イラク水滸伝 (文春e-book) 作者:高野 秀行文藝春秋Amazonこの『イラク水滸伝』は、『独立国家ソマリランド』などで知られるノンフィクション作家・高野秀行の最新作だ。間にコロナ禍を挟んだこともあって取材・執筆に6年がかかったという大作で、事前の期待は大。家に届いた瞬間からいてもたってもいられずに読み始めたが、おもしろすぎて当日中に最後まで読み切ってしまった。 今回のテーマはイラクとイランの国境近くにある「湿地帯」。ティグリス川とユーフラテス川の合流点付近には、最大時には日本の四国を上回るほどの大きさの湿地帯が存在し、そこには30〜40万人の水の民が暮らしているという。そこで暮らしているのは、アラビア語を話すアラブ人ながらも、生活スタイルや文化が陸上の民とはまるで異なる人々であるという。しかも、道路もなく隠れやすいので、戦争に負けた者や迫害されたマイノリティが逃げ込む場所で──と、
![高野秀行の新たなる代表作といえる、イラクのカオスな湿地帯を舟を造るために奔走する傑作ノンフィクション──『イラク水滸伝』 - 基本読書](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/ca8239cd181013838dee457a743c1878a86d5f77/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fm.media-amazon.com%2Fimages%2FI%2F514GBsdgTRL._SL500_.jpg)