ゲームの実写化が失敗することが多いのはなぜなのだろう。それは「ゲーム」と「映画/ドラマなどの実写エンタメ」が、中途半端に似ているからだと思う。確かにどちらも映像をベースとする娯楽なので共通点も多いのだが、実はそれこそが罠なのだ。両者の類似点こそが、「自分で操作するゲーム」と「見てるだけの映画/ドラマ」は、本質的には全く異なる表現媒体だという事実が見えづらくなってしまう。 両者の差異を作り手が十分に理解せず、ゲームの見栄えするシーンを繋げて「実写化」したところで、ゲームのインタラクティブな楽しさにも、映像エンタメの研ぎ澄まされた面白さにも欠けた、中途半端なものになってしまう。結果的に「ゲームの実写化」に、ゲーム好きも映画/ドラマ好きも「なんか違うんだよな」となりがちなのは、そうしたことが理由ではないかと思っている。 しかし2023年、満を持して世に出たHBOドラマ『THE LAST OF U