試合に出場できているというだけで、悔しさに踏ん切りをつけ、気持ちを立て直したと考えるのは早計だ。個人戦での衝撃的な敗戦がわずか6日前の出来事。ウズベキスタンのディヨラ・ケルディヨロワに谷落で一本を奪われ、連覇への挑戦はついえた。会場中に響き渡る大きな声で泣き崩れたその場所で何も思い出さないわけがない。 「どうしても負けた記憶がよみがえってきたけど、団体戦なのでみんなから頑張れと送り出されて心強かった」 円陣を組んで送り出された試合。まず開始24秒で指導をもらい、1分を過ぎてから谷落で技ありも奪われた。 「ポイントを取られてもあまり焦らず、自分の柔道を立て直せる自信はあった」 大腰でトロソレルを投げると主審の手が上がった。一本勝ちかと思いきや、映像確認で技ありに変更。しかし気落ちすることなく、勢いを増して攻めていく。最後は残り1秒、袖釣り込み腰で再び技ありを奪い、合わせ技一本で勝負を決めた。