R-2023-065 「年収の壁」という言葉がある。正確な定義は存在しないが、一般的には、世帯主の扶養範囲内でパートなどで働く人(例:配偶者)が、一定の年収額を超過すると扶養から外れてしまい、税金や社会保険料の負担が増すことで、手取り収入が減少(逆転)する「年収のボーダーライン」を指すと思われる(注1)。 図表:「年収の壁」のイメージ(例:社会保険料負担発生のケース) (出所)厚生労働省(2023)「年収の壁・支援強化パッケージについて」 この問題を考慮し、就労調整を行うのはパートで働く主婦などが多い。経済情勢の変化に伴い、パートやフルタイムで働く女性も増えるなか、現在は専業主婦世帯でなく、共働き世帯が多数を占めている。総務省「労働力調査特別調査」・「労働力調査(詳細集計)」によると、1980年に1114万世帯だった専業主婦世帯は、2022年で539万世帯に半減する一方、1980年で614