目の前で民主主義が壊れていくのを見るのはつらい。行政は、保有する情報を可能な限り開示し社会全体で共有することにより、実施する政策の正統性を担保し、市民は自らのコミュニティーの一員として参画することで、ともに社会を支えていくことができる。政治は、真摯(しんし)に討議をすることで最善の選択肢を探り出し、同時に有権者の声にきちんと耳を傾けることで自らのたたずまいの正当性を確認することができるものだ。 たとえば横浜市を見てみよう。三年前の四月、職員用と記者用のトイレを別にすることで、情報漏洩(ろうえい)の危険性をなくすことを予定した(本欄一七年八月八日付)。計画が表面化することで批判が起き撤回したものの、この一月に新庁舎が完成し移転するのを機に、さらに強力な情報遮断策を講じてきた。全執務室に施錠をし、職員への自由なアクセスを禁じるというのだ(神奈川新聞三月一日付)。理由は「セキュリティー対策などの