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綿野恵太の検索結果1 - 40 件 / 46件

  • インテリ気取りで「受け売りの知識」を披露…私たちはみんな「亜インテリ」なのかもしれない(綿野 恵太) @gendai_biz

    インテリを気取ってはいるけれど、そのじつ耳学問で仕入れた受け売りの知識をひけらかしているだけの人々——丸山眞男はいまから50年以上前にこうした存在を「亜インテリ」と呼びましたが、じつは現代こそが「亜インテリ」というキーワードによって特徴づけられるのかもしれません。『みんな政治でバカになる』(晶文社)を上梓した、批評家の綿野恵太氏が解説します。 バカの二乗 人間の思考には「直観システム」と「推論システム」というふたつのメカニズムがある(二重過程理論)*1。「直観システム」は非言語的・自動的・無意識的であるため、素早く判断できる。しかし、間違いも多い。その間違いには一定のパターン=「認知バイアス」がある。「推論システム」は言語的・意識的な推論をおこなう。「直観システム」に比べて間違いは少ないが、時間や労力を必要とする。私たちは「認知バイアス」ゆえに「バカ」げた言動をとってしまう*2。 くわえて

      インテリ気取りで「受け売りの知識」を披露…私たちはみんな「亜インテリ」なのかもしれない(綿野 恵太) @gendai_biz
    • 綿野恵太『みんな政治でバカになる』に対するコラム記事につきまして|晶文社

      2021年10月15日付、日経ビジネス掲載の小田嶋隆さんのコラムにて、小社刊・綿野恵太著『みんな政治でバカになる』が紹介されていますが、このコラムにあるように「政治について語ることが無意味でバカだ」といったことが、本書で書かれているわけではありません。端的に誤読であると考えます。 本書は、政治について考えたりかかわったりする際につきまとう困難をどう乗り越えるかを、進化心理学や認知科学の知見を援用しながら真摯に(無知に居直るのでもなく、シニカルでもなく)考察したものであり、その執筆の姿勢は「政治を語るやつらはバカ」と揶揄的に語るような態度とは真逆のものです。 本をどのように読むかは読み手の自由でありますが、書かれていない内容をあげたうえで批判している点で、当該コラムの内容は的をはずしたものであると考え、本書『みんな政治でバカになる』についての誤解・曲解が広まることのないように、異議申し立ての

        綿野恵太『みんな政治でバカになる』に対するコラム記事につきまして|晶文社
      • 書評:綿野恵太『「差別はいけない」とみんないうけれど。』(平凡社、二〇一九年) - 過ぎ去ろうとしない過去

        「差別はいけない」とみんないうけれど。 作者: 綿野恵太 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2019/07/18 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る この本の結論、すなわち、我々は「経済と差別というふたつの領域で平等を求める」「ポリティカル・コレクトネスを大義とした、古臭い左翼であり、新しい左翼でもある」と宣言すべきだという結論*1には異論はない。 だが、私が思うのは、この本の内容に代表されるように、なぜ人は、差別の問題とその解消をひたすら訴えかけるような現在の反差別運動にひとつの行き詰まりを感じてしまうのか、ということである。小説でもテレビドラマでもよい。10年前、20年前、30年前のコンテンツを見てみるがいい。いかに現在の視点からは耐え難い差別表現が随所にみられることか。そしてそれらは現在、いかに解消されてきたことか。現在のバックラッシュが激しいとはいえ

          書評:綿野恵太『「差別はいけない」とみんないうけれど。』(平凡社、二〇一九年) - 過ぎ去ろうとしない過去
        • 千葉雅也さん×綿野恵太さん『「差別はいけない」とみんな言うけれど。』刊行記念対談 【前編】アイデンティティとシティズンシップ|じんぶん堂

          記事:平凡社 書籍情報はこちら 差別を受けた当事者でない者が、差別を非難する時代へ――。綿野恵太氏は、現在生じている差別批判のロジックの変化、そのポイントは、「アイデンティティ・ポリティクスからシティズンシップへ」である、という。この認識は、どんな事象・言論・事件・出来事に見出すことができるだろうか。この変化を認識するとどんな効用があるだろうか。シティズンシップの時代が抱える対立や葛藤、そして困難を検証する。 アイデンティティ・ポリティクスとシティズンシップの見取り図 千葉:綿野さんが、『「差別はいけない」とみんないうけれど。』という本を出されました。この本が、僕が柴田英里さんや二村ヒトシさんと一緒に出した『欲望会議──「超」ポリコレ宣言』とも関わるテーマを扱っているので、今日は綿野さんの提示された問題について展開してみたいと思っています。 綿野:本書でも触れていますが、執筆のきっかけを説

            千葉雅也さん×綿野恵太さん『「差別はいけない」とみんな言うけれど。』刊行記念対談 【前編】アイデンティティとシティズンシップ|じんぶん堂
          • 千葉雅也さん×綿野恵太さん『「差別はいけない」とみんな言うけれど。』刊行記念対談 【後編】シティズンシップが変える社会|じんぶん堂

            記事:平凡社 書籍情報はこちら 差別を受けた当事者でない者が、差別を非難する時代へ――。綿野恵太氏は、現在生じている差別批判のロジックの変化、そのポイントは、「アイデンティティ・ポリティクスからシティズンシップへ」である、という。この認識は、どんな事象・言論・事件・出来事に見出すことができるだろうか。この変化を認識するとどんな効用があるだろうか。シティズンシップの時代が抱える対立や葛藤、そして困難を検証する。 対談後編では、シティズンシップのロジックと、監視国家・管理国家の進展や、進化心理学的な見方の台頭がどんな関係にあるか、などが論じられます。 ≪前編≫はこちらより 左右両方に共通する管理社会化 千葉:最近、「普通に人が生きるとはこういうことだ」という規範性がすごく前面に出てきているように思うんですね。 例えば、結婚もそうだし、性的に刺激的なものをあまり目にしたくない、とか。まあとにかく

              千葉雅也さん×綿野恵太さん『「差別はいけない」とみんな言うけれど。』刊行記念対談 【後編】シティズンシップが変える社会|じんぶん堂
            • 大澤昇平さんに『「差別はいけない」とみんないうけれど。』を読んでほしい(綿野 恵太) @gendai_biz

              差別的な言説はしばしば合理的? 東京大学特任准教授の大澤昇平が「〔自身が代表取締役をつとめる企業では〕中国人は採用しません」「そもそも中国人って時点で面接に呼びません。書類で落とします」とTwitterで投稿し、差別だという批判が殺到した。 その後、大澤は「当職による行き過ぎた言動」を謝罪し、「特定国籍の人々の能力に関する当社の判断は、限られたデータにAIが適合し過ぎた結果である「過学習」によるものです」と釈明した。 大澤には拙著『「差別はいけない」とみんないうけれど。』(平凡社)をぜひ熟読してもらいたい。一読すれば、みずからの発言の問題点を理解できるだけでなく、「ポリティカル・コレクトネス」について深く学ぶことができる。 「ポリティカル・コレクトネス」をめぐる状況はアイデンティティとシティズンシップの対立と整理できる。差別は特定の人種、民族、ジェンダー、性的指向や障害などをもつ人間を不当

                大澤昇平さんに『「差別はいけない」とみんないうけれど。』を読んでほしい(綿野 恵太) @gendai_biz
              • 異形とポリティカル・コレクトネス(1):綿野恵太『「差別はいけない」とみんないうけれど。』について - 蛮族の本懐

                はじめに 批評家・綿野恵太の挑戦と限界 最近、人の薦めで綿野恵太『「差別はいけない」とみんないうけれど。』(平凡社、2019年)と治部れんげ『炎上しない企業情報発信:ジェンダーはビジネスの新教養である』(日本経済新聞出版社、2018年)を読んだ。 治部の啓蒙書は会社の上司に薦められて読んだのだが、残念ながらそれほど面白い本ではなかった。ルミネ、資生堂、キリンビバレッジ、サントリー、宮城県、ユニ・チャームなど、近年の日本国内における「ジェンダー炎上」の事例およびその問題点が簡潔に整理されており、海外の「ジェンダー炎上」事例も何例か紹介されているため、informativeではあったが、いかんせん筆致が退屈で刺激に欠けた。綿野の話題書を副読本として、物足りなかった点、注意を要する点を指摘しておきたい。(以下、赤字は引用箇所を示す) 第一に、治部は「『女性に関する表現は男性の自分には発言資格がな

                  異形とポリティカル・コレクトネス(1):綿野恵太『「差別はいけない」とみんないうけれど。』について - 蛮族の本懐
                • 書評:綿野恵太『「差別はいけない」とみんないうけれど。』(平凡社、二〇一九年)|藤崎剛人

                  この本の結論、すなわち、我々は「経済と差別というふたつの領域で平等を求める」「ポリティカル・コレクトネスを大義とした、古臭い左翼であり、新しい左翼でもある」と宣言すべきだという結論*1には異論はない。 だが、私が思うのは、この本の内容に代表されるように、なぜ人は、差別の問題とその解消をひたすら訴えかけるような現在の反差別運動にひとつの行き詰まりを感じてしまうのか、ということである。小説でもテレビドラマでもよい。10年前、20年前、30年前のコンテンツを見てみるがいい。いかに現在の視点からは耐え難い差別表現が随所にみられることか。そしてそれらは現在、いかに解消されてきたことか。現在のバックラッシュが激しいとはいえ、昔からバックラッシュはあったのであって、今日がこれまで続いてきた反差別運動の最終地点だと主張する根拠はないだろう。 とはいえ、現在の反差別運動がとりあえずぶち当たっている問題につい

                    書評:綿野恵太『「差別はいけない」とみんないうけれど。』(平凡社、二〇一九年)|藤崎剛人
                  • 綿野恵太 on X: "ひろゆきさんの番組に出てみて印象に残ったのは、論破よりも断固として聞かない態度だったのよ。相手の言葉の文脈や背景を絶対に把握しようとしない感じ。"

                    • 綿野恵太『みんな政治でバカになる』はじめに|晶文社

                      大きな反響を呼んでいます、綿野恵太さんの『みんな政治でバカになる』。この本の「はじめに」の部分を、読者のみなさまに向けて公開いたします。「バカ」の文字にイラっと来た方も、来なかった方も、この「はじめに」をお読みいただいて、著者の意図を汲み取っていただけるとさいわいです。はじめに本書のタイトルは「みんな政治でバカになる」である。 「バカなんて許せない!」とイラッとした人も多いかもしれない。しかし、ちょっと待って欲しい。本は読まれなければ、意味がない。人間は「理性」よりもまず「感情」が反応することがわかっている。「バカ」という乱暴な物言いで、あなたの「道徳感情」に訴えかけて、本書を手に取ってもらったわけである。 ところで、「許せない!」という「道徳感情」は政治に大きな影響を与えることがわかっている。「思想」や「利益」以上に「道徳」に基づいて私たちは政治を判断するようなのだ。しかも、「道徳感情」

                        綿野恵太『みんな政治でバカになる』はじめに|晶文社
                      • 綿野恵太『「逆張り」の研究』よりまえがきを全文公開|単行本|綿野 恵太|webちくま

                        常識とは反対のありえない主張をする「逆張り」――元来は投資用語であった言葉が、昨今では悪口や罵倒、あるいは自虐的な言葉として用いられるようになりました。この言葉をめぐる「社会評論」であり「当事者研究」ともいうべき一冊、綿野恵太『「逆張り」の研究』が本日発売となりました。『「差別はいけない」とみんないうけれど。』(紀伊國屋じんぶん大賞2020第2位)『みんな政治でバカになる』が大きな話題を呼んだ批評家が満を持して贈る2年ぶりの新著です。 二〇二二年四月、朝日新聞の記者からメールが届いた。「「逆張り」について三人の識者に意見を聞いています。取材させてほしい」というものだった。「逆張り」について記者はこんなふうに説明していた。 もともと「逆張り」は相場の流れに逆らって売買する投資手法のことだ。たとえば、株式市場で株価が低いときに買って、高いときに売る。だが、最近はインターネットでよく見られる「良

                          綿野恵太『「逆張り」の研究』よりまえがきを全文公開|単行本|綿野 恵太|webちくま
                        • さいきん「批評家」を名乗らなくなったわけ|綿野恵太

                          マガジンを始めるにあたって、モチベーション的なものを書いた記事を書こうと思ったら、どんどん脱線してしまい、よくわからない文章になってしまいましたが、とりあえず置いておきます。すみません。本当は飼い猫の個人的な話だけを書こうと思ってたんですが、急に批評の悪口が止まらない怖い人みたいになってしまった……。 とりあえず、目標は月二回以上の更新。おもな内容は過去の論考やエッセイの掲載です。それでも良いという奇特な方は、よろしくお願いします。 (6/13追記、いぬのせなか座山本さんへ。Twtterでのご注釈ありがとうございます。雑な感じでご紹介してしまい、申し訳ないです。とはいえ、『言語表現を酷使する(ための)レイアウト』とても面白かったです。アンテナが鈍くてこれまでよくわかってなかったのですが(なんで吉本の「喩としての聖書」に着目してるんやろ、とか)、保坂和志の影響やワークショップといったこれまで

                            さいきん「批評家」を名乗らなくなったわけ|綿野恵太
                          • 綿野恵太が選ぶ「宮台真司の3冊」 「屋上」なき世代から見た宮台真司

                            社会学者・宮台真司がリアルサウンド映画部にて連載中の『宮台真司の月刊映画時評』などに掲載した映画評に大幅な加筆・再構成を行い、書籍化した映画批評集『崩壊を加速させよ 「社会」が沈んで「世界」が浮上する』が、リアルサウンド運営元のblueprintより刊行中だ。同書では、『寝ても覚めても』、『万引き家族』、『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』、Netflixオリジナルシリーズ『呪怨・呪いの家』など、2011年から2020年に公開・配信された作品を中心に取り上げながら、コロナ禍における「社会の自明性の崩壊」を見通す評論集となっている。 今回、リアルサウンドでは同書の刊行を記念し、識者・著名人が宮台の批評との出会いを語るシリーズを企画。自身に大きな影響を与えた3冊を挙げてもらった。第3回は、批評家・綿野恵太による「屋上」なき世代から見た宮台真司について。 綿野恵太が選ぶ「宮台

                              綿野恵太が選ぶ「宮台真司の3冊」 「屋上」なき世代から見た宮台真司
                            • インテリ気取りで「受け売りの知識」を披露…私たちはみんな「亜インテリ」なのかもしれない(綿野 恵太) @gendai_biz

                              人間は認知能力や記憶力に限界があるために、身体、他者、技術といった「外部環境」を「記憶装置」や「情報処理装置」として利用する。そのため、脳内の情報と外部環境の情報をシームレスに扱う。「知ってるつもり」という錯覚は「直観システムが、自らの熟慮能力(=推論システム)を過大評価しているため」に引き起こされ、なかなか避けることができない。 すべての知を網羅するなんてだれひとりとしてできない。人間の認知能力には限界があるので、多かれ少なかれコミュニティで知を共有する。しかし、「知識のコミュニティ」は「知ってるつもり」という錯覚を増長させる危険性がある。「ほんのちっぽけな知識のかけらを持っているだけ」なのに「専門家のような口をきく」と、話す相手もまた「あまり知識がない」ために「ますます自らの専門知識への自信を深め」てしまう。その結果、「コミュニティのメンバーはそれぞれあまり知識はないのに特定の立場をと

                                インテリ気取りで「受け売りの知識」を披露…私たちはみんな「亜インテリ」なのかもしれない(綿野 恵太) @gendai_biz
                              • 「天皇制を語れ、だがそのまったき無根拠性において」(『福音と世界』11月号)補遺|綿野恵太

                                お読みになった読者の方はおわかりになるかと思いますが、天皇制に対するさまざまな「小理屈」を引用しております(本当は「小理屈」の引用だけからできた天皇制紋切り型辞典なるものも考えていました)。出典その他を紙幅の都合上カットせざるをえませんでしたので、ここで天皇制「小理屈」集として公開します。 ちなみにこれは、2019年5月に行われた、小谷野敦さんとのトークイベント「改元直後に、天皇・天皇制・皇室について考える」で配布された参考資料でもあります。またこちらのトークイベントの再録とあわせてご覧ください。その点をご理解の上、お読みください。 赤坂真理 九条支持・天皇制支持 「戦争の傷をめぐる世界の旅をすること。傷ついた、傷つけた人々の前で祈ること、弱い人と共に在ること、弱った人、傷つけた人の手を取ること、助け合おうということ。混乱にあって、我を失わずにいようと励ますこと。天皇はそれを言葉で

                                  「天皇制を語れ、だがそのまったき無根拠性において」(『福音と世界』11月号)補遺|綿野恵太
                                • 「正しさ」を他者と共有することは可能か|ちくまプリマー新書|綿野 恵太|webちくま

                                  「正しさは人それぞれ」といって他人との関係を切り捨てるのでもなく、「真実はひとつ」といって自分と異なる考えを否定するのでもなく――相対主義と普遍主義の問題を考える『「みんな違ってみんないい」のか?』を、文筆家の綿野恵太さん(『「差別はいけない」とみんないうけれど。』『みんな政治でバカになる』)に読み解いていただきました。(PR誌「ちくま」8月号より転載) 本書によれば、「新自由主義」は「人それぞれ」の思想である。だとしたら、私が「新自由主義」に最初に触れた曲は、SMAPの『世界に一つだけの花』になる。「みんなちがって、みんないい」というフレーズで知られる、金子みすゞの詩「私と小鳥と鈴と」が小学校の教科書に掲載されたのは一九九六年。読んでいてもおかしくないが、残念ながら記憶にない。むしろ、鮮明に覚えているのは、二〇〇三年の紅白歌合戦で大トリを務めたSMAPが歌った「No.1にならなくてもいい

                                    「正しさ」を他者と共有することは可能か|ちくまプリマー新書|綿野 恵太|webちくま
                                  • インテリ気取りで「受け売りの知識」を披露…私たちはみんな「亜インテリ」なのかもしれない(綿野 恵太) @gendai_biz

                                    「敵と味方を峻別する発想が強い」といわれるポピュリズムは、「道徳感情」を利用して「亜インテリ」を「動員」している。Twitterは「日常生活において最も感情を刺激する行為」であり、「興奮状態」の指標である「脈拍上昇」「発汗」「瞳孔拡大」を促すことが判明している*14。私たちの「感情」を掻き立て、「推論システム」ではなく「直観システム」に働きかける。 また「怒り」の感情が最も拡散されやすい*15。「道徳感情」を煽る投稿は同じ「道徳部族」の内部で拡散されて、「あいつら」を隔離して「われわれ」の結束を高める役割を果たしている*16。私たちの「部族主義」を利用し、「道徳感情」を「動員」するポピュリズムにとって、Twitterは最適の「環境」なのである。 「バカのひとつ覚え」にも「覚える」必要があったが、もはや「勉強」すらしなくてもよい。「許せない!」という「道徳感情」さえあれば、あなたは「亜インテ

                                      インテリ気取りで「受け売りの知識」を披露…私たちはみんな「亜インテリ」なのかもしれない(綿野 恵太) @gendai_biz
                                    • 【9月16日(土)】綿野恵太×大野左紀子「Twitterから考える アンチ○○の未来 『「逆張り」の研究』刊行記念」 - wezzy|ウェジー

                                      2023.09.04 18:00 【9月16日(土)】綿野恵太×大野左紀子「Twitterから考える アンチ○○の未来 『「逆張り」の研究』刊行記念」 批評家・綿野恵太さんの新刊『「逆張り」の研究』の刊行を記念して、綿野さん、文筆家の大野左紀子さんによるオンライントークイベント「Twitterから考える アンチ○○の未来」を9月16日(土)13時より開催いたします。 かつて「逆張りくん」と言われた綿野さんが、主にネット上でみられるさまざまな「逆張り」について分析した『「逆張り」の研究』。今回のイベントは、震災以降に綿野さんが感じたという運動の「空気」、特にTwitterでのさまざまな「運動/アンチ」に注目していきます。 アンチ・リベラル、アンチ・フェミニズムなど、○○へのアンチという二項対立から抜け出す、別の道はあるのか。綿野さん、そして『「逆張り」の研究』を「絶妙なバランス感覚で書かれて

                                        【9月16日(土)】綿野恵太×大野左紀子「Twitterから考える アンチ○○の未来 『「逆張り」の研究』刊行記念」 - wezzy|ウェジー
                                      • 綿野恵太『みんな政治でバカになる』に対するコラム記事につきまして|晶文社

                                        2021年10月15日付、日経ビジネス掲載の小田嶋隆さんのコラムにて、小社刊・綿野恵太著『みんな政治でバカになる』が紹介されていますが、このコラムにあるように「政治について語ることが無意味でバカだ」といったことが、本書で書かれているわけではありません。端的に誤読であると考えます。 本書は、政治について考えたりかかわったりする際につきまとう困難をどう乗り越えるかを、進化心理学や認知科学の知見を援用しながら真摯に(無知に居直るのでもなく、シニカルでもなく)考察したものであり、その執筆の姿勢は「政治を語るやつらはバカ」と揶揄的に語るような態度とは真逆のものです。 本をどのように読むかは読み手の自由でありますが、書かれていない内容をあげたうえで批判している点で、当該コラムの内容は的をはずしたものであると考え、本書『みんな政治でバカになる』についての誤解・曲解が広まることのないように、異議申し立ての

                                          綿野恵太『みんな政治でバカになる』に対するコラム記事につきまして|晶文社
                                        • 『「逆張り」の研究』のまえがきを公開|綿野恵太

                                          早いところでは昨日から書店に並んでいましたが、本日、『「逆張り」の研究』が正式に発売になりました。kindleなどの電子書籍も同時発売されています。今日は発売を記念して、まえがきと目次を公開します。よろしくお願いします。 あと、先日、編集者と打ち合わせをして、ぼちぼち次の本を進めていこうという話になりました。内容はまだぼんやりしていますが、今回の本のスタイルをさらに展開していく形になると思います。『「逆張り」の研究』は何人かの人に草稿を読んでもらったのですが、個人的なエピソードの部分の反響が多かったので。やはりぼくも具体的な話のほうが書いていて楽しいですし。せっかくnoteをしていますし、次の本の草稿もちょっとずつ掲載していこう、と思っています。こちらもよろしくお願いします。 まえがき 逆張りくんによる「逆張り」の研究 二〇二二年四月、朝日新聞の記者からメールが届いた。「「逆張り」について

                                            『「逆張り」の研究』のまえがきを公開|綿野恵太
                                          • 「逆張り」の研究 綿野 恵太(著/文) - 筑摩書房

                                            発送可能時期は表示された日付/時刻の時点のものであり、変更される場合があります。 本商品の購入においては、購入の時点でAmazon.co.jpに表示されている価格および発送可能時期の情報が適用されます。 本サイト上で表示されるコンテンツの一部は、アマゾンジャパン合同会社またはその関連会社により提供されたものです。 これらのコンテンツは「現状有姿」で提供されており、随時変更または削除される場合があります。 版元ドットコムは、Amazonアソシエイトとして適格販売によりアフィリエイト収入を得ています。 プライバシーポリシーはこちら

                                              「逆張り」の研究 綿野 恵太(著/文) - 筑摩書房
                                            • 綿野恵太『みんな政治でバカになる』重版決定 on Twitter: "エッセイストの小田嶋隆さんに執拗に攻撃されてるんですけど、実は一度お会いしたことがあるんですが、こんなひとだっただけ?という困惑のほうが大きいんですよね……。"

                                              エッセイストの小田嶋隆さんに執拗に攻撃されてるんですけど、実は一度お会いしたことがあるんですが、こんなひとだっただけ?という困惑のほうが大きいんですよね……。

                                                綿野恵太『みんな政治でバカになる』重版決定 on Twitter: "エッセイストの小田嶋隆さんに執拗に攻撃されてるんですけど、実は一度お会いしたことがあるんですが、こんなひとだっただけ?という困惑のほうが大きいんですよね……。"
                                              • りらこ on Twitter: "『「差別はいけない」とみんないうけれど。』(綿野恵太)[https://t.co/zJzvGHqUIp] 第1章〜第6章までさっと読んだんだけど、近いうちに再読しなきゃいけないと思わせられた。 すべての人を納得させられる道徳と… https://t.co/v7EZiSJEq7"

                                                『「差別はいけない」とみんないうけれど。』(綿野恵太)[https://t.co/zJzvGHqUIp] 第1章〜第6章までさっと読んだんだけど、近いうちに再読しなきゃいけないと思わせられた。 すべての人を納得させられる道徳と… https://t.co/v7EZiSJEq7

                                                  りらこ on Twitter: "『「差別はいけない」とみんないうけれど。』(綿野恵太)[https://t.co/zJzvGHqUIp] 第1章〜第6章までさっと読んだんだけど、近いうちに再読しなきゃいけないと思わせられた。 すべての人を納得させられる道徳と… https://t.co/v7EZiSJEq7"
                                                • インテリ気取りで「受け売りの知識」を披露…私たちはみんな「亜インテリ」なのかもしれない(綿野 恵太) @gendai_biz

                                                  「いや、 そんなことはない、私は政治に詳しい」というひともいるだろう。たしかに政治的知識を獲得することに熱心な人々も存在する。しかし、それは自らが所属する集団や党派(われわれ)を応援し、対立する集団や党派(あいつら)を嘲笑うためという場合も多い。 阪神タイガースや浦和レッズを応援するスポーツファンのように、「政治ファン」というべき存在である*4。自らの仲間をひいきする「部族主義」を満たすために政治的知識を勉強しているので、獲得された知識は偏ったものとなる(合理的非合理性)。「敵と味方を峻別する発想が強い」*5といわれるポピュリズムにおいて「政治ファン」が増えたほうが、ポピュリストが影響力を高めることになる。フェイクニュースや陰謀論といった「勉強」の成果を披露し、拡散してくれるからである。 このような「政治ファン」を「亜インテリ」と呼んでみたい。丸山眞男によれば、「亜インテリ」とは「いっぱし

                                                    インテリ気取りで「受け売りの知識」を披露…私たちはみんな「亜インテリ」なのかもしれない(綿野 恵太) @gendai_biz
                                                  • インテリ気取りで「受け売りの知識」を披露…私たちはみんな「亜インテリ」なのかもしれない(綿野 恵太) @gendai_biz

                                                    「ネット右翼」と「亜インテリ」 過去十数年で最も量産された「亜インテリ」は「ネット右翼」である。久しぶりに実家に帰省したら、父親がネトウヨになっていた——インターネットでよくみられるエピソードだ。 たしかにネット右翼の言説には「亜インテリ」を量産しやすい特徴がある。ネット右翼が誕生した背景には1990年代のディベートブームがある*7。相手を打ち負かすべき「敵」とみなして論破するディベートは「部族主義」と相性が良い。しかも、論破すべき「敵」は、「反日」や「サヨク」といった彼らの「ナショナリズム」にとっての「敵」なのである。 「亜インテリ」を量産しやすいもうひとつの特徴が「論破のマニュアル化」である。「従軍慰安婦」や「南京大虐殺」といった歴史問題がよく話題になるが、ネット右翼はあまり歴史に興味がない。むしろ「敵への憎悪がまず存在し、バッシングを正当化する材料として歴史があとから利用された」とい

                                                      インテリ気取りで「受け売りの知識」を披露…私たちはみんな「亜インテリ」なのかもしれない(綿野 恵太) @gendai_biz
                                                    • 梁英聖 on Twitter: "綿野恵太『「差別はいけない」とみんないうけれど。』が去年末じんぶん大賞の2位を取ったらしい。 違和感ある。 私にとって日本とは、「差別はいけない」と誰も言わない社会、だ。 京都朝鮮学校襲撃事件や相模原障害者殺傷事件で、何人の議… https://t.co/E9Rg6bxW27"

                                                      綿野恵太『「差別はいけない」とみんないうけれど。』が去年末じんぶん大賞の2位を取ったらしい。 違和感ある。 私にとって日本とは、「差別はいけない」と誰も言わない社会、だ。 京都朝鮮学校襲撃事件や相模原障害者殺傷事件で、何人の議… https://t.co/E9Rg6bxW27

                                                        梁英聖 on Twitter: "綿野恵太『「差別はいけない」とみんないうけれど。』が去年末じんぶん大賞の2位を取ったらしい。 違和感ある。 私にとって日本とは、「差別はいけない」と誰も言わない社会、だ。 京都朝鮮学校襲撃事件や相模原障害者殺傷事件で、何人の議… https://t.co/E9Rg6bxW27"
                                                      • 『インテリ気取りで「受け売りの知識」を披露…私たちはみんな「亜インテリ」なのかもしれない(綿野 恵太) @gendai_biz』へのコメント

                                                        政治と経済 インテリ気取りで「受け売りの知識」を披露…私たちはみんな「亜インテリ」なのかもしれない(綿野 恵太) @gendai_biz

                                                          『インテリ気取りで「受け売りの知識」を披露…私たちはみんな「亜インテリ」なのかもしれない(綿野 恵太) @gendai_biz』へのコメント
                                                        • 綿野恵太 on Twitter: "編集者時代によく言われたのが、超絶詳しく書かれた本は一般受けしなくて、「世間ではAって言われているけど、実はBなんですよ」という既存の見方を転覆させ、かつ、普段の会話で話せるぐらい要約・単純化した本が売れやすい、と。ただそのフォーマットだと陰謀論とかトンデモが量産されるのよ。"

                                                          編集者時代によく言われたのが、超絶詳しく書かれた本は一般受けしなくて、「世間ではAって言われているけど、実はBなんですよ」という既存の見方を転覆させ、かつ、普段の会話で話せるぐらい要約・単純化した本が売れやすい、と。ただそのフォーマットだと陰謀論とかトンデモが量産されるのよ。

                                                            綿野恵太 on Twitter: "編集者時代によく言われたのが、超絶詳しく書かれた本は一般受けしなくて、「世間ではAって言われているけど、実はBなんですよ」という既存の見方を転覆させ、かつ、普段の会話で話せるぐらい要約・単純化した本が売れやすい、と。ただそのフォーマットだと陰謀論とかトンデモが量産されるのよ。"
                                                          • 下級国民の家族小説/綿野恵太|「新潮」編集部

                                                            子供は親を選べない。そのことを景品くじの「ガチャ」に喩えた「親ガチャ」というスラングが流行したとき、小林秀雄「様々なる意匠」の有名な一節を思い出した。「人は様々な可能性を抱いてこの世に生れて来る。彼は科学者にもなれたろう、軍人にもなれたろう、小説家にもなれたろう、然し彼は彼以外のものにはなれなかった。これは驚く可き事実である」。この事実を小林は「宿命」と呼んだ。のちに柄谷行人は誰にも当てはまる私一般ではなく、ほかならぬ「この私」=「単独性」をこの一節に見出した(『終焉をめぐって』)。 しかし、いまはどうやら違う。小林の言葉に擬えていえば、人は様々な可能性を抱いてこの世に生れて来ない。科学者になるか、軍人になるか、小説家になるか、はすでに決められている。「この私」を形作る家庭環境と遺伝子というふたつの偶然=「ガチャ」によって。しかも、このような「宿命」は誰しもが感じている。それどころか、占い

                                                              下級国民の家族小説/綿野恵太|「新潮」編集部
                                                            • この自分でやってくしかない 『「逆張り」の研究』綿野恵太(筑摩書房) - こけし日記

                                                              綿野恵太さんの『「逆張り」の研究』を読みました。 献本でいただきましたが、読んだところ大変おもしろかったので、感想を書きました。 「逆張り」認定されたことがきっかけ 時代と合ってない性質 真剣に向き合っているから俯瞰できる 表面的に社会正義を唱えても社会は変わらない これまでの綿野さんの著書は『差別はいけないと言うけれど』『みんな政治でバカになる』など評論スタイルが多かったのですが、この本ではどちらかというと綿野さんの個人的な話が中心に進みます。 綿野さんは現在はTwitterをやめられたそうですが、以前やられていた際は、飄々としたユーモアを感じさせるツイートが好きでよく拝見していました。 きっとエッセイは面白いに違いないと思い、以前自分が作っている『B面の歌を聞け』という個人誌でお酒についてのお原稿を依頼させてもらったこともあります。 今回は綿野さんの個人的な文章が読め、ファンとしては非

                                                                この自分でやってくしかない 『「逆張り」の研究』綿野恵太(筑摩書房) - こけし日記
                                                              • 陰る「自己責任論」、希望と危惧―― 文筆家・綿野恵太さん:朝日新聞デジタル

                                                                ","naka5":"<!-- BFF501 PC記事下(中⑤企画)パーツ=1541 -->","naka6":"<!-- BFF486 PC記事下(中⑥デジ編)パーツ=8826 --><!-- /news/esi/ichikiji/c6/default.htm -->","naka6Sp":"<!-- BFF3053 SP記事下(中⑥デジ編)パーツ=8826 -->","adcreative72":"<!-- BFF920 広告枠)ADCREATIVE-72 こんな特集も -->\n<!-- Ad BGN -->\n<!-- dfptag PC誘導枠5行 ★ここから -->\n<div class=\"p_infeed_list_wrapper\" id=\"p_infeed_list1\">\n <div class=\"p_infeed_list\">\n <div class=\"

                                                                  陰る「自己責任論」、希望と危惧―― 文筆家・綿野恵太さん:朝日新聞デジタル
                                                                • 綿野恵太 - Enpedia

                                                                  略歴[編集] 大阪府生まれ[3]。2011年時点で大阪大学文学部在籍、近畿大学東京コミュニティ・カレッジ受講生[5]。2013年時点で一橋大学大学院言語社会研究科修士課程在学(専攻は社会思想)[6]。2013年より詩と批評『子午線 原理・形態・批評』同人。元太田出版社員[7]。 論考に「新自由主義者の労働論」(『Atプラス』17)、「谷川雁の原子力(上・中・下)」(『現代詩手帖』2014年8-10月)、「原子力の神──吉本隆明の宮沢賢治」(『季刊メタポゾン』11)など[3]。2018年『週刊読書人』で論壇時評「論潮」を担当[2]。2019年2月より晶文社スクラップブックで「オルタナレフト論」を連載中[8]。 著書[編集] 『「差別はいけない」とみんないうけれど。』 平凡社、2019年7月 『みんな政治でバカになる』 晶文社、2021年9月 寄稿[編集] 「国立国会図書館サーチ」、「CiNi

                                                                  • 綿野恵太『みんな政治でバカになる』――バカな人からドヂな人になる|武久真士

                                                                    本記事は、2021年9月に晶文社から出版された綿野恵太『みんな政治でバカになる』についての書評記事です。主に本書の概要と、最終章で示される「ドヂ」という概念について解説・考察しています。 ○「バカの二乗」「みんな」が「バカになる」とはなかなか刺激的なタイトルですが、これは決して「釣り」タイトルではありません。本書の内容は、まさにこのタイトルのまんまだからです。 本書によれば、私たち人間は政治的な判断に関して、本能的にバカである上に無知であるという、「バカの二乗」なのです。 私たちは人間本性上バカな言動をとってしまう。くわえて、ほとんどの人が政治について無知=バカである。いわば、「人間本性」によるバカ(認知バイアス)と「環境」によるバカ(政治的無知)とがかけ合わさった「バカの二乗」である。これがフェイクニュースや陰謀論が後を絶たない理由である。(「はじめに」、12ページ)まずひとつ目の「人間

                                                                      綿野恵太『みんな政治でバカになる』――バカな人からドヂな人になる|武久真士
                                                                    • 『「逆張り」の研究』刊行のお知らせ - 綿野恵太@edoyaneko800

                                                                      「逆張り」の研究 (単行本 --) 作者:綿野 恵太 筑摩書房 Amazon 6月28日に新刊『「逆張り」の研究』を筑摩書房から刊行します。版元のページはまだですが、Amazonでは書影が公開されていました。 タイトルの通り、「逆張り」というネットスラングを考えた本です。 本書の執筆のきっかけは、昨年4月に朝日新聞の記者から「逆張りをする立場を取材させてほしい」という依頼がきたことでした。「え、ぼくって逆張りなの?」とはじめは驚いたのですが、むかし勤めていた太田出版の元社長に「きみは逆張りくんだねえ」と言われたことを思い出して、そこから興味が湧いて「逆張り」についていろいろ考えました。 「逆張り」はもともと相場の流れにさからって売買する投資手法のことでした。しかし、いまでは人気作品に乗れない「逆張りオタク」、リベラルに否定的な「逆張り冷笑おじさん」という使われ方をインターネットでよく見かけ

                                                                        『「逆張り」の研究』刊行のお知らせ - 綿野恵太@edoyaneko800
                                                                      • 綿野恵太VSスティーヴン・ピンカー - jun-jun1965の日記

                                                                        『群像』七月号に綿野恵太の「ピンカーさん、ところで、幸せってなんですか?」が載って、ピンカーよりフーコーのほうが好き、などと綿野君が言っていたのだが、『群像』は一か月たたないと図書館で借りられないので今日やっと借りられた。 『21世紀の啓蒙』の話だが、私の書評から、「死の恐怖と実存的退屈、孤独の問題」をピンカーは処理しきれていないという個所を引用しており、別段全体としてピンカーを否定しているわけではない。いろいろ社会が良くなっても不満を感じる人がいるというところからピンカー著とは直接関係ないところへ話は進んでいた。もっともこれも、綿野君が著書で言っていた通り、バブル経済の時には少なかった傾向であり、経済が悪くなると出てくるものだと言えるだろう。 ところで「やましさ」という言葉が何度か出てきたが、これは貧しいといってもピンカーの著書が買えるくらいの人が、最底辺の貧しい人に対して感じる類のもの

                                                                          綿野恵太VSスティーヴン・ピンカー - jun-jun1965の日記
                                                                        • 「逆張り」は脱構築の夢を見るか--綿野恵太『「逆張り」の研究』 - かぐらかのん

                                                                          *「逆張り」の諸相 もともと「逆張り」とは株式相場の流れに逆らって売買する投資手法を指す言葉でした。例えば「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェットは逆張り(コントラリアン)で知られています。彼は2009年のリーマンショックでは経営危機に陥った資産運用会社ゴールドマン・サックスに巨額の投資をして莫大な利益をあげました。 かつて「逆張り」はどちらかといえば肯定的な意味で用いられる言葉でした。しかし現在のインターネット上において「逆張り」という言葉はもっぱら気に入らない相手や言説を罵倒するためのレッテルとして使われたり、あるいは自分をネタにするときの自虐的なパフォーマンスとして使われたりと、いずれにせよ負のイメージを持った言葉として流通しています。 本書『「逆張り」の研究』の著者である綿野恵太氏はかつて10年前に太田出版の編集者として働き始めた頃に同社の元社長である高瀬幸途氏から「逆張りく

                                                                            「逆張り」は脱構築の夢を見るか--綿野恵太『「逆張り」の研究』 - かぐらかのん
                                                                          • Book Review 「ヘイト」が突きつけるリベラル・デモクラシーの矛盾と困難[「差別はいけない」とみんないうけれど。 綿野恵太・著,左派ポピュリズムのために シャンタル・ムフ・著 山本圭・塩田潤・訳] | 神戸大学学術成果リポジトリ Kernel

                                                                            Book Review 「ヘイト」が突きつけるリベラル・デモクラシーの矛盾と困難[「差別はいけない」とみんないうけれど。 綿野恵太・著,左派ポピュリズムのために シャンタル・ムフ・著 山本圭・塩田潤・訳]

                                                                            • 大澤昇平さんに『「差別はいけない」とみんないうけれど。』を読んでほしい(綿野 恵太) @gendai_biz

                                                                              大澤昇平さんに『「差別はいけない」とみんないうけれど。』を読んでほしい 差別的な言説はしばしば合理的である ちなみに大澤は中国の独裁への「義憤」が「行き過ぎた言動」の理由だと釈明したが、マジョリティによるアイデンティティ・ポリティクスが、「自由」や「人権」といったシティズンシップの論理を隠れ蓑にすることはご存知だろうか。 たとえば、イスラム系の移民を排斥するひとびとは、イスラムが「同性愛者や女性を差別する」ことを表向きの理由とする。もちろん、差別や抑圧への批判はなされるべきである。しかし、そのことが、ある人間を不当に排除してよい理由にはならないのだ。 とはいえ、この記事で大澤昇平をあらためて論難したいわけではない。この炎上騒動を奇貨としてAIと差別という問題について考えてみたいのだ。ポイントになるのは「差別的な言説はしばしば合理的である」ということだ。 AI活用とマイノリティ差別 ソフトバ

                                                                                大澤昇平さんに『「差別はいけない」とみんないうけれど。』を読んでほしい(綿野 恵太) @gendai_biz
                                                                              • 入門書の愉しみ/綿野恵太

                                                                                本川達雄『ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学』 小島亮『ハンガリー事件と日本 一九五六年・思想史的考察』 竹内洋『教養主義の没落 変わりゆくエリート学生文化』 編集者として働きはじめたころ、ミリオンセラーを出したことがあるベテラン編集者に呼び出された。「どっちの本がおもしろいと思う?」とそのとき差し出されたのが、『ゾウの時間 ネズミの時間』と『生物多様性』だった。どちらも同じ著者で、同じ中公新書。内容はもちろんちがうけど、ふらっと本屋に来た人が手に取りやすいのは『ゾウの時間 ネズミの時間』だろう。専門家や愛好家と一般読者がおもしろそうと感じるタイトルは、それぞれまったく別であることをその編集者は教えてくれた。 『ゾウの時間 ネズミの時間』は「歌う生物学者」がサイズという切り口から生物のさまざまな側面を紹介したものだが、ぼくもこんなふうに内容を的確に紹介しつつ、それでいてキャッチーなタ

                                                                                  入門書の愉しみ/綿野恵太
                                                                                • インテリ気取りで「受け売りの知識」を披露…私たちはみんな「亜インテリ」なのかもしれない(綿野 恵太) @gendai_biz

                                                                                  とはいえ、興味深いのは、ネット右翼が生まれた背景には「亜インテリ」への批判があったことだ。思想家の浅羽通明や民俗学者の大月隆寛らは戦後民主主義を肯定する言説がワンパターン化(マニュアル化)したことに苛立っていた。たとえば、浅羽は湾岸戦争に反対する新聞投書を「インテリ気取りたちの愚論」と批判している*10。戦後民主主義について「バカのひとつ覚え」のように繰り返す「知識人」や「亜インテリ」を批判する彼らが依拠したのは「大衆」であり、『ゴーマニズム宣言』を連載していた漫画家の小林よしのりである。 社会学者の伊藤昌亮が指摘するように、浅羽通明、大月隆寛、小林よしのりらは「庶民的・常民的な生のリアリティという観点」から「市民という概念そのものに疑義を突き付けてい」ったが、「大衆」からの戦後民主主義批判は「右旋回」していくことになる*11。『新ゴーマニズム宣言スペシャル 戦争論』(幻冬舎、1998年)

                                                                                    インテリ気取りで「受け売りの知識」を披露…私たちはみんな「亜インテリ」なのかもしれない(綿野 恵太) @gendai_biz