ビデオゲームの語り部たち 第13部:豊田信夫氏が駆け抜けた“ワイルドな時代”の北米ゲーム機戦争 ライター:黒川文雄 カメラマン:愛甲武司 ビデオゲームの開発秘話や,それに伴う歴史的な出来事を詳しく綴った日本独自の著作物は少ないと感じている。 筆者は1993年にセガ・エンタープライゼス(現セガゲームス)に入社してゲーム業界へと足を踏み入れたのだが,その前に大下英治氏の著作「セガ・ゲームの王国」を読めたのは幸運だった。セガの成り立ちや歴史,仕事の方向性,求められている人物像などを把握できたのだ。 そんな筆者からすると,このところ出版されるビデオゲーム関連の書籍には,学術的な見地からのものが増えたように感じる。もちろんそれ自体には何の問題もないのだが,それよりも先に,ゲームの本質である娯楽性,娯楽としてのゲームを先に論じ,後世に残すべきではないかと思っているのだ。 今回の「ビデオゲームの語り部た