幼児や児童のために公園などに設置された遊具には様々な種類があったが、それらを原因とする死傷がしばしば発生していた。このことが社会問題となり始めたのは21世紀初頭からであった。不適切な公園遊具のために毎年、十数人にも上る膨大な数の幼児や児童が死傷したことは、社会にとって深刻な事態だったのである。 21世紀初めまでは、こうした死傷に関しては「事故」として扱われた。このため抜本的な対策が成されることが無く、仮に対策が成されたとしても、それは場当たり的なものにすぎなかったのである。そうした中、2025年に最高裁で、遊具による死傷は「事故」ではなく「(未必の故意による)殺人や傷害事件」であるとする画期的な判断が行われ、茨城県の公園整備課長が3人の児童を「殺した」罪により死刑判決を受けると、社会は幼児や児童のための遊具を厳しく規制し、子供達の安全を確保するという当然の努力を遅まきながら始めたのである。