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  • “遺伝子操作”と“人工子宮”で「マンモスの復活」を目指す企業のワイルドな野望 | すでに初期資金15万ドルを調達済の新会社「コロッサル」

    何千年も前に絶滅したマンモスを遺伝子操作で復活させる──耳を疑うような、そんな壮大な野望に挑む科学者や投資家たちがアメリカにいる。どうやって実現するのか、問題はないのか、その桁違いな取り組みに米紙が追った。 シベリアの永久凍土地帯にマンモスを蘇らせる 9月13日、遺伝子操作によるケナガマンモスの再生を目指す新会社「コロッサル」の設立が発表された。 同社が目指すのは、数千年前に絶滅したマンモスを復活させ、永久凍土の広がるシベリアのツンドラ地帯に何千頭ものマンモスを蘇らせることだ。 ハーバード・メディカル・スクールの生物学者であるジョージ・チャーチ教授は、「これは我々にとって大きな節目です」と言う。彼は8年前から、マンモスを蘇らせるためのツールを開発する小さな研究チームを密かに率いてきた。

      “遺伝子操作”と“人工子宮”で「マンモスの復活」を目指す企業のワイルドな野望 | すでに初期資金15万ドルを調達済の新会社「コロッサル」
    • メッシとバルサの20年に及ぶ「蜜月関係」はこうして破綻をむかえた | 本人は選手の補強に口出ししなかったが…

      FCバルセロナはこの10年にわたって、世界のサッカーファンを最も魅了したクラブだった。そしてその中心にはメッシが君臨していた。 だが、13歳でバルサに入り、17歳からトップチームで活躍してきたメッシが、ついにこの愛着のあるクラブとの別れを決断しようとしている。破綻に至った原因は何だったのか。 サッカー史上最高といっても過言ではないかもしれないその選手は、キャリアのほとんどをバルセロナ郊外の何の変哲もない町カステイダフェルスで暮らしてきた。いまFCバルセロナに関する本を執筆中の私は以前、地元住民に案内されて車でリオネル・メッシ(33)の家の前を通ったことがある。 そのとき気づいたことが一つある。それは15年にわたって毎試合のように繰り広げられてきた、あの燦然と輝くサッカーが退屈な生活によって支えられてきたということだ。 メッシの家は地元のビーチから丘を一つ越えたところにある。隣の家も買ったの

        メッシとバルサの20年に及ぶ「蜜月関係」はこうして破綻をむかえた | 本人は選手の補強に口出ししなかったが…
      • チップ・コンリー「中年の危機を乗り越えるには“さなぎ”の心構えが必要だ」 | 『モダンエルダー』の著者が語るミッドライフの楽しみ方

        中年期は大きな転換が必要だ。人生の後半に栄光と輝きを夢見る人はほとんどいないが、ベストセラー作家でホスピタリティー起業家のチップ・コンリー(63)の考え方は違う。 著書『ミッドライフを楽しむには:年を重ねるごとに人生が良くなる12の理由』(未邦訳)のなかで、コンリーはこう問いかけている。 「中年期の自然な移行を、危機としてではなく、“さなぎ”の時期と考えてはどうか。脱皮して、羽を広げ、知恵を世界に授粉しながら、私たちのなかにある深遠なものが目覚める時期だ」 米国の人口が急速に高齢化するなか、中年期を前向きな変化が起きる有望な時期として捉え直すことが新たな課題となっている。それを実現する方法についてコンリーに聞いた。 ──中年期の変化のロールモデルは誰でしたか? 父親です。彼は会社員として無難な道を歩んでいたのですが、40代後半で起業を決意しました。スタンフォード大学に子供2人を通わせ、もう

          チップ・コンリー「中年の危機を乗り越えるには“さなぎ”の心構えが必要だ」 | 『モダンエルダー』の著者が語るミッドライフの楽しみ方
        • TSMC誘致で明暗を分けた日米、英誌が分析する「日本が成功した3つの理由」 | 労組、現地パートナー企業、補助金

          台湾積体電路製造(TSMC)の熊本工場は順調に開所式を迎えたのに対し、米アリゾナでの工場建設プロジェクトは暗礁に乗り上げている。日米両政府はともにTSMC誘致に熱心だったが、なぜ日本は成功し、米国はつまずいたのか。英誌「エコノミスト」が3つの理由を挙げて分析する。 対照的な熊本とアリゾナ 日本の産業政策の成果が九州で花開いた。2月24日、半導体受託製造の世界最大手・台湾積体電路製造(TSMC)が、日本で初となる生産工場を熊本県菊陽町で開所した。同社はすでに、第2工場を近隣に建設する計画も発表している。 これと対照的なのが、TSMCのもうひとつの大規模な海外展開事業で、その舞台は米国だ。2023年夏、同社はアリゾナ州に建設中の2つの工場のうち、第1工場の生産開始を2024年から2025年に延期した。 今年1月には、第2工場の稼働が当初予定の2026年には間に合わず、2027年か2028年にず

            TSMC誘致で明暗を分けた日米、英誌が分析する「日本が成功した3つの理由」 | 労組、現地パートナー企業、補助金
          • 「ジャック・マーの時代は終わった」 アリババとテンセントが苦境に陥った原因は”中国国営企業”にあり | テック企業の締め付けと激化する競争が成長を妨げる

            失速するアリババのクラウド事業 ちょうど1年前、アリババは反トラスト法違反の捜査に直面し、創業者のジャック・マーは政治的な圧力を受けた。それに対して同社財務責任者のマギー・ウーはすぐに行動を取り、急速に成長する同社のクラウド事業について投資家へ訴えていた。 しかし、アリ・クラウドの前年比50%の成長が持続可能であるというウーの予想は楽観的すぎた。 2021年2月のゴールドマンサックスのカンファレンスにおいて、彼女は「中国は10年後に最大の経済大国になり、企業や数百万のビジネスがクラウドに移行するだろう」と述べていた。

              「ジャック・マーの時代は終わった」 アリババとテンセントが苦境に陥った原因は”中国国営企業”にあり | テック企業の締め付けと激化する競争が成長を妨げる
            • ノーベル賞から無視され続けた「原爆の母」 その隠された真実が明らかに | 物理学をこよなく愛した女性の葛藤

              リーゼ・マイトナーは核分裂の理論形成に貢献したにもかかわらず、ノーベル賞を受賞したのは、彼女と一緒に研究を進めてきたオットー・ハーンだけだった。だがマイトナーの存在が無視されたのは、女性研究者だったからという理由だけではないという。 人類史上初の原子爆弾が製造されるまでを描いた大ヒット映画『オッペンハイマー』には、印象的なシーンがある。 カリフォルニア大学バークレー校の物理学者ルイス・アルヴァレズが理髪店で散髪中、新聞を広げる場面だ。彼は突然、弾かれるように椅子から飛び上がって外に出ると、同僚の理論物理学者J・ロバート・オッペンハイマーを見つけようと街路を全力疾走する。そして、彼は声を張り上げる。 「おいオッピー、オッピー! 連中はやったぞ。ドイツのハーンとシュトラスマンだ。ウラン原子核の核分裂を確認したぞ!」 ここで言及されているのは、オットー・ハーンとフリッツ・シュトラスマンだ。2人は

                ノーベル賞から無視され続けた「原爆の母」 その隠された真実が明らかに | 物理学をこよなく愛した女性の葛藤
              • 宝くじに当たったら子供を生みますか? 研究からわかった「出生率の向上に必要な3つのこと」 | ワークライフバランスが改善したら、子供は本当に増えるのか?

                出生率を向上させるためには、仕事と家庭生活を調和させる必要があると叫ばれて久しい。しかし、スウェーデンでおこなわれた宝くじ当選者をめぐる研究から、この「ワークライフバランス説」は必ずしも正しいとは限らないことが判明した。カナダのマギル大学で人口問題を研究している社会学者が解説する。 ワークライフバランスと出生率の関係 韓国の2022年の合計特殊出生率は、女性1人当たりわずか0.78人だった。米国の多くの地域でも、出生率はそれほど高くない。(米国自治連邦区の)プエルトリコでは0.92、バーモント州では1.36、ベイエリアでは約1.3だ。 人口統計学者たちは出生率の低下についてさまざまな説明をしているが、最も一般的なもののひとつは、仕事と家庭をめぐるものだ。 北欧の社会福祉国家のように、女性が仕事と家庭を両立できる柔軟な環境を与えられている国では、出生率は比較的高い。一方、仕事と家庭のどちらか

                  宝くじに当たったら子供を生みますか? 研究からわかった「出生率の向上に必要な3つのこと」 | ワークライフバランスが改善したら、子供は本当に増えるのか?
                • イーロン・マスクの衛星通信システム「スターリンク」はいかにしてウクライナを救い、軍事の世界を変えたのか | 火星移住のサイドビジネスが軍事上不可欠な存在に

                  火星移住のサイドビジネスとして始まった この世の驚異の一つというべきなのか、それとも正確を期してこの世の外にある驚異といったほうがいいのだろうか。スターリンクと呼ばれる衛星コンステレーションのことである。現在、通信衛星3335基で構成されており、大雑把に言ってしまえば、現役の全衛星の約半数がこのスターリンクの衛星ということになる。 この半年だけでも平均すると1週間に20基というペースで新しい衛星がこのコンステレーションに加えられてきた。これを構築した企業は、かのスペースXだ。スターリンクは、通信インフラが整備されていない地域でも使える高速インターネット接続サービスとして現在、45ヵ国で提供されている。利用者数は百万人ほどだ。 現在、このシステムのトラフィックの大半はウクライナからのものだ。ウクライナではロシアの侵攻以後、スターリンクが軍事でも民間でも必要不可欠な基幹のサービスになっているの

                    イーロン・マスクの衛星通信システム「スターリンク」はいかにしてウクライナを救い、軍事の世界を変えたのか | 火星移住のサイドビジネスが軍事上不可欠な存在に
                  • 最新の心理学研究でわかった「男女が平等に家事や育児をできない理由」 | 男性が家事をするようになるために必要なこと

                    「二人とも働いているのに、夫は家事もあまりしないし、子育ても任せきり……」。そんな不満を聞いたことがあるのではないだろうか。なぜ男女で家庭内の仕事を平等に分担できないのか、その理由について英国とオーストリアの心理学者が新たな調査結果を発表した。 男女で異なる物の見え方 ジャックとジルというあるカップルについて想像してみよう。二人とも働いていて、「家事は平等に負担する」と約束している。しかし、家庭内の物の見え方が、二人では違っていたとしたらどうだろうか。 キッチンが散らかっていたとする。ジルはそれを見て、食器を洗わなくては、いっぱいになったゴミ箱の中身を捨てなくてはと考える。ジャックも流しに皿があり、ゴミ箱がいっぱいになっていると認識する。だが、彼はそれに対応しなければいけないとは考えない。 最近の研究の結果、散らかった家を見たときの行動は、社会的に刷り込まれていることがわかった。それが男女

                      最新の心理学研究でわかった「男女が平等に家事や育児をできない理由」 | 男性が家事をするようになるために必要なこと
                    • 義足のアーティスト片山真理が語った「自分の障害には興味がない」理由 | “感動の物語”を求めるスペイン紙の記者はたじたじ…

                      義足のアーティストとして知られる片山真理がスペインでの作品展示をきっかけに、現地紙の取材に応じている。 記者は、片山に障害があるという点に着目し、いわゆる“感動の物語”をまとめようとしていたようだが、こうした「思い込み」を持って取材に向かうことの危険性を痛感したと正直に記している。片山はいったいどんなコメントをしたのだろう? 現代の巨匠を彷彿とさせる作品 アーティスト、歌手、そして注目の新星でもある片山真理の子供時代については特筆すべきことが二つある。一つは、家庭のなかに裁縫が根付いていたこと。「母も祖母も曾祖母も裁縫をしていました。私はその技術を受け継ぎました。鉛筆を持つよりも先に、針と糸を使っていました」と、片山は説明する。 スペイン・マドリードで展示されている片山の写真は、ふんだんに装飾が施され、パンクのテイストを帯びたブラックジョークが効いている。自身を題材にしたこれらの作品群は米

                        義足のアーティスト片山真理が語った「自分の障害には興味がない」理由 | “感動の物語”を求めるスペイン紙の記者はたじたじ…
                      • 独裁者に仕えた料理人たちの「告白」─フセイン、アミン、ポル・ポトの知られざる姿 | 暴君の胃袋を満足させるには?

                        サダム・フセイン、イディ・アミン、フィデル・カストロ、ポル・ポト……世界の独裁者のお抱えシェフだった人たちを訪ね、話を聞いてみた。 フセインの涙、ポル・ポトとの秘密の恋、アミンが人肉を食べていたという噂など、元料理人たちが語る“暴君の素顔”とは──。 料理の前では怪物も“ただの人間” 「英雄も、召使いから見ればただの人間」ということわざがある。同じように、どんな冷酷非道な独裁者も、お抱えシェフから見ればまったくの怪物というわけではなく、ただの人間なのだ。 これは、ポーランド人ジャーナリストであるヴィトルド・スザブロフスキが編纂した随想集『How to Feed a Dictator(独裁者の料理人)』から得られる主要な結論だ。口述歴史の記録と取材に基づく記述とで構成された一冊である。 スザブロフスキは、かつて独裁者と呼ばれた世界の暴君たちのために、誕生日ケーキやヤギのローストなどを作った料

                          独裁者に仕えた料理人たちの「告白」─フセイン、アミン、ポル・ポトの知られざる姿 | 暴君の胃袋を満足させるには?
                        • ミチオ・カク「正しい知識とともに、楽観的でいよう─量子コンピュータがもたらす未来はこんなに明るい」 | 未来主義者の大家が語る展望と「知識の力」

                          量子コンピュータは、がんの治療や気候変動の改善などを可能にし、我々の世界を変えてしまうだろう、と科学者やSFファンは息巻く。しかし、それは実現可能なのだろうか? 一般の人々へ向けての科学の普及活動にも力を入れる、理論物理学者のミチオ・カクは、量子コンピュータについての新著を上梓した。カクは、量子コンピュータおよび科学の未来に関して、楽観的な姿勢を貫く。英「ガーディアン」紙によるインタビュー。 それでも未来は明るい あなたは最近の技術について不安になったことはないだろうか。 もしそうなら、あなたには仲間がいる。国連はAI(人工知能)を規制する一連のルールを用意するよう、すべての政府に要請している。ユヴァル・ノア・ハラリやイーロン・マスクら著名人が名を連ねたあるオープンレターは、最先端AIの研究を、「安全で、信頼性があり、誠実である」ものに保つためにいったん停止し、規制を課すことを求めている。

                            ミチオ・カク「正しい知識とともに、楽観的でいよう─量子コンピュータがもたらす未来はこんなに明るい」 | 未来主義者の大家が語る展望と「知識の力」
                          • 哲学者マルテン・ブードリー 「人口増加よりも人口減少のほうが深刻だ」 | 人口が増えるほど「資源は増える」

                            ベルギーのゲント大学で教鞭を執る科学哲学者のマルテン・ブードリーは、「環境問題を解決するには人口を減らすしかない」と主張する人たちに真っ向から反論する。 ブードリーが危惧するのは、人口減少と高齢化による科学発展の遅滞だ。彼が示すデータの数々から見えてくる「人口問題のバイアス」とは? 人が増えれば資源も増える 私が気候変動について話すと質疑応答では必ずといっていいほど「なぜ人口過剰の話をしないのですか」と聞かれる。私たちが抱えるすべての問題の原因は、一言でまとめられると質問者たちは信じて疑わない──そう、人口過剰だ。 人間は増え続け、人口密度のグラフは急激な増加曲線を描き、悲劇的な結末が私たちを待ち受けている。まるで時限爆弾のように、いつか爆発する……。彼らはそう信じているのだ。 しかし、人口過剰の問題など存在しない。それどころか近い将来、私たちは急激な出生率低下による深刻な人口減少に悩むこ

                              哲学者マルテン・ブードリー 「人口増加よりも人口減少のほうが深刻だ」 | 人口が増えるほど「資源は増える」
                            • これはジェノサイドだ─ブラジル現政権下で存続を脅かされる先住民たち | 大統領は言った「先住民がいる土地の下には富が眠っている」

                              世界中のほとんどの国が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の脅威にさらされている。5月22日世界保健機関(WHO)は南米を新型ウイルス流行の「新たな中心地」とした。中でもブラジルは、感染者数は世界2番目に高い33万人、死者は2万人を超え、その被害は拡大している。 それでもボルソナロ大統領は経済を優先し、コロナ対策を取ることをしないどころか、“コロナは風邪だ”と言い放ち、外出を促す。その犠牲となっているのが弱い立場の人々だ。特に懸念されているのがアマゾンに暮らす先住民たちへの感染拡大だ。 しかし、これはウイルス拡大で始まったことではない。ボルソナロが大統領に就任したその日から、先住民たちはその命を脅かされている──。 アマゾン川が大西洋へと流れ着く河口では、いくつかの水系が合流するが、その付近に広がる大都市「ベレン」に何度か行ったことがある。そこからセスナ機で30~40分(もしくは陸

                                これはジェノサイドだ─ブラジル現政権下で存続を脅かされる先住民たち | 大統領は言った「先住民がいる土地の下には富が眠っている」
                              • グーグルのピチャイCEOに聞く「ChatGPTの脅威をどう見ているのか」 | AIと検索の未来、そしてマイクロソフトとの闘い

                                グーグルのスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は大きな試練に直面している。マイクロソフトが支援する新興企業オープンAIが開発した「ChatGPT(チャットGPT)」などのチャットボット(自動会話プログラム)の脅威に対抗する一方で、コスト削減を求める投資家の圧力に対応しなくてはならない。 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューの抜粋(編集済み)を以下に紹介する。 ──大規模言語モデル(LLM)やチャットベースのインターフェースの台頭により、検索が今後どのように変化するかについては多くの予測がある。10年後、インターネット上で情報にアクセスする方法として、リンクベースの検索が主流になっていると思うか。 今後10年間で、それは実質的に進化するだろう。ユーザーの求めていることに応えなければならない。将来の姿をすべて予測するのは困難だが、ユーザーがやり遂げたいことを理解し、

                                  グーグルのピチャイCEOに聞く「ChatGPTの脅威をどう見ているのか」 | AIと検索の未来、そしてマイクロソフトとの闘い
                                • MITビジネススクールが教える「大衆を追い求めないマーケティング」の効用 | マクドナルドの復活劇に学ぶ

                                  米マサチューセッツ工科大学(MIT)の経営大学院が発刊するビジネス誌「MITスローン・マネジメント・レビュー」に、「大衆という神話」と題された記事が掲載された。 中立的な層におもねっても振り向いてはもらえない──記事にはこう書かれている。マーケッターたちは大衆を追いかけるのではなく、ファン層に向けたメッセージを送るべきというわけだ。行動を起こし、周りにブランドを拡散してくれるのはいつでもファンたちだからだ。 マクドナルドの事例をもとに、これからの時代のマーケティングを再考してみよう。 マクドナルドに訪れた危機 マクドナルドは昔から、食生活の不健康さを象徴する食べ物と思われてきた。肥満や高血圧を加速させているのはマクドナルドだ、というように。 同社はこの良からぬイメージを払拭しようと、10年以上も戦略を繰り広げてきた。新メニューを開発してアピールし、現代の食生活のトレンドに寄せた健康的なメニ

                                    MITビジネススクールが教える「大衆を追い求めないマーケティング」の効用 | マクドナルドの復活劇に学ぶ
                                  • 時給97セントでアマゾンのサイトで働いてみたら…地獄だった | 心の折れそうな単純作業を超低賃金で請け負う「ギグエコノミーの闇」

                                    単純作業を請け負うフリーランスを募集するクラウドソーシングサイト「アマゾン・メカニカル・ターク」。米巨大テック企業が運営するこのギグワークのサイトの実態は、倫理的に問題のある仕事や超低賃金の案件ばかりが並び、問い合わせ無視、支払い踏み倒しが横行する無法地帯だった。 NYタイムズの記者が、実際に時給1ドル以下で仕事を請け負った数週間の体験を赤裸々につづった。

                                      時給97セントでアマゾンのサイトで働いてみたら…地獄だった | 心の折れそうな単純作業を超低賃金で請け負う「ギグエコノミーの闇」
                                    • パリの「最もグリーンなスニーカー」ブランドはいかに持続可能な足さばきをしてきたのか | 2022年の収益は2億6000万ユーロ(約413億円)を計上

                                      フランスの靴メーカー「VEJA(ヴェジャ)」は世界に先駆けて持続可能でエシカルな製品を出してきた。広告も出さず、新作も少ないが、それでも2022年は2億6000万ユーロ(約413億円)の収益を計上した。その息長い成功の秘訣に、米経済誌「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」が迫る。 「持続可能」という言葉がビジネスでセールスポイントになるずっと前から、それはパリの靴ブランド「VEJA」の背後にある原動力だった。VEJAは、高校時代からの友人同士でどちらも元銀行員のフランソワ=ジスラン・モリヨンとセバスティアン・コップが2004年に立ち上げた。 この二人組は、適正な賃金とクリーンなサプライチェーンの提供に専心し、他のスニーカーブランドとは違うやり方をしてきた。 広告やスポンサーシップ契約を控える。製造拠点をブラジルに置き、ブラジル産・ペルー産のオーガニックで再生型のコットンとアマゾンの天然ゴムを

                                        パリの「最もグリーンなスニーカー」ブランドはいかに持続可能な足さばきをしてきたのか | 2022年の収益は2億6000万ユーロ(約413億円)を計上
                                      • 選手の勇姿に“熱狂”しつつ、“冷静”な目で問題を指摘し続けなければ五輪は何も変わらない | 非難するのが開催前だけでは何も変わらない

                                        この50年、オリンピックは見逃せない人気テレビ番組として仕立てあげられてきた。その間、古くなった競技を残しながら、必死に若い視聴者を取り込もうとしてきた。 東京五輪では新種目としてスケートボード、サーフィン、スポーツクライミングが加わるが、これらの種目で金メダルが授与される日が、それぞれ射撃、フェンシング、近代五種と重なる工夫もされている。 もっとも五輪廃止論に賛同する人は少数派だ。オリンピックはいまも多くのスポーツの頂点だからだ。 オリンピックにすべてをかけるアスリートもいる。アスリートにとって、それは一生の仕事であり、キャリアの頂点となりうる。倫理的な理由で五輪の出場を辞退するアスリートは少数だ。一人もいないといってもいいかもしれない。 東京五輪でも期待どおりの興奮があるのは間違いない。だが、パンデミックのために無観客開催となったので、東京五輪は二次元の劇場を世界に発信するイベントとな

                                          選手の勇姿に“熱狂”しつつ、“冷静”な目で問題を指摘し続けなければ五輪は何も変わらない | 非難するのが開催前だけでは何も変わらない
                                        • 「ジェノサイド」とは何か─カナダの先住民寄宿学校制度から考える | 植民地主義的な同化政策も「集団殺害」になりうるとすれば…

                                          先住民の子供たちをキリスト教会が運営する寄宿学校に強制的に入学させ、その文化を剥奪しようとした「インディアン寄宿学校制度」は、カナダ政府が19世紀から1990年代まで実施していた同化政策だ。この制度が「ジェノサイド(集団殺害)」に当たるとしたカナダ庶民院の決議は今後、国際的にどんな意味を持つのか? アフリカ、ヨーロッパ、北米で法律を学んできた研究者が読み解く。 2022年10月27日、カナダの庶民院は全会一致で、「インディアン寄宿学校制度(IRS)」がジェノサイドだったと認める歴史的な判断を下した。 この決議は、「カナダ真実和解委員会」が2015年に出した報告に基づいている。だが同委員会は法的な理由により、ジェノサイドという言葉を使うことを禁じられており、その代わりに、IRSの慣行を文化的ジェノサイドと呼んでいた。 決議がなされたタイミングは、教皇フランシスコがカナダ訪問中、寄宿学校のせい

                                            「ジェノサイド」とは何か─カナダの先住民寄宿学校制度から考える | 植民地主義的な同化政策も「集団殺害」になりうるとすれば…
                                          • なぜアジア系女性は、白人至上主義者に好かれてしまうのか? | アジア系アメリカ人と交際するオルタナ右翼たち

                                            「アジア系女性は可愛いし、頭もいい」 ネット世代の新右翼「オルト・ライト(以下、オルタナ右翼)」を中心に、「白人男性のナショナリストは、アジア系女性を(性的に)好む傾向がある」──。このことは以前から指摘されていたが、黒人男性ジョージ・フロイドが死亡した事件(加害者である白人警官の妻がモン族系だった)を受けて、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が過去に掲載した「オルタナ右翼のアジア系フェティッシュ」という記事が、米国でふたたび話題になっている。 記事の筆者は、アジア系アメリカ人(以下、アジア系)のジャーナリスト、オードリア・リム。彼女は、米国のオルタナ右翼の男性インフルエンサーらが、現在もしくは過去に、アジア系女性と交際・結婚しているケースが多いと述べる。 たとえば、極右・ネオナチメディア「デイリー・ストーマー」の創設者のアンドリュー・アングリンや、オルタナ右翼の白人至上主義者であるリチャード

                                              なぜアジア系女性は、白人至上主義者に好かれてしまうのか? | アジア系アメリカ人と交際するオルタナ右翼たち
                                            • 「リアルわらしべ長者」が、1本のヘアピンから“一軒家”を手に入れるまで | 1年半に及ぶ「物々交換」の旅、その内訳は…?

                                              28回目の交換で夢、叶う 血と汗と涙のにじむような1年半の努力の末、デミ・スキッパーはたった1本のヘアピンから物々交換を重ね、家を手に入れることに成功した。 彼女がこのプロジェクトを始めたのは、2006年に赤いクリップ1つから物々交換を重ね、最終的に一軒家を手に入れたカイル・マクドナルドに影響を受けてのことだった。2021年の5月に取材した当時、スキッパーは夏の終わりまでに目標を達成したいと考えていた。 1本のヘアピンがイヤリングになり、イヤリングがマルガリータグラスになり…… 希望の時期よりも遅れることわずか数ヵ月、29歳のスキッパーは、テネシー州ナッシュビル近郊の小さな家の鍵を渡された。住宅ローンも手数料も発生しない。それどころか、これまでに1銭も費やしていない(交換した物の送料を除いては)。 広い庭を備えた、小ぢんまりとした「ぼろ家」であるこの家は、スキッパーが2020年5月にこのチ

                                                「リアルわらしべ長者」が、1本のヘアピンから“一軒家”を手に入れるまで | 1年半に及ぶ「物々交換」の旅、その内訳は…?
                                              • 「育休では解決しない」 フィンランドの学者が語る少子化の“本当”の理由 | 本当の問題は子供を欲しがらないこと

                                                男女平等が進み、手厚い育児ケアが無償で提供されるフィンランド。「モデル」とされてきた北欧の同国でも、いま急激に少子化が進んでいる。その原因は、これまで見過ごされてきたことにあると、フィンランド家族連盟人口研究所のアンナ・ロトキルヒは、英紙「フィナンシャル・タイムズ」に語った。 全世界で急激に進む「少子化」 20年前、フィンランドはすべてを実現させたように見えた。出生率は上昇し、労働力人口に占める女性の割合は高かった。その背景にあった北欧モデルを学ぶため、東アジアや英国など世界中の政策立案者たちがやってきた。同国には、世界最高水準の産前産後ケア、両親共に与えられる手厚い育児休暇、就学前保育の権利などが整っていた。 しかし、フィンランドに対する認識は間違っていたのかもしれない。同国では親が手厚い支援を受けられるにもかかわらず、2010年以来、出生率が3分の1近くも低下した。それは提供される社会

                                                  「育休では解決しない」 フィンランドの学者が語る少子化の“本当”の理由 | 本当の問題は子供を欲しがらないこと
                                                • 法治国家でも拷問が許されてしまう“正当化”と“責任逃れ”のカラクリ | 目的は情報収集だけではない

                                                  イスラエルは、捕らえたパレスチナ人を刑務所で拷問していると報告されている。2000年代には米国も、「テロとの戦い」において捕虜を拷問していたと告発された。人権を尊重する憲法・国内法・国際法がありながら、独裁ではない国家においても拷問は依然としておこなわれている。 法治国家においてどのように拷問が正当化されてしまうのか。独誌「シュピーゲル」が、キングス・カレッジ・ロンドン戦争学部で国際関係論を教える政治学者フランク・フォーリーに聞く。 民主主義国家の「クリーンな拷問」 ──イスラエルの刑務所でパレスチナ人が拷問されたという告発があります。それはおそらく現在も続いているでしょう。しかし、イスラエルはあの地域で唯一の民主主義国家であるとみなされています。そのようなことがありうるのでしょうか。 拷問と民主主義は、それ自体が矛盾するものではありません。民主主義国家でも拷問はおこなわれています。ただ、

                                                    法治国家でも拷問が許されてしまう“正当化”と“責任逃れ”のカラクリ | 目的は情報収集だけではない
                                                  • 裁判官の「見せかけの法」にだまされてはならない | トマ・ピケティ「新しい“眼”で世界を見よう」

                                                    この記事は、世界的なベストセラーとなった『21世紀の資本』の著者で、フランスの経済学者であるトマ・ピケティによる連載「新しい“眼”で世界を見よう」の最新回です。 フランスの年金改革は、憲法院の「9人の賢人」がその合憲性を審査することになった(註:2023年4月14日、憲法院は年金改革法を大筋で合憲とする判断を示し、年金改革法が公布された)。 そこで、こんな素朴な質問をするのも無駄ではないように思える。「一般論として、憲法院の裁判官は信頼できるのだろうか?」 誤解のないように言っておきたい。憲法院はすべての国で必要不可欠な役割を果たしている。だが、残念なことに、あらゆる権力がそうであるように、この貴重だが脆弱な国家機関は時折、その重責を託された人々によって道具として使われ、損なわれてしまうことがあるのだ。憲法院の裁判官が、単に自分の政治的な好みに過ぎないことを、まるで法であるかのように見せか

                                                      裁判官の「見せかけの法」にだまされてはならない | トマ・ピケティ「新しい“眼”で世界を見よう」
                                                    • 英紙の提言「日銀はイールドカーブ・コントロールをいまこそ撤廃すべきだ」 | 世界中から注目が集まる植田新総裁の方針

                                                      黒田東彦前日銀総裁が任期を終了し、10年ぶりに日銀は新体制を発足させた。学者出身として初めて総裁に就任する植田和男新総裁の政策には、世界中から注目が集まる。英「フィナンシャル・タイムズ」紙の前東京支局長が指摘する日銀の取るべき政策とは。 YCCは撤廃すべき 2023年4月9日、日本銀行総裁に植田和男が就任した。彼が早急に着手すべきは、イールドカーブ・コントロール(YCC)の撤廃である。 YCCは持続不可能であるとか、いまこそ日本の金融政策を「正常化」すべき時なのだといった理由からではない。むしろ逆だ。日本経済が必要とする金融支援策の維持を、より容易にするにあたり、YCCの撤廃は順当な戦略的施策なのだ。 植田に課せられた使命の難しさと、彼が実際に取れる施策の限界は、実のところ誰の目にも明らかである。その使命とは、中央銀行の役割において最も困難な仕事なのだから。 とはいえ、総裁就任に際して植田

                                                        英紙の提言「日銀はイールドカーブ・コントロールをいまこそ撤廃すべきだ」 | 世界中から注目が集まる植田新総裁の方針
                                                      • 私たちを賢くしてくれるはずの「批判者」への恐れが、アメリカをここまで愚かにした | 左派と右派の機能不全はどのようにして起こったか

                                                        バベル崩壊後の政治 2010年代に何が変わったのだろうか? ここで、ツイッター社のエンジニアによる「4歳児に装填済みの銃を与えた」というメタファーを再考してみよう。 意地の悪いツイートが人を殺すことはない。それは誰かを公に辱めたり罰したりしながら、自身の正しさや賢さ、党派への忠誠を広く知らしめようという試みである。それは弾丸というよりも短い矢のようなもので、痛みを与えるが死に至らしめるわけではない。 しかしそうだとしても、2009年から2012年にかけて、フェイスブックとツイッターは約10億ものダーツガンを世界中に送り出してきた。それ以来、我々はお互いを射続けている。

                                                          私たちを賢くしてくれるはずの「批判者」への恐れが、アメリカをここまで愚かにした | 左派と右派の機能不全はどのようにして起こったか
                                                        • 「職場の生産性」に関する世間の考え方は完全に間違っている | 会社に生活を乗っ取られず、仕事の成果を上げるには

                                                          あなたはとてつもなく忙しい。ビジネスチャットのスラックでやり取りして、メールを書き、ズーム会議も次から次に入っている。これらを同時にこなすこともある。しかし重要な仕事はできているだろうか。 カル・ニューポート氏の答えはノーだ。 「ちょっと待てよ、どれも重要じゃなかった、といったところだ」。ジョージタウン大学でコンピューターサイエンスを教え、注意力散漫の時代における集中力の重要性を訴えるニューポート氏はそう話す。 ニューポート氏によると、私たちは重すぎる負担を減らすことでより多くを達成できるという。同氏が提案する解決策「スローな生産性」──同名の本も出版している──は優れた成果を上げる人々が引き受ける仕事を減らして、仕事の質を上げ、ときどき戦略的に手を抜く一つの方法だ。最高の質こそ目指すところであり、がむしゃらに働くことは敵である。 これこそが、人工知能(AI)や人員削減から私たちの仕事を救

                                                            「職場の生産性」に関する世間の考え方は完全に間違っている | 会社に生活を乗っ取られず、仕事の成果を上げるには
                                                          • 子ども連れの家族に飛行機の座席交換を頼まれるも拒否した女性に賛否両論 | これってあり?

                                                            飛行機内での搭乗客による問題行動が多く報道されるなか、ある女性客の行動をめぐって、インターネット上で議論が起きている。 マレッサ・フリードマンはこの日、米航空会社「デルタ航空」の飛行機に搭乗していた。フリードマンの購入した席はファーストクラスで、通路を挟み、2席ずつ設置されている構造だったという。 座席に座っていると、ある3人家族が「家族で並んで座りたいので座席を交代してくれないか」とフリードマンに尋ねてきたそうだ。 フリードマンは、これを拒否。代わりに、家族皆で座れる構造の別のクラスの座席に移るよう、提案した。これに家族は激怒し、フリードマンを睨みつけてきたという。

                                                              子ども連れの家族に飛行機の座席交換を頼まれるも拒否した女性に賛否両論 | これってあり? 
                                                            • 老人のような子供たち… 虐待された「ルーマニアの孤児」の40年後を訪ねて | 排せつ物まみれでネグレクト

                                                              黒い瞳に黒い髪の男の子イジドルは、人生最初の3年間をその病院で過ごした。 1980年6月20日、イジドルは生後数週間で親に捨てられた。右脚がやや変形していたからだ。何かの病気(おそらくポリオ)にかかっていた彼は、こうしてルーマニア社会主義共和国に大量にいた孤児の海に投げ込まれた。 当時の孤児院を記録した映画には、看護師が組み立てラインの労働者のように新生児を次々と布でくるみ、不安げな幼子の列に継ぎ足していく様子が映し出されている。赤ん坊をあやしたり歌をうたったりする女性はいない。布で包まれた小さな顔は、自分たちの身にいったい何が起きているのか、推し量ろうと辺りをきょろきょろ見回していた。 南カルパティア山脈を望む町シゲトゥ・マルマツィエイの病院で、おそらくはイジドルもベビーベッドの柵に寄りかかり、口に突っ込まれた瓶から栄養をとっていたのだろう。自力で食べられる年齢をとうに過ぎても、彼と同年

                                                                老人のような子供たち… 虐待された「ルーマニアの孤児」の40年後を訪ねて | 排せつ物まみれでネグレクト
                                                              • 座る時間と立つ時間は1日にどれくらいだと最も健康にいいのか? | 新研究で判明

                                                                座りっぱなしでいるよりも立っているほうが、なんとなく健康にいい気がする。だが立ちっぱなしでいるのも、それはそれでしんどい。そもそも、「健康にいい」とはどういうことなのか。具体的にどれくらいの時間、座っているまたは立っていると、どう健康にいいのか。 もっといえば、1日24時間をどんな活動にどれくらい費やすのが、われわれの健康にとって最適なのか。 オーストラリアの研究チームが、こうした問いに答える研究論文を発表し、一般向けの解説メディア「カンバセーション」でそのエッセンスを紹介している。 健康にいい活動の時間配分とは この研究チームは「健康にいい」を定義するために、心臓疾患、脳卒中、糖尿病の危険因子に着目し、さまざまな活動時間の組み合わせがそうした因子とどう関連するのかを調べた。 研究対象は2000人以上の成人で、参加者はまず胴囲、血糖値、インスリン感受性(低下すると血糖値が下がりにくくなる)

                                                                  座る時間と立つ時間は1日にどれくらいだと最も健康にいいのか? | 新研究で判明
                                                                • 刑務所で25年間、性犯罪者を治療してきた私が考える「彼らが二度と罪を犯さないために大切なこと」 | 性犯罪者とは本質的にどんな人たちなのか

                                                                  刑務所の中で長きにわたり重い性犯罪を犯した男性たちと接してきた筆者は、一人の女性として、また子供たちの親として、彼らと彼らが犯した罪を恐れ、日常生活でも過剰に反応するようになってしまった。それでも、彼女がこの仕事を続けてきたのには理由がある。 「ここにある質問のリストは、あなたが犯した子供への性暴力についてお尋ねするためのものです。差し支えないようでしたら、そのなかには……」と言いかけて、言葉が見つからなくなる。 「……やや突っ込んだ質問や、個人的なことに関する質問もあるかもしれません」 目の前に座っている白髪混じりの老齢の男性は、うなずきはするものの目を合わせてはくれない。私は彼と自分のどちらが、この面談をより恐れているのかわからなくなる。 凶悪犯罪者向けの重警備刑務所で、重い性犯罪を犯した男性の独房に私が残されたのはこのときが初めてだった。もうずいぶん昔のことだ。 1990年代半ば、当

                                                                    刑務所で25年間、性犯罪者を治療してきた私が考える「彼らが二度と罪を犯さないために大切なこと」 | 性犯罪者とは本質的にどんな人たちなのか
                                                                  • 人質交渉のプロに学ぶ「交渉で望んだ結果を得るためのテクニック」 | 自分の感情とエゴに取り込まれないために

                                                                    スコット・ウォーカーは長年にわたり、誘拐事件をはじめとする危機的な場面での交渉役を担ってきた。ロンドン警視庁に勤めた後、危機対応コンサルタントとして働く彼によれば、「交渉は複雑で難解な技術ではなく、日常のコミュニケーション」なのだという。給料や家賃の交渉、家族の危機にも役立つという彼のテクニックとは──。 ヨーロッパのどこかで、ある男が銃を突きつけられ、乗っていたBMWから連れ出された。男は成功したビジネスマンで、その資産は2億ユーロとも言われている。焼け焦げた車の残骸を見れば、これがプロの犯行であることは明らかだった。 48時間後、ロンドンでは、スコット・ウォーカーが人質解放のためのチームに召集されていた。人質交渉人として10年以上のキャリアがあるウォーカーは、長丁場を覚悟していた。誘拐犯がこちらに連絡し、要求を突きつけてくるまで、何週間もかかるかもしれない──だが、当面の交渉相手は誘拐

                                                                      人質交渉のプロに学ぶ「交渉で望んだ結果を得るためのテクニック」 | 自分の感情とエゴに取り込まれないために
                                                                    • “脱成長する日本”の姿から見えてくる「資本主義社会の未来」 | 自然と共存することは経済思想的に見ても重要だ

                                                                      成長の止まった日本はこの先、どんな未来を目指せばいいのか? 米誌「ノエマ・マガジン」の編集長を務めるネイサン・ガーデルスが、日本の哲学者で経済思想家でもある斎藤幸平へのインタビューを交えながら考察する。 「失われた時代」の終焉から数十年、日本はいまだ脱成長のただなかにある。2022年の最終四半期のGDPは年率0.1%増にとどまった。こうしたことから、日本は、多くの経済学者から先進国の「病人」とみなされているのだ。 だが斎藤幸平は、過剰消費で加熱する世界のなかで、健全な社会が落ち着く先はこの「脱成長の軌跡」にあると考えている。 現在36歳の斎藤は『人新世の「資本論」』の著者だ。本書で彼は、脱成長によってふたつのことから脱却できると論じている。ひとつは気候危機、そしてもうひとつは絶え間なく続く競争の不安である。日本ではサラリーマンの多くがこの競争に疲弊し、絶望してきた。

                                                                        “脱成長する日本”の姿から見えてくる「資本主義社会の未来」 | 自然と共存することは経済思想的に見ても重要だ
                                                                      • アラン・ドロン事件の真相は─告訴された日本人女性「ヒロミ」の告白 | 彼女はただの「同居人」か、疎まれ軽視された「伴侶」なのか

                                                                        ヒロミ・ロラン(66)は、いまも打ちひしがれた様子だ。私たちがこの女性と最初に会ったのは2023年11月、パリにあるこの女性の弁護士の事務所でのことだった。 アラン・ドロンの3人の子供の一致団結した行動によってヒロミがKOされたのは、2023年7月5日だった。それ以降、ヒロミはいまもまだ立ち直れていない。一方、アラン・ドロンの子供たちのほうも、もともと悪かった仲が、その後さらに険悪なり、もう2度と3人が一緒に行動することはないと思えるほどだ。いずれにせよ、ヒロミはあの日以来、自分の人生を生きている気がしないという。 「もう一度、アラン(・ドロン)に会いたいんです。それができないなんて信じられません。私は彼に会えなくて寂しいですし、彼も私と会えなくて寂しいのだと思います。私がどこに行ったのか、なぜいなくなったのかが気になっているはずです。もう一度、アランと会う。その希望に私の全人生を託してい

                                                                          アラン・ドロン事件の真相は─告訴された日本人女性「ヒロミ」の告白 | 彼女はただの「同居人」か、疎まれ軽視された「伴侶」なのか
                                                                        • インドの選手たちは東京五輪の選手村で出されるインド料理をどう評価している? | 副団長は「選手にはコンチネンタルか日本食を勧めます」

                                                                          東京五輪の選手村に滞在しているインド選手団の様子をインドメディアが報じている。 「インディアン・エクスプレス」は、メダルが最も期待されているひとり、女子重量挙げのミラバイ・チャヌのコーチに取材し、次のようなコメントを紹介している。 「東京に到着する前に読んでいた記事のせいで、多少の疑念はありました。でも着陸した瞬間から、もっとずっと前向きな感じがしています。施設はどこもすごく良くて、選手の必要はほぼすべてケアされています。ボランティアもスタッフもとても丁重です」 一方、「タイムズ・オブ・インディア」は、インド選手団の選手村での戸惑いも含めて報じている。 同紙によれば、電気湯沸かし器を100以上送ってほしいと選手団から駐日インド大使館にリクエストがあったという。インドの選手たちが朝にお湯を飲むのに、選手村の部屋には備え付けのポットがなかったためだ。 新型コロナ感染症対策で、部屋の清掃が3日に

                                                                            インドの選手たちは東京五輪の選手村で出されるインド料理をどう評価している? | 副団長は「選手にはコンチネンタルか日本食を勧めます」
                                                                          • なぜ宗教を信仰する10代の若者は世俗的な若者よりも幸せなのか? | メンタルヘルスに顕著な差

                                                                            宗教を信仰する10代の若者は、世俗的な若者よりも幸せであることを示す研究が注目を集めている。 近年、米国では若者のメンタルヘルスの危機が度々報じられている。だが、信仰心の篤い10代の精神状態は、この社会的傾向とは異なり、安定しているという。 一体なぜか? 米紙「ボストン・グローブ」が掲載した、米国の高校生を対象とした「モニタリング・ザ・フューチャー」のデータ(1979〜2019年)によると、「信仰心の篤い10代」と「世俗的な10代」のメンタルヘルスに顕著な差がみられ始めたのは2010年以降だ。 同調査では、対象者を「世俗的な進歩派(リベラル)」「信仰心に篤い進歩派(リベラル)」「世俗的な保守派」「信仰心に篤い保守派」の4つのグループに分けており、そのデータは2010年以降、ほぼどのグループも孤独や不安、無価値感、憂鬱をより強く感じるようになったことを示している。

                                                                              なぜ宗教を信仰する10代の若者は世俗的な若者よりも幸せなのか? | メンタルヘルスに顕著な差
                                                                            • フランス大統領選への「貧弱な討論」を是正するには制度の“換気”が必要だ | トマ・ピケティ「新しい“眼”で世界を見よう」

                                                                              フランスの大統領選の第1回投票まで4ヵ月を切った。しかし、来年4月のこの大統領選では何を期待できるのだろうか。 この問いには二つの角度から切り込める。一つは2022年の大統領選自体について。もう一つは大局を見て、フランスの政治制度で大統領選が占める地位がどんなものなのかを考えるというものだ。 2022年の大統領選に関して言えば、始まり方が悪かったことは認めなければならない。フランスの政治の風景が極端に右傾化しており、それは政権を握るマクロン大統領の政治も例外ではない。その極端な右傾化のせいで、フランスの未来を決める社会や経済の大きな課題について討論することがほとんど不可能になってしまっている。 解放のための闘争、知性のための闘争、そして人的資本のための闘争で勝利するためには、いまも教育や育成への投資が最重要の課題であることに変わりはない。だが、残念ながら2022年の歳出予算が示す最新の数字

                                                                                フランス大統領選への「貧弱な討論」を是正するには制度の“換気”が必要だ | トマ・ピケティ「新しい“眼”で世界を見よう」
                                                                              • 湿地遺体が物語る「その残忍な最期」─史上初の包括的な調査でわかったこと | 彼らはなぜ殺されたのか?

                                                                                泥炭地で自然にミイラ化した「湿地遺体」は、泥炭の化学的特性ゆえに保存状態が極めて良いことで知られる。1月に発表された初の包括的な調査の結果、彼らがどんな人々で、なぜ、どのように亡くなったかが明らかになった──。 「イデガール」との出会い 1990年代の初頭、オランダに住む10代のロイ・ファン・ビークは、課外授業で地元の博物館へ行った際、「湿地遺体」の展示を見学した。湿地遺体とは、北欧の湿地帯や吸水性の芝土、泥炭湿地に埋葬された古代人の遺体で、人骨と自然ミイラの両方を指す。 ファン・ビークはそのなかに、驚くほど完全な状態を保った、奇妙にねじ曲がった遺体があったことを覚えている。それは身長およそ140センチ弱、1世紀頃に生きていたと思われる、彼と同じ年頃の女性の遺体だった。 「彼女は現在のオランダ・イデ村の南方にある、浅い泥炭湿地に葬られていました」と、いまではワーヘニンゲン大学・研究センター

                                                                                  湿地遺体が物語る「その残忍な最期」─史上初の包括的な調査でわかったこと | 彼らはなぜ殺されたのか?
                                                                                • 易富賢「国連が考えるほどインドや中国の人口は多くない─過剰な人口抑制策がもたらす危機的な未来」 | このままいけば、インドもすぐに中国と同じ道をたどるだろう

                                                                                  インドはまもなく、中国を上回る世界最大の人口を持つ国になると、国際連合が宣言した。 だが、中国の人口統計が過大に見積もられていることを明らかにし、公式にはタブー視されていた「人口減少」を初めて表立って指摘した一人である人口学者の易富賢(イー・フーシャン)は、インドの人口についても、国連が言うほど多いのかどうかは疑わしいと考えている。 ほかの国に関する推計にも疑義が出てくれば、国連による推計そのものが、世界経済を予測する際の信頼できるデータとしての役割を失ってしまう──そう易は警告する。 国連統計と国勢調査の乖離 4月、国連はインドの人口が中国を抜いて世界一になるだろうと見積もった。この発表はメディアから大変な注目を集めたが、インドの2024年の国勢調査は、国連の予測が過大なものであったことを明らかにするだろう。 インドで最も新しい統計によれば、インドの人口は2001年には10億3000万人

                                                                                    易富賢「国連が考えるほどインドや中国の人口は多くない─過剰な人口抑制策がもたらす危機的な未来」 | このままいけば、インドもすぐに中国と同じ道をたどるだろう