「宮さんも、監督になんてなりたくなかった。一生アニメーターで終わっていいと思ってたんだ。でも、高畑さんの下でずっとアニメーターをやっているうちに、いつのまにか監督になっちゃった。宮さんもおれも、自分からいまの仕事につこうと思ったわけじゃない」 仕事のスランプに悩む、若いプロデューサーを救ったジブリの鈴木敏夫さんの教えとは? 鈴木さんの下で、仕事のいろはから人生の生き方までを学んだアニメーション映画プロデューサーの石井朋彦さんの新刊『新装版 自分を捨てる仕事術』(WAVE出版)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む) 自分にこだわると、スランプにはまる ジブリに入社し、鈴木さんの下についてから7年目、大きなチャンスが訪れました。27歳だったぼくに、アニメーション界の鬼才である押井守監督の、新作のプロデューサーにならないかという打診があったのです。自分の腕を試したいと思ってい