1.3 ゲノム構造解析技術 1.3.1 ゲノム構造解析技術の構成 ゲノム情報解析とは、ゲノムが持つ全遺伝情報を塩基配列のレベルで明らかにすることであり、ゲノムマップの作成(ゲノムマッピング)、それに基づくゲノムライブラリーの作成、および各ゲノムライブラリーから切り出された多数のゲノム断片の塩基配列解析が行われる(図1.3.1-1)。 図1.3.1-1 ゲノム構造解析技術の構成 (1) ゲノムマップ ゲノムマップには、遺伝的地図と物理的地図がある。地図の目印をDNAマーカーと呼ぶ。遺伝的地図は、遺伝子連鎖解析により作成する。ヒトの染色体は二倍体すなわち23対46本存在する。1対の染色体(相同染色体)の一方は父親から、もう一方は母親から受け継がれる。生殖細胞が作られる減数分裂の過程では、交叉と呼ばれる染色体の組換えが相同染色体間で起こる。 このため、例えば図1.3.1-2に示すように、父親の染