法務大臣による恣意的な死刑執行があってはならない。報道されている谷垣禎一法務大臣の発言は、まるで自分が裁判官であるかのようだ。いわく「いずれの事件も誠に身勝手な理由から尊い人命を奪った極めて残忍な事案。資料を精査し、諸般の事情を勘案して決めた」と。凶悪かどうかを判断し量刑を決めるのは裁判所の仕事ではないか。 ここでまず抑えておきたいのは、民主党政権下でも死刑執行は行われたが、小川敏夫法務大臣は「死刑は法相の職責である」という言い方をしているということだ。 3名を同時に死刑にしていることなど、小川氏と谷垣氏が法務大臣としてなしたことはほとんど変わらないかも知れない。しかし、ほんのわずかな言い回しの違いであるが、意識の違いが如実に現れているように思うのである。 そして次に、死刑の執行に法務大臣の裁量を認める規定は存在しない、ということも抑えておかなければならない。小林死刑囚は2006年に死刑判