多くの方の調べものに役立っているオンラインの大事典「ウィキペディア」。どうせ使うなら、その本当の姿をよく理解して使いたい――。ウィキペディアの執筆者・編集者のお一人である北村紗衣さんに、今回は、設立以来の理念を堅持しつつ知識の民主化を目指すウィキペディアの姿について、詳しくお話しいただきます。 編集合戦の背後にあるコミュニティの理想ここまでこの連載を読んでくださった方はなんとなくお分かりでしょうが、ウィキペディアは実にひどい所です。荒らしが横行し、誤情報や低品質記事があふれ、悪質なプロパガンダの現場にもなります。編集合戦が始まると、ノートで悪夢のような議論に時間が費やされます。まったく最低の場所です。 一方で、ウィキペディアは恐らくインターネット上の著名な大規模プロジェクトとしては唯一、ボランティアによる運営で20年以上もまともに続き、設立当初の理念を守って人々に知識を提供し続けている場で