発送前の学生服が入った箱を確認するムサシノ商店の田中秀篤社長=東京都八王子市で2023年3月7日午後1時47分、島袋太輔撮影 昨春、東京都内の中学校や高校で入学式までに制服が届かないトラブルが相次いだ。今年も新学期が近づく中、同様の事態が起こりかねない状況になっているという。関係者に話を聞くと、制服の多様化への対応という業界の課題が見えてくる。【島袋太輔】 「5日間泊まり込んで、ほぼ徹夜で配送作業をしていた」。衣料品販売「ムサシノ商店」(東京都武蔵野市)の田中秀篤社長(50)は制服の納品遅れが生じた1年前をそう振り返った。 学生服メーカーからの制服の到着は例年にないほど遅れ、入学式2日前にも約200着のスラックスが同社に届いた。人員を増やして仕立てや配送の作業に取りかかったが、制服の入ったままの段ボール箱が同社の廊下に次々と積み上げられた。結局、注文を受けた約3万人分の中高生の制服のうち約