■人の怒りが歴史を変える 海は色を変える。眠たげな11月の群青は陽が差すと磨きたてられ、透明な緑色に染まる。海面にサンゴの影が映る。 辺野古の海は息をのむほどに美しい。 辺野古の海にサンゴが映える だが、沖合から大浦湾の方角へ視線を移すと、一気に風景が澱んだ。重機がせわしなく動き回る。土砂が高く積み上げられる。 ただひたすら、破壊の限りを尽くしているようにも見えた。荒々しい暴力が静かな海を襲っている。 抗議船に乗船して沖合から「現場」を見るのは3度目だった。目にするたび圧倒的な力による「現状変更」が進む。辺野古の風景を変えていく。 辺野古沖で進む埋め立て工事 だが、それでも新基地建設にともなう工事の進捗は、全工程の2割にも達していない。 新基地は海底で見つかった軟弱地盤を改良しなければ完成することはないが、その見通しはまるで立っていない。総工費は2014年時点で3500億円と示されたが、現