アメリカ合衆国では,1964年公民権法において「人種,肌の色,宗教,性別,出身国など」に基づく差別が禁止され,そうした差別が行われたと認められた時には,裁判所はそれを是正するための「積極的差別是正措置(アメリカ)(アファーマティブ・アクション)」を命ずることができると規定された。アファーマティブ・アクションは本来,上記の趣旨での多様な措置を含むものだが,その中でもっとも注目されたのが高等教育機関の入学者選抜で,マイノリティ出願者の入学を確保するためにとられた措置であり,とりわけ一定の優先的な枠組みを設ける「クオータ(割当)制」が議論の的になってきた。 [アファーマティブ・アクションをめぐる三つの裁判] 公民権法制定を受け,カリフォルニア大学デーヴィス校のメディカル・スクールの入学者選抜では,マイノリティ出願者は「一般方式」の出願者とは競合しない「特別方式」で100人の定員のうち16人が入学