には、辞書を引き引きという具合だった。 サラサラ読めたらカッコいいかな、くらいに。 しかし英語というものはいったん始めたら日課にしないといけない。 筋トレと同じである。 筋トレは週1日の休みを入れて毎日続いている。2017年の秋頃からだからもう3〜4年になる。だいたい30分あればできるほどのメニューだからだ。 ここに英語など入れることができるだろうか。 たぶんできないと思う。 日課を増やすと、一つ一つは小さくて、面白いことであっても、やはり「やらねば」という義務感が多少混じるので、下手をするとそれがいつか積もり積もって爆発してしまう。「あー、もー面倒くせえ!」ってなるのだ。だから日課を増やすことは慎重でなければならない。さしたる目的もないのに日課にするなどということは時間という資源の浪費である。

                                                英語を勉強しているんだが - 紙屋研究所
                                              • 事実婚と高校無償化 - 紙屋研究所

                                                娘が進路を決めたタイミングで、同じように公立高校に子どもを通わせることになった知り合いAさんの相談に乗る。 相談とは「自分の家庭は高校無償化の制度の適用を受けるか?」ということである。 公立高校については授業料相当のお金(高等学校等就学支援金*1)を支給するタイプの「無償化」が行われている。 しかし、これには所得制限がある。 目安であるが、高校生1人の子どもがいる場合は、両親が共働きなら年収1060万円、一方が働いているだけなら年収910万円が上限となる。 Aさん夫婦はどちらも働いている。 Aさん夫婦の家庭は、「両親が共働きなら年収1060万円」という条件をクリアしないのではないかという心配がAさんにはあった。 高校のこの無償化制度を使えるかどうかは、行政が勝手に判断して通知してくれない。保護者側が申請をしないといけないのである。 しかし、実際には「高等学校等就学支援金オンライン申請システ

                                                  事実婚と高校無償化 - 紙屋研究所
                                                • ハラスメント被害者を「厄介者」扱いする組織 - 紙屋研究所

                                                  しんぶん赤旗1月22日付 しんぶん赤旗1月22日付に「自衛隊セクハラ 深刻さ告発」「現役隊員の国賠訴訟」という記事が載った。 航空自衛隊那覇基地でベテラン隊員から受けたセクハラに対して組織が不利益防止措置などをとらなかったとして、昨年2月に国を相手に損害賠償請求を起こした(しんぶん赤旗1月22日付) という事件である。ハラスメント加害者であるベテラン隊員はA、訴えたCさんは現役自衛官だ。すでに、AがCさんに対して起こした反訴の地裁判決では、Aの訴えを棄却し、AのCさんに対して行った「セクハラの事実をおおむね認めました」(同前)。 この裁判を起こしたCさんは裁判の意義をこう語っている。 被害を告発した人に不利益を与え、被害を隠蔽する自衛隊の深刻な実態を社会に知らせたい(同前) (1)被害を告発した人を徹底的にバッシングする(2)被害を隠蔽する、という抑圧的な組織体質に注目した。 自衛隊だけで

                                                    ハラスメント被害者を「厄介者」扱いする組織 - 紙屋研究所
                                                  • 「不適切にもほどがある!」を観ての感想 - 紙屋研究所

                                                    ドラマ「不適切にもほどがある!」を娘が観ていて、家族で観るともなしに観ていた(最近このパターン多し。「光る君へ」もそうだ)。 www.youtube.com 昭和末期の体育教師・小川が令和にタイムスリップしてくるという設定のドラマで、初回を観た時、ぼくはバスでタバコを吸ってしまう小川にちょっと笑ってしまった。 しかし、前半はとかく「令和のポリコレの息苦しさ」という味付けで語られ、ドラマへの批判も少なくなかった。バックラッシュでは、という人もいた。 だが、最終回。令和の歴史的進歩に心身を浸らせ続けてきた小川が昭和に戻ってきたとき、小川が身体感覚として昭和の生き方に強い違和感を覚え、その昭和の抑圧性に反発し、厳しく批判する様は、観ていて爽快だった。 一種の快楽でさえあった。快哉を叫んだ、と言ってよい。 つまり、ぼくは小川よろしく、令和までの価値観に心身を浸らせ切っており、小川と同じような気持ち

                                                      「不適切にもほどがある!」を観ての感想 - 紙屋研究所
                                                    • 及川琢英『関東軍——満洲支配への独走と崩壊』 - 紙屋研究所

                                                      そうだなあ、高校の教科書程度しか知識のない人間=ぼくが読んだのだが、読みやすいとはなかなか言えない本であった。 関東軍――満洲支配への独走と崩壊 (中公新書 2754) 作者:及川 琢英 中央公論新社 Amazon その原因は、人名や役職名、組織名などが多く、それらが織りなす個別事実がたくさん書かれていて、素人には「で、それは一体どういう意味を持つのですか?」と言いたくなってしまうのである。学者からすれば、それらは軽々に規定できるものではないのかもしれない。だから、個別事実を「豊富に」並べることで読者が感じ取るように作られている気がした。 また、ぼくにとって馴染みのある「軍閥」という言葉(概念)は出てこない。最近の歴史学の動向など全然知らないのであるが、どうして使わないのか、説明はない(他方で「馬賊」「巡防隊」などはごく簡単な説明がある)。 張作霖らをリーダーとする「奉天派」というのは、こ

                                                        及川琢英『関東軍——満洲支配への独走と崩壊』 - 紙屋研究所
                                                      • 松竹伸幸『シン・日本共産党宣言』 - 紙屋研究所

                                                        日本共産党は党首公選をやってはどうかということが話題になっている。 www3.nhk.or.jp news.yahoo.co.jp www.sankei.com www.yomiuri.co.jp その台風の目になっているのが松竹伸幸『シン・日本共産党宣言』(文春新書)である。「ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由」というサブタイトルの通り、党首公選を求めて党の防衛政策などの発展を訴えている。 実は松竹の本書には、表現の自由での政策の対立をめぐり、ぼくの名前も出てきてびっくりする。 シン・日本共産党宣言 ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由 (文春新書 1396) 作者:松竹 伸幸 文藝春秋 Amazon 党首公選をしたらいいではないか。これが本書についてのぼくの結論である。 党首公選をやったほうがいい派に変わった理由 数年くらい前までは「やらないほうがいい」派であったが、「やったほう

                                                          松竹伸幸『シン・日本共産党宣言』 - 紙屋研究所
                                                        • 消費税減税政権だ - 紙屋研究所

                                                          これはすごい、と素直に思う。 歴史的な合意だ。 www.jiji.com 衆院選後に立民中心の政権が樹立された場合の共産との関わり方について、枝野氏は「消費税減税」や「安全保障法制の違憲部分の廃止」など、民間団体「市民連合」と合意した政策の実現に限定した閣外からの協力を提案。志位氏は「全面的に賛同する」と応じた。衆院選での選挙協力を強化していくことでも合意した。(強調は引用者) 「市民連合」との野党共通政策が合意された9月8日の段階では、政権合意も、選挙協力合意もなく、単に各党がそれぞれ「市民連合」と確認しただけのものでしかなかった。志位和夫はこれを称して「この合意によって市民と野党の共闘の政策的な旗印が立派に立った」と言祝いだものの、逆に言えばただの「旗印」だった。極端なことを言えば、各党がそれぞれてんでバラバラに競い合ったとしても、この政策部分ではどの党も努力しているというほどのもので

                                                            消費税減税政権だ - 紙屋研究所
                                                          • 本を出します 『不快な表現をやめさせたい!?』 - 紙屋研究所

                                                            本を出します。 『不快な表現をやめさせたい!? こわれゆく「思想の自由市場」』というタイトルで、かもがわ出版から上梓します。2020年3月24日に出来予定です。 不快な表現をやめさせたい!?: こわれゆく「思想の自由市場」 作者:紙屋 高雪 発売日: 2020/04/07 メディア: 単行本 タイトルの意味ですけど、「!?」をつけているように、もちろん、ぼくが「不快な表現をやめさせたい」わけではありません(笑)。ついつい芽生えてしまう、そういう衝動や気持ちとどうやって向き合うのかという問題意識です。 目次を書いておきます。 はじめに 「あいちトリエンナーレ」事件の何が問題なのか 実際に「あいトリ」の作品を見てみる 「行政の中立」とは何か 「宇崎ちゃん」献血ポスター事件を考える (コラム1 自由な批判で表現を取り下げる――「はじめてのはたらくくるま」事件) 女性を性的対象としてみることは問題

                                                              本を出します 『不快な表現をやめさせたい!?』 - 紙屋研究所
                                                            • ハラスメントは組織の外で認定してもらうべきだ - 紙屋研究所

                                                              ハラスメント問題の処理——認定や救済は、組織や団体の中で閉じ込めて、外に漏らしてはいけないだろうか? ハラスメントは日本では現在違法——犯罪扱いされていない。 しかし、ハラスメントの中でも例えば刑法に触れる性暴力に該当する場合は、さすがに組織内にとどめよ、と主張する向きはあるまい。レイプされても組織の外に出してはいけない、ということになったら、これはもういくら結社の自由でそういうルール(内部問題が外部に持ち出さない)を設けていますからといっても、そういうルール自体が「公序良俗」に反することは明らかだ。 では、現行法に触れない程度のハラスメントはどうだろうか。 例えばハラスメントについての国際条約を日本も批准して一刻も早くハラスメントを違法=犯罪として扱うべきだ、と主張している団体があるとすれば、そういう団体においては、当然ハラスメントは全て犯罪として扱うべきであろう。そのような組織において

                                                                ハラスメントは組織の外で認定してもらうべきだ - 紙屋研究所
                                                              • 共産党の労働時間短縮政策は響いたか? - 紙屋研究所

                                                                総選挙が終わり、共産党の選挙結果声明を読んでいて 「賃上げと一体に労働時間短縮で『自由な時間』を」という新たな政策提起は、国民の切実な願いと響きあい、訴えが届いたところでは大きな共感がよせられました。 という一文がある。 これは本当だろうか。 批判したいがために言うのではなく、本当にそうなのかを共産党として検証したほうがいいよ、という老婆心で述べるのである。 労働時間問題が重要なことは共有するが、選挙の中心争点なのか? まず、労働時間短縮そのものが、日本の労働者にとって重大な課題であることはぼくもその通りであると思う。共産党がわざわざ長時間労働の是正を綱領上の課題として位置付けていることには深く共感する。*1 そしてそれが共産主義社会、人間の全面発達にもつながる課題だということもその通りだと思っている。 だけど、選挙の中心争点の一つにするテーマなのかな、と思う。 基本のビラでも裏金問題に次

                                                                  共産党の労働時間短縮政策は響いたか? - 紙屋研究所
                                                                • ウクライナ問題と憲法9条 - 紙屋研究所

                                                                  福岡市議会は3月3日に全会一致でロシアのウクライナ侵攻を非難する決議をあげた。 ロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議 ロシアは去る2月24日、外交手段による問題解決を模索した国際社会の努力を踏みにじってウクライナへの軍事侵攻を開始し、主要都市の占拠に向けた、軍事施設の破壊を始めとする一方的な軍事行動を展開している。こうしたロシアの攻撃により、ウクライナでは多くの国民が犠牲となり、また数多くの難民が生じている。 ロシアによる軍事侵攻は、領土の一体性の侵害と武力の行使を禁じた国連憲章及び国際法に明瞭に違反するものである。また、力による現状変更の試みは、平和を希求する国際的な秩序への明らかな挑戦であって、断じて許されるものではない。 さらに、ロシアは、我が国を始め国際社会が連携して実行している経済制裁に反発し、戦略核兵器の使用を示唆した。こうした威嚇や挑発は、全ての人類と文明社会への敵対行為

                                                                    ウクライナ問題と憲法9条 - 紙屋研究所
                                                                  • 髙井章博『“イヤな”議員になる/育てる!』 - 紙屋研究所

                                                                    2022年に刊行された髙井章博『“イヤな”議員になる/育てる!』(公職研)を読む。 “イヤな”議員になる/育てる!: 選挙のカネの話から、自治体議会改革まで 作者:髙井章博 公職研 Amazon 選挙勝利から議員になり、議員としてどう仕事をするかまでを、市議会議員経験者、そして選挙コンサルとして書いている。菅直人系の地方議員経験者。 いろいろ興味深い箇所はあったが、やはり一番食い入るように読んだのは「票を獲得する方法」のところだ。 それほど突飛もないことは書いていない。むしろオーソドックスのことなのかもしれない。しかし、いまぼくはそのことを、わりと解像度高めの話でしてみたいと思っているのだ。 「解像度高め」。 似ているんだけど、その方法は違う。 そういうことを言ってもらいたい。何かの理屈をつけて。 それが合っているか間違っているかはどうでもいいんだ。 むしろ違う流派の人からそう突きつけられ

                                                                      髙井章博『“イヤな”議員になる/育てる!』 - 紙屋研究所
                                                                    • 性風俗事業者への給付金についての共産党の態度から考える - 紙屋研究所

                                                                      コロナ禍での持続化給付金などの対象から性風俗事業者を排除したのは、憲法違反だとして、デリヘルの事業者(会社)が国などに支払いを求めた裁判の件。東京地裁は合憲判決を出した。 www.tokyo-np.co.jp 訴状・書面、そして判決文は、以下にある。 \東京地裁判決文、アップしました/#セックスワークにも給付金を!訴訟 遷移先の下部に「判決全文」をアップしています。なお、原告は即日控訴しました。#東京高裁では健全な判決を‼️#私たちは声をあげる ▼地裁 > 主張・判決 > 裁判所 https://t.co/8zG5SmFQEO pic.twitter.com/tNIWWgSlYj — CALL4(コールフォー)|「声をあげる」を応援する 公共訴訟プラットフォーム (@CALL4_Jp) 2022年6月30日 この裁判の訴状の中(p.22)にも出てくる「ナイト産業を守ろうの会」は、福岡市議会

                                                                        性風俗事業者への給付金についての共産党の態度から考える - 紙屋研究所
                                                                      • 長い休み - 紙屋研究所

                                                                        長い休みに入った。 休み明けの日は一応決まっているけども、本当にその日に休みが明けるのかどうかはよくわからない。これまでの人生では、そんなことはなかったのである。 休んでいる今、思い出し、読み返すのは大西巨人『神聖喜劇』だった。 神聖喜劇〈第1巻〉 (光文社文庫) 作者:大西 巨人 光文社 Amazon 戦争が始まって対馬の部隊に入隊し、そこで出会った様々な事件を物語を描いた、『神聖喜劇』には、主人公・東堂が、入隊して間もない頃に、朝の呼集時間を知らされておらず、呼集に遅れてやってきて、そのために同じく遅刻した他の4人の新兵とともに、軍曹から厳しく追及されるシーンがある。 〔…〕「わが国の軍隊に『知りません』があらせられるか。『忘れました』だよ。忘れたんだろうが? 呼集を。」 上官上級者にたいして下級者が「知らない」という類の表現を公けに用いることは固く禁物である、——入隊前にもいつかどこ

                                                                          長い休み - 紙屋研究所
                                                                        • 年上の高齢男性から告白されるということについて - 紙屋研究所

                                                                          妻子があって60代である、ゼミの男性教授から電話で「告白」された女子大生の話。 anond.hatelabo.jp まず、これが教員と学生の非対称的な関係を利用した、強制性のあるものだとすれば、セクハラである。許されることではない。その女子大生にも、告発をするよう強く勧める。 ただ本稿では、いったんそのような関係ではないと仮定する。少なくとも上記では女子大生は自分と教授の関係性をそうは書いていないからだ。*1 また、男性に妻子がいるということについても、それは不倫ということになるが、ぼくは不倫というのは、1対1の関係を約束したパートナー同士の信頼(契約)を裏切るものであるから、基本的にそのパートナーの間のものだと考える。今のところ他人がどうこう言えることではないようにぼくは考えている。故にここでは問題にしない。 つまり、本稿はフラットな2人の関係、高齢の男性から若い女性への告白ということだ

                                                                            年上の高齢男性から告白されるということについて - 紙屋研究所
                                                                          • 「風刺は引用する作品全体の意味を理解したうえでこそ力をもつ」で思い出す筒井康隆 - 紙屋研究所

                                                                            www.kaiseisha.co.jp これを読んで当然この箇所に目がいく。 風刺は引用する作品全体の意味を理解したうえでこそ力をもつのだと思います。 そこにこの記事。 m-dojo.hatenadiary.com 筒井康隆の風刺・パロディ論争を思い出す(「笑いの理由」/筒井『やつあたり文化論』、新潮文庫所収)。 最近「差別語」論争について振り返る機会があって久々に読み返していたために、記憶に残るところがあったのだ。 やつあたり文化論(新潮文庫) 作者:筒井 康隆 新潮社 Amazon 筒井は風刺とパロディを区別して、パロディにおいて「原典の本質を理解していない」という批判を厳しく批判する。 なぜかというと、原典の本質を衝いているというだけでは創造性に乏しいことがあきらかで、ある程度以上の文学的価値は望めない。そこで途中から原典をはなれ、その作品独自の世界を追求したり、自分の主張をきわ立た

                                                                              「風刺は引用する作品全体の意味を理解したうえでこそ力をもつ」で思い出す筒井康隆 - 紙屋研究所
                                                                            • 運動の習慣をつけるには - 紙屋研究所

                                                                              たまたま目についたこの話題(すでに4月のエントリだが)。 blog.hatenablog.com 自重の筋トレを初めて7年目になる。 効果があるかどうかは別にして、続けていることは間違いないから「なぜ続いているか」について少しくらい書いてもいいだろう。 といっても、実は1年目でもうドヤ顔して書いていた。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com 同じことを書いてもアレなので、今回はそれとは違うことを少し。(といってもスモールステップの変奏なのだが) ぼくのマインドセットとして、例えばある日の筋トレの総量、 プッシュアップ(腕立て伏せ)15回×4セット クリンチ(腹筋)15回×4セット を思い浮かべると気が重くなる。 しかし、「まず5回だけ」とやってみる。 やっている最中に5回を超えたら、次は10回のことをイメージしてみる。 5回目と10回目の間に8回目が入って来るが、8回

                                                                                運動の習慣をつけるには - 紙屋研究所
                                                                              • 『めざそう! ホワイト企業 経営者のための労務管理改善マニュアル』 - 紙屋研究所

                                                                                「今の日本では労働者は解雇できない」という意見に対して「きちんと手続きを踏めば労働者は解雇できる」と答えたら、あたかも解雇指南をしているかのようである。 いや実際「解雇テクニック」としてそういう「手続き」を教える場合もある。 www.jcp.or.jp しかし、経営者として労働者の能力向上や技術習得に必要な手立てがどういうものかを定めて、それに力を尽くしたかどうか、その判断基準とするのであれば、ここでいう「手続き」はまるで正反対の意味を持ってくる。 それでは、どのような場合に解雇が正当であるとされるのでしょうか。……一言でそれを述べれば、「解雇の通知の前に、経営者としてやるべきことをやったのかどうか」ということになります。 その「やるべきことをやったのかどうか」は、たとえば「仕事ができない」「業務命令に従わない」と判断した労働者に対して、経営者が「どれだけ仕事ができるように可能な手を尽くし

                                                                                  『めざそう! ホワイト企業 経営者のための労務管理改善マニュアル』 - 紙屋研究所
                                                                                • すでに明らかなことを本に書く気はない - 紙屋研究所

                                                                                  拙著が家に届きました。 今日あたりから書店に並ぶと思います。「不要不急の外出自粛」が呼びかけられている地域も多い中であり、まあ「必要であり急ぎである買い物」と位置付けてもらって……とは申しませんが、何かの折にぜひお読みください。あまり初刷りはありませんので、かなり大きな本屋でないと、取り寄せない限りないんじゃないかと思います。こういう時こそ本を読んでぜひご感想をください。 家ではつれあいが読んでくれました。だいたい何事にも辛口なことが多いつれあいなのですが「面白い」と言ってもらい、しかも具体的にここがというのを的確に指摘してくれたので、身内の評ながら1週間ぐらいハッピーでいられました。 この本は「表現の自由」を扱った本ですが、例えば「あいちトリエンナーレ」の事件にさいして「政府からの圧力は表現を萎縮させるものであり、表現の自由を脅かすものだ」ということは、少なくともぼくにとってはかなりクリ

                                                                                    すでに明らかなことを本に書く気はない - 紙屋研究所

                                                                                  新着記事